リミッター (音響機器)
リミッター (Limiter)は、入力音量が予め設定された閾値(スレッショルドレベル)を超えた場合に、その変化を設定した比率(レシオ、レイシオ、圧縮比)で減少させて、ピークのばらつきを一定範囲に抑える機材である。音量を一定のレベル以下に抑える(過大入力が起こらないようにする)ことを目的としてリミッターを入れる。圧縮比を∞:1に設定することもある。 リミッターを入れることで、録音機の前に入れて録音の歪みを防いだり、放送設備の送信機の前に入れて過変調を防いだり、PA装置の前に入れて機器(特にスピーカー)が破損しないよう保護することができる。
動作からわかるように、コンプレッサーとほぼ同一の電子回路が用いられている。したがって、リミッターとコンプレッサーが統合され、1つの機器で両方の動作が可能な機種もある。圧縮比が10:1以上でリミッターとされている[1]ものの、リミッターとコンプレッサーは、用途によって呼称の使い分けがされていると考えても良いだろう。リミッターはコンプレッサーよりも、スレッショルドレベルを高く、圧縮比を大きく設定してあることが普通である。
なおアタック時に最大音量を発する減衰音系楽器の場合、リミッターで音のアタックを抑えることにより、相対的にアタック以外の音が強調されて音質が変わるので、音質を変えるためのエフェクターとしてリミッターを使用することもある。
参考文献
- 『プロ音響データブック(三訂版)』 株式会社リットーミュージック 2001年12月22日発行 ISBN 4-8456-0730-1
関連項目
脚注
- ^ 『サウンドレコーディング技術概論(改訂版)』 日本音楽スタジオ協会 2007年 ISBN 4-87462-055-8