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ソーホーの夜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「Last Night in Soho」
デイヴ・ディー・グループシングル
B面 ミセス・サーズディ
リリース
録音 1968年5月31日[2]
ジャンル サイケデリック・ポップ
時間
レーベル フォンタナ
作詞・作曲 ケン・ハワード英語版
アラン・ブレイクリー英語版
プロデュース スティーヴ・ローランド英語版
デイヴ・ディー・グループ シングル 年表
キサナドゥーの伝説
(1968年)
ソーホーの夜
(1968年)
アントワネット号の遭難英語版
(1968年)
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ソーホーの夜」(ソーホーのよる、"Last Night in Soho")は、イングランドポップ・バンドのデイヴ・ディー・グループのシングルであり、1968年6月28日にフォンタナより発売された。バンドのソングライターケン・ハワード英語版アラン・ブレイクリー英語版が書いたこの曲はチャート1位を達成した「キサナドゥーの伝説」の次の作品であり、バンドにとって全英シングルチャートのトップ10入り(8位)をした最後の作品となった[3]

制作

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「ソーホーの夜」はコリン・ラーキン英語版の『Encyclopedia of Popular Music』では「ロンドンで最も悪名高い平方マイルで失われた純真さを描くレザーボーイ・バイク・サーガ」と記されている[4]。ソングライターのケン・ハワードとアラン・ブレイクリーはデイブ・ディー英語版のコメントに促され、「強い視覚的なイメージ」を念頭に置いてこの曲を書いた[5][6]ニューヨークパリを歌った著名な曲は多数存在するので、2人はそれに対してイギリスを歌った曲の制作を考えた[5]。バンドのそれまでのシングル「ザバダク英語版」や「キサナドゥーの伝説」のエキゾチックなテーマとは対照的にこの曲の舞台は20世紀を通じて性産業ナイト・ライフ英語版の拠点として有名だったロンドンのウエスト・エンドソーホー地区である。曲の中では前科者の男が恋人のために更生しようとするが、不良仲間との再会により誘惑に負けてしまう[7]。最終節で彼は実刑判決に直面し、恋人に惜別の意を表している[8][9]。ライターのロブ・チャップマン英語版はこの曲を「ライオネル・バート英語版ジョアン・リトルウッド英語版のようなミドル・エイト」のある「ギャングランドを舞台としたサイコドラマ」であると説明している[9]

この曲にはレジ・ティルスリーによるドラマチックなオーケストラ・アレンジメントが取り入れられている。デチューンされたハモンドオルガンは警察の到着を表している[5]。フロントマンのデイブ・ディーはこの曲はバンドのこれまでのヒット曲よりもシリアスなものだと考えており、『ディスク・アンド・ミュージック・エコー英語版』誌で「過去の反復的なレコードを作ったとは誰も言わないよ。彼らはギミックに富んでいたけれど、常に互いに違っていた。けど進歩しなければならない時が来るし、もう少しストレートなものに挑戦しなければならない時が来るんだ」と語った。ディーはバンドのヒット曲の中でこの曲が1番好きだという[10]

発売

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「ソーホーの夜」は「ミセス・サーズディ」をB面として1968年6月28日にフォンタナより発売された。バンドはシングルのプロモーションとしてソーホーのストリップ・バーの前でバイクと一緒に写真を撮り[10]、また7月4日の『トップ・オブ・ザ・ポップス』で曲を披露した[11]。曲は全英シングルチャートに11週入り、最高順位は8位であった。バンドにとって最後の全英トップ10入りシングルとなった[3]

評価と遺産

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レコード・ミラー英語版』のピーター・ジョーンズ英語版はこの曲を賞賛し、「このグループがトップの座を維持するスタイルのコンスタントな切り替え」に注目した[12]。『メロディ・メイカー英語版』のクリス・ウェルチ英語版はこの曲を「キサナドゥーの伝説」ほど商業的ではないと考え、「彼らのいつものギミック満載のパフォーマンスから離れている」と評した[13]。「ソーホーの夜」はキンクスのシングル「デイズ」と同時期にチャートインしていたが、リードシンガーのレイ・デイヴィスは『ディスク・アンド・ミュージック・エコー』のコラム「ヒット・トーク」で「『ソーホーの夜』は好きではない」「『キサナドゥーの伝説』は僕の好みではなかったし、この曲もそうだ」と表明している[14]。一方で『メロディ・メイカー』のコラム「ブラインド・デート」のインタビューを受けたザ・フーキース・ムーンは「彼らがいつもやっているハンガリアン・ビア・チャントよりもこっちの方が好きだ」と述べた[13]

このシングルの成功を受けてデイヴ・ディーは俳優になりたいと言い出し、『ディスク・アンド・ミュージック・エコー』誌上で「ヒットを連発するのはいいけど、特に目指すものがないところまで来てしまうんだ。挑戦がなければ人生は退屈でつまらなくなり、結局はつまらないレコードを作ることになる」と語った[10]。ディーは1年以上経った1969年9月にバンドを脱退し、1970年にマーティ・フェルドマン主演のコメディ映画Every Home Should Have One』に出演した[15]

クエンティン・タランティーノ監督の映画『デス・プルーフ in グラインドハウス』で使用されたデイヴ・ディー・グループの1966年のヒット・シングル「ホールド・タイト英語版」を聴いたエドガー・ライトは「ソーホーの夜」と出会った。ライトの2021年のサイコロジカルホラー映画『ラストナイト・イン・ソーホー』はこの曲にちなんで名付けられており[16]、エンドクレジットで使用もされている。

チャート

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チャート (1968) 最高
順位
オーストラリア (Kent Music Report)[17] 61
ドイツ (GfK Entertainment charts)[18] 13
アイルランド (IRMA)[19] 11
オランダ (Dutch Top 40)[20] 15
オランダ (Single Top 100)[21] 15
ニュージーランド (Listener英語版)[22] 4
シンガポール (Radio Singapore英語版)[23] 1
UK シングルス (OCC)[3] 8

参考文献

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  1. ^ “More Big Name 45's”. New Musical Express. (22 June 1968). https://worldradiohistory.com/UK/New-Musical-Express/1968/NME-1968-06-22-S-OCR.pdf 5 July 2021閲覧。. 
  2. ^ Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick, & Tich – May 1968” (2016年11月11日). 11 November 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月21日閲覧。
  3. ^ a b c "Dave Dee Dozy Beaky Mick Tich: Artist Chart History". Official Charts Company.
  4. ^ Larkin, Colin (2011). The Encyclopedia of Popular Music. 5th Concise Edition: Omnibus Press. p. 516 
  5. ^ a b c Last Night In Soho (Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich)”. Jon Kutner. 6 July 2021閲覧。
  6. ^ Altham, Keith (December 1968). “Dave Dee's Happy To Make Instant Hits”. New Musical Express. https://www.rocksbackpages.com/Library/Article/dave-dees-happy-to-make-instant-hits 6 July 2021閲覧。. 
  7. ^ “Ex-cop Dave Dee turns crook!”. Disc and Music Echo: 6. (22 June 1968). https://worldradiohistory.com/UK/Disc/1968/Disc-&-Music-Echo-1968-06-22.pdf 4 July 2021閲覧。. 
  8. ^ “Soho Song”. Runcorn Weekly News: 20. (27 June 1968). https://www.britishnewspaperarchive.co.uk/viewer/bl/0003296/19680627/205/0020 4 July 2021閲覧。. 
  9. ^ a b Chapman, Rob (2015). Psychedelia and Other Colours (1st ed.). Faber & Faber. p. 555. ISBN 978-0-571-28200-5 
  10. ^ a b c Farmer, Bob (3 August 1968). “Dave Dee... from Soho to Pantomime, just for the challenge”. Disc and Music Echo: 13. https://worldradiohistory.com/hd2/IDX-UK/Music/Archive-DISC-IDX/IDX/1968/Disc-&-Music-Echo-1968-08-03-IDX-13.pdf#search=%22dave%20dee%20soho%22 6 July 2021閲覧。. 
  11. ^ “Disc News”. Disc and Music Echo: 4. (6 July 1968). https://worldradiohistory.com/UK/Disc/1968/Disc-1968-07-06-S-OCR.pdf 6 July 2021閲覧。. 
  12. ^ Jones, Peter (29 June 1966). “Your guide to this week's new singles”. Record Mirror. https://worldradiohistory.com/UK/Record-Mirror/60s/68/Record-Mirror-1968-06-29.pdf 4 July 2021閲覧。. 
  13. ^ a b Welch, Chris (6 July 1968). “Pop Singles”. Melody Maker. https://worldradiohistory.com/UK/Melody-Maker/60s/68/Melody-Maker-1968-0706.pdf 8 July 2021閲覧。. 
  14. ^ Davies, Ray (17 August 1968). “Hit Talk”. Disc and Music Echo: 3. https://worldradiohistory.com/UK/Disc/1968/Disc-&-Music-Echo-1968-08-17.pdf 6 July 2021閲覧。. 
  15. ^ Matthews, Simon (27 October 2016). Psychedelic Celluloid: British Pop Music in Film & TV 1965 - 1974. Oldcastle Books. p. 192. ISBN 9781843444589. https://books.google.com/books?id=R_ZEDQAAQBAJ&dq=every+home+should+have+one+dave+dee&pg=PT193 8 July 2021閲覧。 
  16. ^ Edgar Wright On 'Last Night In Soho', Quentin Tarantino And 'Baby Driver 2'”. Esquire. 8 July 2021閲覧。
  17. ^ Kent, David (2005). Australian Chart Book 1940–1969. Australian Chart Book Pty Ltd, Turramurra, N.S.W.. ISBN 0-646-44439-5 
  18. ^ "Musicline.de – Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich Single-Chartverfolgung" (in German). Media Control Charts. PhonoNet GmbH.
  19. ^ "The Irish Charts – Search Results – Last Night in Soho". Irish Singles Chart.
  20. ^ "Nederlandse Top 40 – Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich" (in Dutch). Dutch Top 40.
  21. ^ "Dutchcharts.nl – Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich – Last Night in Soho" (in Dutch). Single Top 100.
  22. ^ flavour of new zealand - search listener”. www.flavourofnz.co.nz. 2021年8月20日閲覧。
  23. ^ "Hits of the World" (PDF). Billboard. 19 October 1968. p. 77. 2021年8月20日閲覧