シャタパタ・ブラーフマナ
『シャタパタ・ブラーフマナ』(サンスクリット: शतपथब्राह्मण Śatapatha-Brāhmaṇa)は、白ヤジュルヴェーダに対するブラーフマナで、現存する全ブラーフマナのうちでもっとも詳細なものである。
概要
[編集]シャタパタ・ブラーフマナとは「百の道のブラーフマナ」という意味で、全部で100の章(アディヤーヤ)から構成されているためにこの名がある[1]:212[2]:192。
マーディヤンディナとカーンヴァの2種類の版があり、前者は全14巻(kāṇḍa)、後者は17巻から構成される[1]:212-213[2]:192。ひとつの巻がいくつかの章(adhyāya)に分かれ、各章がブラーフマナに分かれ、各ブラーフマナが節に分かれる。
マーディヤンディナ本の最初の9巻は白ヤジュルヴェーダのヴァージャサネーイ・サンヒターの最初の18巻に対する注釈である。残る5巻のうち、巻10は火の祭壇の神秘を扱い、巻11はそれまでの巻の祭儀の繰り返し、巻12-13はさまざまな補足的な出来事を扱う。最終巻14の最初はプラヴァルギヤ祭 (Pravargya) で、その終わりの6章はブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッドである[1]:212-213[2]:192-194。
内容
[編集]シャタパタ・ブラーフマナには祭儀に関する議論のほか、後の叙事詩やプラーナ文献に見られるような伝説も載せられている。
巻1第8章の第1ブラーフマナでは大洪水とマヌ、イダーの伝説が伝えられていることでよく知られる。『マハーバーラタ』のアルジュナの子孫とされるクル国王ジャナメージャヤ(13.5.4.1)や、のちにカーリダーサによって戯曲化されたプルーラヴァスとウルヴァシーの伝説(11.5.1.1。ただしすでにリグ・ヴェーダ10.95に見えている)や、シャクンタラーの話(13.5.4.13)も登場する[1]:216。巻6では創造神話が語られる。
翻訳
[編集]『シャタパタ・ブラーフマナ』のマーディヤンディナ本の本文はアルブレヒト・ヴェーバーによって校訂出版された[1]:212。
東方聖典叢書にジュリアス・エッゲリングによる英訳が含まれている(巻12・26・41・43・44の5巻。1882-1900年。ただしブリハッド・アーラヤニカ・ウパニシャッドは同じ叢書の別の巻にマックス・ミュラーの翻訳があるために省略)。
脚注
[編集]- ^ a b c d e Macdonell, Arthur A. (1900). A History of Sanskrit Literature. New York: D. Appleton and Company
- ^ a b c Winternitz, Moriz (1927). A History of Indian Literature. 1. translated by S. Ketkar. University of Calcutta
外部リンク
[編集]- The Satapatha Brahmana, Internet Sacred Text Archive(エッゲリングの翻訳を電子テキスト化したもの)
- Satapatha-brahmana, Wisdom Library(上と同じだが、サンスクリットの綴りが現代のものに改められている)