AdBlue

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カナダで販売される1ガロン(3.785リットル)入りのもの
5リットルプラ容器入りのAdBlue
日野自動車製トラック(北米仕様)にある尿素水タンク(DEFと書かれているタンク)

AdBlue(アドブルー)は尿素SCRシステムにおいて触媒として用いられる高品位尿素水である。組成は尿素32.5%、脱イオン化純水67.5%。ISO 22241にてAUS 32(aqueous urea solution 32%:32%尿素水溶液の意)として規格化されている。日本国内やヨーロッパにおいてはAdBlueの名称で普及しているがドイツ自動車工業会VDA)の登録商標[1]であり、それ以外の地域ではディーゼルエグゾーストフルード(Diesel exhaust fluid、DEF:「ディーゼル排気液」の意)の名前あるいは規格名のAUS 32の名前で普及する。

作用原理[編集]

AdBlueは尿素((NH2)2CO)を32.5%含む。排気ガス中にAdBlueを噴射することで尿素が熱分解されイソシアン酸が得られる。

(NH2)2CONH3 + HNCO

イソシアン酸が水分により加水分解され二酸化炭素アンモニアとなる。

HNCO + H2OCO2 + NH3

即ち、下記の通りの反応をする。

(NH2)2CO + H2O → 2 NH3 + CO2

アンモニアは酸素と触媒の存在下で窒素酸化物を窒素と水蒸気に還元する。

4 NO + 4 NH3 +  O2 → 4 N2 + 6 H2O
NO2 + 8 NH3 → 7 N2 + 12 H2O

尿素による窒素酸化物の削減の反応は下記の通り。

(NH2)2CO + 4 NO + O2 → 4 N2 + 4 H2O + 2 CO2
(NH2)2CO + 6 NO2 → 5 N2 + 8 H2O + 4 CO2

寒冷条件下での運用[編集]

AdBlueはセ氏氷点下11度において凍結する。尿素SCR触媒を寒冷時においても作動させるためには、AdBlueがなるべく短時間で解凍される必要があり、できれば数分以内でそれが完了するのが望ましい。アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は2010年に70分以内にタンク内のすべての尿素水が解凍されきることを求めている。

通常は尿素水タンクにエンジンからの冷却水配管を通し、その排熱で解凍するようになっているが、冷却水が温まるまでの時間がまず必要であり、尿素水を解凍しきるまでともなれば1時間近くかかることもある。そのため短時間で解凍できるよう別途電熱解凍するためのヒーターを尿素水タンクに備えることもある。過熱しすぎることで尿素水が分解されることを防ぐため、PTCヒーター等によってセ氏50〜60度を超えないよう制御される。

貯蔵[編集]

SCRシステムは尿素水の純度には敏感であり、それ故にAdBlueの溶媒は純水となっている。尿素水は無色透明かつ人体に対して無害であるため安全に取り扱えるとされる。しかしながら金属を腐食しうるためその貯蔵・輸送には注意が求められる。

AdBlueは車上タンクに貯蔵され、計量されたうえで排気内に噴射される。噴射量はエンジンコントロールユニット(ECU)がエンジンの運転状況に基づいて制御する。噴射量は通常は燃料消費量のおよそ2〜6%程度である。噴射量を低く抑えることで補充までの間隔を伸ばしたり、タンクの容量を削減することでトラック等の貨物車では積載量への影響を減らすことができるようになる。

AdBlueは主に尿素SCRシステムを搭載した車種を販売するディーラーや大型車対応のガソリンスタンド等で販売されている。車両を運用する事業者の拠点が取り寄せる場合もある。大型車対応ガソリンスタンドや拠点内スタンドに計量器を設置する場合、たいていは燃料の計量器と隣接した位置に設置され、車両を移動することなく燃料とAdBlueを両方を補充できるようになっている。他にも、事業者の拠点内の整備工場内にドラム缶バッグインボックスの形で常備することもある(直射日光が当たらない、通気がよく涼しく乾いた場所に保管するのが望ましい)。また枯渇対策の応急用に車載できる小型パウチもある。

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 商標登録4823467”. 2019年5月12日閲覧。