MAS 50

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MAS Mle.1950
概要
種類 自動拳銃
製造国 フランスの旗 フランス
設計・製造 サン=テティエンヌ造兵廠 (MAS)
シャテルロー造兵廠英語版フランス語版 (MAC)
性能
口径 9mm
銃身長 112mm
ライフリング 4条左回り
使用弾薬 9x19mmパラベラム弾
装弾数 9+1発
作動方式 シングルアクション
ショートリコイル
全長 193mm
重量 820g
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MAS Modèle 1950は、フランスサン=テティエンヌ造兵廠MAS)およびシャテルロー造兵廠英語版フランス語版MAC)で製造された自動拳銃[1]

概要[編集]

1940年代後半のフランス軍は、第二次世界大戦で大きな被害を出したために、その装備火器は、連合国のものやナチス・ドイツによるフランス占領下に持ち込まれたり生産されたりしたドイツ製のものなどが混在し、非常に多彩になっていた。拳銃については、戦前から用いられていたSACM 35(Mle.1935A)MAS 35(Mle.1935S)のほか、アメリカ製のM1911、ドイツ製のルガーP08ワルサーP38が用いられていた。特にワルサーP38は評価が高く、モーゼル社を接収して4万丁の再生産までさせている[2]。しかしこれらの拳銃は、使用弾薬からして規格が異なり、兵站上の問題が大きかった。このことから、これらを一括して更新する国産拳銃として開発されたのが本銃である[1]

設計面では、1930年代に開発されてフランス陸軍の制式拳銃となっていたMAS 35(Mle.1935S)を元にしている。同銃は7.65×20mm弾を使用していたのに対し、本銃では、ワルサーP38などと同じ9x19mmパラベラム弾の規格にあわせてスケールアップしている。またグリップの滑り止め横溝など、デザイン上でもワルサーP38との類似点が指摘されている[1]

トライアルの結果、本銃は1952年に国家憲兵隊を含むフランス軍の制式拳銃として選定され、また国家警察共和国保安機動隊(CRS)でもワルサーP38の後継として採用された[3]。このほか、旧フランス植民地諸国でも多数が採用された。この大量の需要に対して、当時MAS 49半自動小銃の生産も行っていたMASの生産能力では対応しきれず、当初はシャテルロー造兵廠(MAC)が生産の主力となった。

その後、性能の陳腐化に伴い、1980年代に入ると新制式拳銃としてPAMAS G1ベレッタM92G)が選定され[4]、本銃はこちらに更新されて運用を終了することとなった[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 床井雅美『最新軍用銃事典』並木書房、2000年、35頁。ISBN 978-4890631278 
  2. ^ 床井雅美『ワルサー・ストーリー』徳間書店、1995年、100頁。ISBN 978-4198903015 
  3. ^ HISTORIQUE DES ARMES DE LA POLICE NATIONALE” (PDF) (フランス語). 2016年1月23日閲覧。
  4. ^ 床井雅美『ベレッタ・ストーリー』徳間書店、1994年、57頁。ISBN 978-4198901417 

関連項目[編集]