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学士・修士一貫教育

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学士・修士一貫教育(がくし・しゅうしいっかんきょういく)とは、大学がその大学または他校の大学院と連携し、学士課程修士課程を標準修業年限の6年やそれより短い年数で修了することができるようにする制度[1]である。 法学士・法務博士一貫教育もこの項で詳述する。

概要

学士・修士一貫教育

大学の学部(学士課程)の修業年限は学校教育法により4年であり[2]、大学院の修士課程の一般的な修業年限は2年である。そのため、普通に就学すると学士課程と修士課程を修了するのに6年かかるが、日本の様々な大学が学部と修士課程を連携させ、6年の連携プログラムのに加えて、5年や4年の一貫教育で両方の学位を取得することができるプログラムを設置している。

この教育プログラムが設置され始めた背景には時間的・費用的負担を軽減することで、現在伸び悩む大学院進学者を増やしたいという目的や、優秀な学生に短期間で修士号まで取得してもらって社会に出てもらいたいという目的などがある[3]

仕組みには、学部を3年で終え、大学院の修士課程を2年で修了するものや、学部4年時に学部科目の履修と同時に大学院修士課程の科目の履修を開始することで修士課程まで5年で修了できるようにするものなどがある[3][4]。大学院飛び級試験に合格することにより、学部を中退して大学院の1年に編入できる例[5]もあるが、これは入試時に示していないので厳密には一貫教育ではない。

慶応義塾大学では湘南藤沢キャンパス開設25周年を記念し、2015年度より、総合政策学部、環境情報学部、大学院政策・メディア研究科で「学部・大学院修士4年一貫教育プログラム」を開始した。このプログラムは学部の課程を3年、修士課程を1年で修了するものである[3]

日本の法学士・法務博士一貫教育

2022年現在では、飛び級抜きで24歳で法務博士が取得可能となり、1年の司法修習を経て25-26歳から法曹の道に入ることが出来る。

専門職大学院である法科大学院について法学部に法曹コースを設置し、特別な選抜や飛び級や早期卒業の制度を利用して3年+2年の計5年で修了させる試みが開始されている。実務家としてのスキルを身につけさせ、学士および法務博士の学位を同時に取得できるようにする仕組みである。この制度はいままでいかなる自校の学部出身学生の優遇も禁止されていた法科大学院入試が改革され、事実上の5年一貫教育を誕生させるまったく新しい制度となった。東北大学[6]一橋大学慶応義塾大学などがこの制度を設置した。また、いままで認められていなかった既修者コースのみの法科大学院も設置された。

法律未修者は法科大学院の未修者コースに入学するのが一般的であるが、法曹コースの成立後は法学部の法曹コースに学士編入学し、一貫制度を使うことが推奨される。

未修者コースがなくなるわけではない。しかし、多くの法律研究者が法科大学院から博士後期課程に進んで研究者となるいま、学部1年から始まる法曹コースに入らないと法科大学院に進みづらいという状況となると研究者がより少なくなってしまうのではないかという懸念がある[7][8]。このため、法曹研究者用の短縮プログラムの設置も検討されている。

導入年度

日本の学士・修士一貫教育

  • 2000年度 - 一橋大学商学部・商学研究科において学士・修士5年一貫教育が開始された。これは当時先進的な取組みであった。
  • 2015年度 - 慶應義塾大学では以前から存在した5年一貫プログラムに加え、総合政策学部と環境情報学部および大学院政策・メディア研究科において4年で学士および修士の学位が取得できる「学部・大学院修士4年一貫教育プログラム」が開始された[3]

日本の法学士・法務博士一貫教育

主な例

脚注

  1. ^ 大学院科目を学部で先取り、 修士取得まで短縮化!”. www.gakuryoku.gakken.co.jp. 2019年5月4日閲覧。
  2. ^ 学校教育法87条
  3. ^ a b c d e SFC のキャンパス開設 25 周年を記念して 総合政策学部、環境情報学部、大学院政策・メディア研究科で 2015 年度から「学部・大学院修士4年一貫教育プログラム」を開始』(プレスリリース)慶応義塾大学、2014年9月29日https://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2014/osa3qr000000ab9f-att/140929_1.pdf2019年4月12日閲覧 
  4. ^ 5年一貫教育プログラムについて”. 一橋大学. 2019年4月12日閲覧。
  5. ^ 特に意欲的な学生は、"飛び級"により、3年生から4年を経ずに直接大学院に入学できます。”. www.sci.tohoku.ac.jp. 東北大理学部・理学研究科. 2020年10月31日閲覧。
  6. ^ 学部・大学院一貫プログラム”. www.gakuryoku.gakken.co.jp. 2019年5月4日閲覧。
  7. ^ 「法曹コース」に関する考え方について(案)”. 文部科学省. 2019年4月12日閲覧。
  8. ^ 森山, 文昭『変貌する法科大学院と弁護士過剰社会』花伝社、2017年10月15日、294-296,305,308頁。 
  9. ^ 法曹コース”. www.law.hit-u.ac.jp. 一橋大学. 2019年12月29日閲覧。
  10. ^ 2020年4月から法学部に、いわゆる法曹コースが開設されました。”. www.j.u-tokyo.ac.jp. 東京大学. 2022年3月22日閲覧。
  11. ^ 令和4年度入学者選抜から、京都大学法学部の法曹基礎プログラムを修了する見込みの者を対象として、学部成績等の出願書類の審査結果及び口述試験の成績に基づいて合否判定を行う5年一貫型教育選抜を実施している(令和3年4月に学生募集要項を公表した)。”. www.j.u-tokyo.ac.jp. 東京大学. 2022年3月22日閲覧。
  12. ^ 法曹養成コースを設置”. kansai-sanpo.com. kansai-sanpo.com. 2020年8月16日閲覧。
  13. ^ 法科大学院進学プログラム(法曹コース)のご案内”. www.law.kobe-u.ac.jp. www.law.kobe-u.ac.jp. 2023年4月25日閲覧。
  14. ^ 学院では、学士課程(※学部相当)と修士課程、修士課程と博士課程の教育カリキュラムが継ぎ目なく学修しやすく設計された教育体系です(それぞれの課程ごとに学位は授与されます)。”. www.titech.ac.jp. www.titech.ac.jp. 2021年7月7日閲覧。
  15. ^ 5年一貫教育プログラムについて”. www.cm.hit-u.ac.jp. www.cm.hit-u.ac.jp. 2021年7月7日閲覧。
  16. ^ 学研・進学情報2015年5月号”. 学研模試. 2019年4月12日閲覧。
  17. ^ 6年一貫教育コース | RESONANCE | 理工学部 | 東京理科大学”. 6年一貫教育コース | RESONANCE | 理工学部 | 東京理科大学. 2019年4月30日閲覧。
  18. ^ 学部・修士5年一貫プログラム”. 帝京大学. 2019年4月12日閲覧。

関連項目