ジェフリー・ダイチ

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ジェフリー・ダイチ(Jeffrey Deitch 1950年 - )は、アメリカアートディラーキュレーターロサンゼルス現代美術館長であり、ダイチ・プロジェクト(Deitch Projects)の経営者でもある。これまでにオノ・ヨーコアンディ・ウォーホルキース・ヘリングジャン・ミシェル・バスキアジェフ・クーンズなどトップアーティストを手掛け、森美術館六本木ヒルズ)やギリシャの実業家ダキス・ヨアヌーなど世界的な美術館やコレクターのアートアドバイザーを務めている。そのため、「アート界のミダス王[1]とも称される。

略歴[編集]

  • 1978年ハーバード大学大学院(ハーバード・ビジネス・スクール)修了。
  • 1979年-1988年シティバンクに勤務し、アートファイナンス部門の開発を担当。ジョゼ・ムグラビなど個人コレクターのアートアドヴァイザーを務める。ヴァイスプレシデントに就任。
  • 1970年代中期-、批評家、キュレーターとして活躍。Arts、Art in America、Artforumなど雑誌やホイットニー美術館などの美術館のカタログなどに多数寄稿。アメリカの『Flash Art』初代編集長に就任。
  • 1996年2010年、ダイチ・プロジェクツ開廊。
  • 2009年 森美術館のアートアドヴァイザーに就任。
  • 2010年2013年、ロサンゼルス現代美術館館長[2]
  • 2014年ー、ジェフリー・ダイチ・ギャラリーをニューヨークに再開廊。また2018年にはフランク・ゲーリー設計の15000平米に及ぶ別館がハリウッドに開廊した。

彼が1992年に企画した「ポストヒューマン」展は、遺伝子工学などの新しい科学技術が従来の「人間」の概念や倫理観を刷新していくことを展覧会によって予見し、その後の芸術に多大な影響を与えた。フランス、ドイツ、イタリアなど世界7カ国を巡回し、ダミアン・ハースト、フィッシュリ&ヴァイス、ポール・マッカシーなど参加していたアーティストのほとんどが現在、世界的な知名度を獲得し、活躍している。

なお1996年に開廊したダイチ・プロジェクツの最初の展覧会は、ヴァネッサ・ヴィークロフト、森万里子などを含むものだった。 1980年代のグラフィティ・アート黎明期からの支持者であり、Kehinde WileyやCecily Brown、Keith HaringやJeff Koonsといったアーティストが彼のギャラリーに所属した。

2006年、ダイチはサザビーズでブリジット・ライリーの『Untitled (Diagonal Curve) 』 (1966年) を210万ドルで購入し、作家の過去最高記録を更新した。

2010年、ロサンゼルス現代美術館 (MOCA) の館長に就任。(Deitch Projectsは閉廊。) 特に2011年に開催されたArt in the Streets は、アメリカ初の大規模なグラフィティ・ストリートアートの調査をもとにした展覧会となった。 また、アートに特化した初のオリジナルYouTubeチャンネルMOCAtvを考案。

2012年にMOCAの長年のチーフキュレーターであるPaul Schimmel氏をダイチは解雇し、それに抗議して、アーティストのJohn Baldessari氏、Ed Ruscha氏、Barbara Kruger氏、Catherine Opie氏の4人のMOCA役員が辞任に追い込まれたことが議論を呼んだ。

2015年、ギャラリーを再開し、Tom Sachs、Eddie Peake、Walter Robinson、Ai Weiwei、Kenny Scharf、Austin Lee、Urs Fischer、Judy Chicagoらによる展覧会を企画。

歌手のマドンナや映画監督のミシェル・ゴンドリー、デザイナーのジェレミー・スコットらとコラボレーションするなど、マルチメディアな活動を展開している。

主な展覧会[編集]

  • 1975 「Lives」
  • 1979 「Born in Boston」
  • 1984 「新しい肖像」 (MOMA PS 1)
  • 1988 「カルチュラル・ジオメトリー」
  • 1989 「心理学的抽象」
  • 1992 「ポストヒューマン」
  • 1993 「アペルト部門」(ヴェネチア・ビエンナーレ)
  • 2011 「ストリートの中にある芸術」(ロサンゼルス現代美術館)
  • 2012 「 The Painting Factory:Abstraction After Warhol」(ロサンゼルス現代美術館)

脚注[編集]

関連施設・関連美術家[編集]

外部リンク[編集]

《公式ウェブサイト》