APAR (レーダー)

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APAR
種別 多機能レーダー
開発・運用史
開発国 オランダの旗 オランダ
就役年 2003年
送信機
周波数 Xバンド(10 ギガヘルツ ± 20%〜30%)
アンテナ
形式 アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)
4面固定式
素子 半導体素子×3424個 (1面あたり)
方位角 アンテナ1面あたり120度
仰俯角 70度
探知性能
探知距離 150km
その他諸元
重量 20,000 kg
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APAR英語: Active Phased Array Radar)は、オランダタレス・ネーデルラント社が開発した多機能レーダー。名前のとおり、アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)アンテナを用いたレーダーであり、本レーダーの名称はその略称である。

概容[編集]

本機はNAAWS (NATO対空戦闘システム)の中核となり、目標の捜索・追尾および射撃指揮を一手に担う多機能レーダーである。

3424個の素子を並べたアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナを4面有しており、塔状の構造物の周囲に集中配置している。各面が上下左右に120度ずつの探知範囲を持つことで360度全周の探知が可能になっている (それぞれのアンテナの探知範囲が重なっている領域がある)。アレイのそれぞれに信号処理ユニット、データ処理ユニットが接続されており、各アレイを4つに分割して、それぞれに2発ずつのミサイルの誘導を割り当てることができる。これにより、システム全体では、最大で32個の目標と同時に交戦することができる。さらに、200の対空目標と150の対水上目標を同時に処理できると主張されている。

遠達性よりも解像度を重視して、動作周波数はXバンドを使用しており、探知距離は150kmと比較的短い。このため、NAAWSにおいては、より長距離の捜索を担当するSMART-Lレーダーも連接されて、APARを補完することとなっている。

APARを含むNAAWSは、当初TFC計画艦に搭載されることになっていた。TFC計画よりスペインが離脱したのち、計画はオランダとドイツのみで続行され、これに基づいて建造されたザクセン級フリゲートおよびデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートには、本レーダーが搭載されている。TFC計画に参加していない韓国やオーストラリアに対しても、NAAWSに含まれる形で提案されていたが、いずれもイージスシステムに敗北し採用には至らなかった。初の海外顧客はデンマークであり、アイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲートにAPARが搭載されている。

搭載艦[編集]

参考文献[編集]

  • 多田智彦「世界の最新艦載レーダー (特集 最近の艦載レーダー)」『世界の艦船』第607号、海人社、2003年2月、84-89頁、NAID 40005630582 
  • 野木恵一「世界の艦載多機能レーダー (特集・多機能レーダーと艦艇デザイン)」『世界の艦船』第687号、海人社、2008年3月、88-89頁、NAID 40015830635 

関連項目[編集]

  • NAAWS - APARを主要なセンサーのひとつとする艦載C4Iシステム
  • FCS-3 - 同様の多機能レーダーを中核とした日本の射撃指揮システム。ESSMなどを誘導するためのICWI (間欠連続波照射) のアルゴリズムを本システムより移植して導入している。