FactSet Research Systems

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
FactSet Research Systems
種類
株式公開企業
市場情報

NYSE:FDS

S&P500インデックス
業種 金融情報サービス
設立 1978年
創業者 Howard Wille・Charles Snyder
本社 米国、コネチカット州ノーウォーク
拠点数
24ヶ国の60拠点
売上高 増加 US$ 15.9億 (FY 2021年)
営業利益
増加 US$ 4.74億 (FY 2021年)
利益
増加 US$ 3.99億 (FY 2021年)
総資産 増加 US$ 22.2億 (FY 2021年)
純資産 増加 US$ 10.2億 (FY 2021年)
従業員数
10,892
ウェブサイト [1]

ファクトセット・リサーチ・システムズ英文FactSet Research Systems (NYSE: FDSNASDAQ: FDS) )は、アメリカ合衆国コネチカット州ノーウォークに本社を置く、金融データ及びソフトウェア会社である。同社は、顧客サポート、導入サービス、データの提供、インデックスサービス、ポートフォリオデータの管理、及びトランザクションサービスを提供する。

ファクトセットの競合会社は、ブルームバーグ (Bloomberg L.P.) 、リフィニティブ(REFINITIV)Capital IQである。

沿革[編集]

1977年 - 1980年:初期[編集]

ファクトセットは、1978年Howard WilleCharles Snyderによって設立された。二人のパートナーシップは、ウォール・ストリートの調査機関のパイオニアであるFaulkner, Dawkins & Sullivanで1977年、二人が働いていたときに始まる[1]

1970年代の終わりに、コンピュータの役割がより顕著になり、WilleとSnyderは、業界が変化しつつあることに気付く。ShearsonがFaulkner, Dawkins & Sullivanを買収し規模を拡大し始めたとき、WilleとSnyderはコンピュータベースの財務情報を提供する会社を自ら設立することを決める。WilleとSnyderの夢は、クライアントに直接使用可能なデータを提供することだった。

1981年 - 1989年:製品の成長[編集]

1980年代初頭、従業員は10人に満たなかった。 1981年、Snyderは、クライアントが直接ファクトセットのデータベースからデータをVisicalcというスプレッドシートにダウンロードする方法を開発し、データのダウンロードプロセスは劇的に改善された。

1984年、ファクトセットはスクリーニング機能を追加。1988年には、独自のスクリーニング条件をカスタマイズできる「Universal Screening™」に拡張される。1989年の「Private Database Service (PDS) 」サービスが開始される。ユーザーはPDSを使用することにより独自のデータ分析を実行し、保存・統合することができるようになった[1]

前会長のPhilip A. Hadleyは、1985年にコンサルタントとして入社した。

1990年 - 2000年:Windowsへの移行とポートフォリオ管理ツールの導入[編集]

1990年、Windows用FactSetが、販売開始。同年、同社の本社はニューヨーク市からコネチカット州グリニッジに移転された。

1993年にロンドンオフィスがヨーロッパ初めてのオフィスとしてオープンした。

1995年には、東京に初めてのアジア太平洋事務所がオープン。

1995年末時点で、同社の顧客数は400に満たなかったが、顧客リストには84社の米国トップの投資マネジャーが含まれていた。同社はまた、上場準備のため、1995年6月に社名を変更し、ファクトセット・リサーチ・システムズ社となった。同社は、FDSのティッカーで1996年ニューヨーク証券取引所に上場した[2]

1996年、同社はPortfolio Management Workstation(PMW)をリリースし、1年後には、Economic AnalysisとCompany Explorerのアプリケーションを販売開始した。

同製品は、1998年のDIRECTIONSインタフェースのリリースと、ウェブベースのヘルプ参照機能であるOnline Assistant®の追加によって、より機能的になった。また、1999年に24時間の電話サポートを導入した。

Willeは、2000年5月にCEO兼会長を退職。Snyderが暫定的にCEOを務めた後、同年の9月に、Hadleyが新CEO兼会長に指名された。

2000年 - 2009年:ポートフォリオとリアルタイム製品の微調整[編集]

2000年代初頭の新製品としては、ポートフォリオのリターン製品、SPAR(スタイル・パフォーマンス・アンド・リスク)、Data Centralアプリケーション、Marqueeが挙げられる。SPARは、ポートフォリオ・マネージャーが、リスクと自己資金のパフォーマンス分析を可能にするだけではなく、同業他社との資金比較・分析をも可能にした。Data Centralアプリケーションは、時系列の独自データを簡単に保存・作成・管理できることを可能にした。Marqueeは、個別銘柄レベルの分析とリアルタイムニュース・クオートを組み合わせて利用できる[1]。2004年、同社のSell-Side(Dealチーム向け)のプラットフォーム、IBCentralがリリースされた。

また2004年に、同社はコネチカット州ノーウォーク に本社を移転し、3つのコネチカットオフィスをノーウォークに集約。売上高は2002年に初めて2億ドルを超え、2008年には5億ドルを突破した。

2008年、Thomson ReutersのWorldScopeのデータベースのコピーを取得。ファクトセットFundamentalsとして、開発及びマーケティングを加速させた。

2009年 - 2015年:インタフェースオーバーホールと継続的なデータの開発[編集]

2009年、DIRECTIONS、Marquee、IBCentralプラットフォームを1つに統合し、FactSet Workstationと呼ばれる製品をリリースした[3]。新プラットフォームは、新しい共有のオンラインワークスペース及び高速な分析ツールと、従前のプラットフォームの特徴を兼ね備えている。

2010年1月 FirstRainが業務提携を発表。ファクトセットのクライアントは、FirstRainのウェブ・リサーチ・エンジンにアクセスが可能となると同時に、未集約のビジネス情報をオンラインで検索、フィルター、分析することが可能となった[4]

2010年5月 Thomson Fundamentals データベースの買収を完了[5]

2010年6月 アドバイザーの指導や保険商品の調査を主に行う米国拠点の市場調査会社、Market Metricsを買収[6]

2012年6月 リアルタイムニュース等を提供するStreeAccountを買収。

2013年  ラインオブビジネス、産業分類のデータを提供するRevere Dataを買収。

2015以降[編集]

2015年9月 リサーチマネジメントテクノロジーを提供するCode Redを買収

2015年6月 マルチアセット取引執行システムを提供するPortwareを買収

2016年12月 オーダーマネジメントシステムを提供するCYMBA及び顧客レポーティングソフトウェアを提供するVermilionを買収

2017年3月 パフォーマンスとリスク分析を提供するBISAMを買収

2017年4月 Interactive Data Managed Solutionの買収によりウェルス事業の強化

2018年 上海オフィスを開業

2020年 ESGデータを提供するTruvalue Labsを買収

2021年12月 S&P500に採用される 

財務情報[編集]

2021年第4四半期のNon-GAAP売上高は前年同四半期の15億ドルから6.5%増の16億ドル。この売上増は分析ツール、コンテント・テクノロジーソリューション、ウェルスマネジメントソリューションの順調な成長によるものである。純利益は7.1%増の4億ドル。

リーダーシップチーム[編集]

  • Philip Snow - 最高経営責任者(CEO)[7]
  • Kate Stepp - 最高テクノロジー責任者(CTO)
  • Linda Huber - 最高財務責任者(CFO)
  • Helen Shan - 最高収益責任者(CRO)
  • Rachel R. Stern - 最高法務責任者(CLO)及びストラテジックリソース統括責任者
  • Daniel Viens - 最高人事責任者(CHRO)

最近の表彰[編集]

2022年
  • ベストアナリティック提供会社
  • ベストクライアントアントレポーティングソリューション
  • ベストオルタナティブデータ提供会社
  • ESGデータ提供者オブザイヤー(アメリカ)
  • プロダクトサービスオブザイヤー

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b c Company History”. Answers.com. 2011年1月28日閲覧。
  2. ^ 1996 SEC Filing”. Sec.edgar-online.com. 2011年1月28日閲覧。
  3. ^ Crosman, Penny (2009年9月16日). “FactSet Launches New Data/Analytics Platform - Wall Street & Technology”. Wallstreetandtech.com. 2011年1月28日閲覧。
  4. ^ First Rain Announces Reseller Agreement with FactSet | FactSet Research Systems”. Factset.com (2010年1月19日). 2011年1月28日閲覧。
  5. ^ FactSet completes acquisition of Thomson Fundamentals database copy”. Finextra.com. 2011年1月28日閲覧。
  6. ^ FactSet Acquires Market Metrics”. Seeking Alpha (2010年6月15日). 2011年1月28日閲覧。
  7. ^ OUR LEADERSHIP”. FactSet (2022年9月1日). 2022年9月1日閲覧。

外部リンク[編集]