クラゲノミ類
クラゲノミ類 | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Hyperiidea H.Milne-Edwards, 1830 |
クラゲノミ類 (Hyperiidea) は端脚目に属する甲殻類である。全世界の海洋に分布し、多くの種はゼラチン質の動物プランクトン(クラゲ・サルパ)に寄生する。
ゼラチン質動物プランクトンを利用せず、植物プランクトンを摂食する種なども知られている[1]。こういったグループをウミノミ類と呼ぶことがあるが、この区分は多系統群にあたり、分類学的な裏付けはない。また、端脚類全般を示すのに使われる「sea flea」の訳語に「ウミノミ」が充てられることもある。この誤用については端脚類#人との関わりを参照のこと。
形態
[編集]体の構造は他の端脚類とほぼ同じで、頭部・胸部7体節・腹部6体節からなる。底生のヨコエビ類と比べると口器があまり発達しないことが特徴であるが、これは寄生性の端脚類全般に見られるものである[2]。
外洋に適応した形態を持つこと以外に、この群をヨコエビ類から特徴付ける明確な形態形質は存在しないと言える。これは外洋への適応が収斂進化の結果であり、この分類群が多系統群であることを示唆するものである[2]。
分類
[編集]- コガシラ下目 Physosomata
- ムカシウミノミ上科 Archaeoscinoidea
- ムカシウミノミ科 Archaeoscinidae - 2属7種
- ランケオラ上科 Lanceoloidea
- クネオラ科 Chuneolidae - 1属3種
- ランケオラ科 Lanceolidae - 4属21種
- フクレウミノミ科 Microphasmidae - 3属8種
- スキナ上科 Scinoidea
- メスフクレウミノミ科 Mimonectidae - 2属6種
- プロスキナ科 Proscinidae - 2属7種
- ノコギリウミノミ科 Scinidae - 5属46種
- オオガシラ下目 Physocephalata
- フクロウミノミ上科 Cystisomatoidea
- フクロウミノミ科 Cystisomatidae - 1属8種
- ヨコヒゲウミノミ上科 Lycaeopsoidea
- ホソアシウミノミ科 Lycaeopsidae - 1属3種
- ナガヒゲウミノミ上科 Phronimoidea
- Bougisidae - 1属1種 Bougisia ornata
- Dairellidae - 1属1種 Dairella californica
- クラゲノミ科 Hyperiidae - 8属31種
- Iulopididae - 1属2種
- クラゲノミモドキ科 Lestrigonidae - 6属19種
- タルマワシ科 Phronimidae - 2属10種
- マルオウミノミ科 Phrosinidae - 3属9種
- オリタタミヒゲ上科 Platysceloidea
- Anapronoidae - 1属1種 Anapronoe reinhardti
- ノコバウミノミ科 Brachyscelidae - 2属6種
- カミソリウミノミ科 Lycaeidae - 2属11種
- トガリズキンウミノミ科 Oxycephalidae - 8属19種
- タテウミノミ科 Parascelidae - 5属11種
- テングウミノミ科 Platyscelidae - 5属19種
- ネコゼウミノミ科 Pronoidae - 4属14種
- Tryphanidae - 1属1種 Tryphana malmii
- ヘラウミノミ上科 Vibilioidea
- Cyllopodidae - 1属2種
- ボウズウミノミ科 Paraphronimidae - 1属2種
- ヘラウミノミ科 Vibiliidae - 2属23種
系統
[編集]W. E. Browne et al.(2007)[5]によると、クラゲノミ亜目は3つのクレードに分けることができる。
- クレード1
- オリタタミヒゲ上科
- クレード2
- コガシラ下目+フクロウミノミ科
- クレード3
- ナガヒゲウミノミ上科+ヘラウミノミ上科+Iulopididae +Tryphanidae
という構成であるが、各クレードが端脚目の中にどのように位置づけられるかは明らかでない。
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脚注
[編集]- ^ 杉崎宏哉 (1991). “ニホンウミノミの生態学的研究”. 日本生態学会関東地区会 40 .
- ^ a b “HYPERIID AMPHIPODS (AMPHIPODA HYPERIIDEA) OF THE WORLD OCEANS”. 2012年8月24日閲覧。
- ^ “Hyperiidea in WoRMS”. 2012年8月24日閲覧。
- ^ “Hyperiidea in BISMaL”. 2012年8月24日閲覧。
- ^ W. E. Browne et al. (2007). “Phylogenetic analysis of lineage relationships among hyperiid amphipods as revealed by examination of the mitochondrial gene, cytochrome oxidase I (COI)”. Integr. Comp. Biol. 47 (6): 815-830. doi:10.1093/icb/icm093.