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Portal:性/特集項目/11

遊女(ゆうじょ、あそびめ)は、遊廓宿場男性に有償で性的な仕事をする女性のことで、娼婦売春婦の古い呼称。「客を遊ばせる女」と言う意味が一般的である。「遊女」という呼称は古くからあり、元来は芸能に従事する女性一般を指したものであり、とりたてて売春専業者を意味するものではなかった。古代中国では遊女のことを妓女と呼ぶが、遊女という言葉は『詩経』周南・漢広編に「漢に遊女有り、求むべからず」とある。この詩経での用例は、(漢水)べりで遊ぶ女という意味、もしくは川の女神という意味である。齋藤茂は日本語での遊女は、この詩経での「出歩き遊ぶ女」から派生したようだとしている。なお、日本の遊女の別称である「女郎」は、古代中国では「若い女性」の意味である。日本では古来より数多くの呼称があり、古く『万葉集』には、遊行女婦(うかれめ)の名で書かれており、平安時代になるとこれに代わって遊女(あそび)がでてくる。「遊(あそび)」は、『源氏物語』みをつくしの巻に「遊共の集ひまいれるも」(底本によっては「遊」を「遊女」とするものもある。)、『栄花物語』に「えぐち(江口)という所になりて、あそびどもかさに月をいだし」、『散木集』に「あそびども数多もうで来て」、『更級日記』に「あそび三人」などがあり、歌舞を主にし、「あそびめ」「あそびもの」とも言った。中世には、傀儡女(くぐつめ)や白拍子(しらびょうし)、傾城(けいせい)、上臈(じょうろう)などと呼ばれていた。近世になると、女郎(じょろう)、遊君(ゆうくん)、娼妓(しょうぎ)といった呼称もあらわれる。遊廓の遊女には位があり、最高位の遊女を太夫という。江戸吉原遊廓では太夫が消滅した宝暦以降は高級遊女を花魁(おいらん)といった。大衆的な遊女には湯屋で性的労働を行う湯女(ゆな)、旅籠で性的労働を行う飯盛女(めしもりおんな)がある。そのほか街角で買春客を待つ京都の辻君(つじぎみ)、大坂惣嫁・総嫁(そうか)、江戸の夜鷹(よたか)などもある。ただし一般的には、「遊女」「遊君」と言った場合はこうした大衆的な娼婦より上位の女を指す。

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