ソニータ・アリザデ
ソニータ・アリザデ(ダリー語: سونیتا علیزاده Sonita Alizadeh、1996年 - )は、アフガニスタン出身の女性ラッパーで、歌を通して強制結婚への抗議を行っている。 「売られる花嫁」(英語: Brides for Sale)で両親に売られて結婚させられる娘を歌い、注目された。 イランの映像作家のロクサレ・ガエム・マガミは3年間彼女を取材し、映画「ソニータ」を発表した。 映画の中で、彼女の両親は彼女を売る計画を建てていた。 また、当時のイランでは女性は公共の場所で歌う事が禁止されていた[1]。 彼女が「売られる花嫁」をYouTubeで発表すると、アメリカ合衆国のStrongheart Groupが彼女に学生ビザを発行する事を提案し、彼女はそれを受けて現在アメリカで学んでいる[2]。
これまでの人生
[編集]アリザデは、当時タリバンが支配していたアフガニスタンのヘラートで育った。 10歳になった時、両親は彼女を売ろうと考えた。 彼女は「結婚が何を意味するのかまだよく分からない」と答えた[3]。 その後、タリバンから逃れる為に家族でイランに避難した。 彼女は風呂洗いの仕事をしながら、読み書きを独学した。 この頃、彼女はイランのYasやアメリカのエミネム等のラップと出会った。 彼らに触発されて、彼女は自分の歌を書き始めた。 2014年、彼女は「アフガニスタン人に選挙で投票するよう求める」歌をアメリカの大会に送った。 彼女は1000ドルの賞金を獲得し、それをアフガニスタンに戻った母に送った[2]。
売られる花嫁
[編集]大会優勝後すぐに、彼女の母は「アリザデを買う男性が見付かったので、すぐに帰国するよう」手紙を送って来た。 彼女はまだ16歳だった[3]。 母は娘を売る事で9000ドルの持参金を稼ぎ、それを使って兄に花嫁を買おうと考えた。 ロクサレ・ガエム・マガミ監督が母に2000ドルを送る事で、半年の猶予期間を得た彼女は「売られる花嫁」を書き上げ、監督はPVを撮影し、国際的な反響を得た。 PVはアフガニスタンの女性だけでなく、非営利のStrongheart Groupの目に留まり、アメリカで学ぶよう提案する事になった[2]。
現在
[編集]彼女は現在ユタ州のワサッチ・アカデミーで正規の学生として学んでいる。 作詞活動も続けており、2015年11月にはアムステルダム国際ドキュメント映画祭で「ソニータ」が上映され[3]、高評価を得た[4]。 また、サンダンス映画祭では観客賞を獲得し、2016年5月のシアトル国際映画祭でも上映された。
脚注
[編集]- ^ Marusic, Kristina (October 12, 2015). “This Afghan Teen Escaped Forced Marriage By Making a Rap Video”. MTV October 23, 2015閲覧。
- ^ a b c Bloom, Deborah (October 12, 2015). “Afghan teen uses rap to escape forced marriage”. CNN October 23, 2015閲覧。
- ^ a b c Wainwright, Robert (October 8, 2015). “Afghan teen rapper was 10 when her mother first considered selling her”. The New York Times October 23, 2015閲覧。
- ^ 'Sonita': IDFA Review