コンテンツにスキップ

TAA-1 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

TAA-1は、トヨタ自動車が試作した小型飛行機実験機。機体名の「TAA」はToyota Advanced Aircraftの略[1]

概要[編集]

トヨタ自動車は期待を満たさなかったLima IIに続く形で[2]1998年平成10年)頃よりTAA-1の開発に着手した[2][3]。開発は米国トヨタ自動車販売と共同で行われ[2][4]ボーイングレイセオンから雇用された技術者[2][3]約40名が[3]、従来のトヨタ生産方式に近い形で設計に従事した[2]。設計に加えて胴体と主翼の製造がトヨタ側で行われ、尾翼やシステム周りの製造[5]および全体の組み立てはスケールド・コンポジッツに委託された[2][3][5]

TAA-1は小型飛行機技術の検証を目的とした実験機であり、トヨタが自動車製造で蓄積した[2][4]空気力学と低コストでの生産に関する技術が、小型飛行機にも応用できるかを検証の対象としていた[2]。胴体はカーボンファイバーと樹脂の複合材による一体成形を[4]製造法のデモンストレーションを兼ねて採用しており[5]、4名が搭乗できた[2][3]。エンジンはライカミング IO-360英語版(180 hp)を1基備える[2][5]アビオニクスは日本製のものを使用している[2]。市販された場合の価格は50,000ドル強と見積もられていた[3]

飛行試験もスケールド・コンポジッツに委託されており[1][2][3][4][5]機体記号「N72TA」を取得し[2][5]2002年(平成14年)5月31日モハーヴェ空港で初飛行した[2][3][4]。この際の飛行時間は1時間だった[4]。その後の飛行試験の中で[4]TAA-1は良好な操縦性を見せたが[1]、重量過多が性能の低下を招いており[2]、計画は試作段階以降に進展しないまま終わった[1][2]。TAA-1は断続的に2008年(平成20年)まで飛行を行った後、2011年(平成23年)3月に連邦航空局(FAA)の登録を抹消された[2]。なお、この間トヨタはTAA-1の詳細を公表しない方針を維持していた[2][3]

また、派生型として降着装置を引込脚に改めたTAA-2も計画されていたが、実現せずに終わった[2][5]

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]