アカイボカサタケ

アカイボカサタケ
Entoloma quadratum
分類
界 : 菌界 Fungi 門 : 担子菌門 Basidiomycota 綱 : 真正担子菌綱 Homobasidiomycetes 目 : ハラタケ目 Agaricales 科 : イッポンシメジ科 Rhodophyllaceae 属 : イッポンシメジ属 Entoloma 種 : アカイボカサタケ Entoloma quadratum
学名
Entoloma quadratum (Berk. & M.A. Curtis) E. Horak
シノニム
Rhodophyllus quadratus Berk. & M.A. Curtis
和名
キイボカサタケ

アカイボカサタケ（赤疣傘茸、学名: Entoloma quadratum）は、雑木林に生えるイッポンシメジ科イッポンシメジ属の小型から中型のキノコである。食毒性は不明であったが、近年の図鑑では有毒とされる。全体が朱紅色で、成長の度合いによるが中心に突起ができ、名前にイボと付く由来になっている。

分布と生態

東アジアの日本や台湾、ニューギニア、マダガスカル、北アメリカ（東部・中部）に分布する。落葉分解菌。夏から秋にかけて雑木林などの林床の落ち葉の隙間から発生し、群生または散生する。時折、近縁種であるシロイボカサタケの近くに生えている様子も見ることができる。雑木林内では比較的よく見かけることができるキノコである。落葉を分解して栄養を得るために、子実体を持ち上げると菌糸が広がる落葉が一緒に持ち上がる。

概容

子実体は傘と柄からなり、朱紅色または鮭肉色をしており、イッポンシメジ科らしい華奢で繊細なキノコである。

傘の径は1 - 5センチメートル (cm) 、円錐状または円錐鐘状、傘の上面は薄い橙色から朱紅色、サーモンピンク色（鮭肉色）をしており、中心に小さなイボ状の突起があるが、この突起は落ちやすい。また和名にアカ（赤）とつくが、橙色に近い。湿時は傘の周縁に放射状の条線を現す。傘の下面のヒダは傘と同色で、やや疎らに並び、柄に直生から上生する。

柄は長さ5 - 11 cm、太さ1.5 - 4ミリメートル (mm) で上下道幅、表面は傘と同色、中空で少し捻れる。肉は脆く、表面と同色。

担子胞子は四角状の六面体で、無色、径10.5 - 12.5マイクロメートル（μm）、非アミロイド性。緑シスチジアは大形で、円柱形から棍棒形をしている。胞子紋は汚桃色。

基本種はキイボカサタケ（Entoloma murrayi）およびシロイボカサタケ（Entoloma murrayi f. album）と同形同大であるが、全体が朱紅色で濃い肉色をしているため区別がつく。またこのキノコからは、不快な臭いが出ており、多くの場合、近くに寄っただけでも臭いを感じることができる。このキノコは図鑑により毒の有無が分かれており、食毒不明のキノコである。

• 
  落ち葉の隙間から生える
• 
  傘の頂部にいぼ状の突起がある
• 
  傘裏のヒダは疎らで傘と同色
• 
  柄は細長い円柱状でやや捻れる

参考文献

• 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2。 
• 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』（増補改訂新版）山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5。 
• 前川二太郎 編著『新分類 キノコ図鑑：スタンダード版』北隆館、2021年7月10日。ISBN 978-4-8326-0747-7。 

• 本郷次雄ほか『キノコの世界』朝日新聞社〈朝日百科〉、1997年10月。ISBN 4-02-380011-2。 
• 本郷次雄 監修、幼菌の会 編『きのこ図鑑：カラー版』家の光協会、2001年8月。ISBN 4-259-53967-1。 
• 今関六也、本郷次雄『原色＊日本菌類図鑑』保育社〈保育社の原色図鑑 23〉、1977年5月。ISBN 4-586-30023-X。 
• 今関六也、本郷次雄『続 原色＊日本菌類図鑑』保育社〈保育社の原色図鑑 42〉、1976年11月。ISBN 4-586-30042-6。 

関連項目

• キイボカサタケ
• シロイボカサタケ