ドロバチ亜科
ドロバチ亜科 | ||||||||||||||||||||||||
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スズバチ Oreumenes decoratus
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||||||||||
potter wasp |
ドロバチは膜翅目(ハチ目)スズメバチ科ドロバチ亜科(Eumeninae)に分類される昆虫の総称。ドロバチ亜科はドロバチ科(Eumenidae)とする場合もある。[1]
本亜科はスズメバチ科の中で最大の亜科であり、世界から3500種以上が記載されている。[2]日本からは50~60種程度が記録されている。[3][4][5]
形態
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生態
本亜科に分類される多くの種が巣作りに際して泥を利用することから「ドロバチ」の名がある。♀成虫は巣を作成、産卵した後、捕獲した獲物を運び込んで貯蔵し、孵化した幼虫はそれを食べて発育する。一部の種で幼虫が孵化した後も♀成虫が継続的に給餌を行う亜社会性が見られるが、多くの種は♀成虫が幼虫の餌の貯蔵と産卵を行った後に開口部を塞いで巣を密閉する単独性昆虫であり、この場合幼虫と♀成虫が接触することはない。巣は通常、幼虫一頭ごとに小部屋(育房)が設けられる。営巣様式は掘坑型(土中や植物組織中に自ら穴を掘るもの)、借坑型あるいは筒住型(植物遺骸や他種の生物が利用した巣穴、人工物など既存の穴に泥と獲物を運び込むもの)、築造型(泥を固めて一から巣を作るもの)の三つに大別される。餌として鱗翅目やハムシの幼虫を利用する。[2][4][6]
日本の代表的な種
学名と分布は北守(2016)日本産有剣膜翅類目録[5]に依拠。
- オオフタオビドロバチ Anterhynchium flavomarginatum (Smith, 1852)
- 筒住性
- 分布:北海道・北海道、本州、四国、九州、佐渡島、対馬、伊豆諸島、琉球列島、小笠原諸島
- スズバチ Oreumenes decoratus (Smith, 1852)
- 築造性
- 分布:北海道、本州、四国、九州、奥尻島、佐渡島、佐渡島、対馬、屋久島、種子島、口永良部島、八重山諸島(人為的移入?)
- ミカドトックリバチ Eumenes micado Cameron, 1904
- 築造性
- 分布:北海道、本州、四国、九州、佐渡島、対馬、屋久島、種子島
人間との関係
本亜科を初めとする管住性ハチ類の調査法として、営巣トラップ(日本では竹筒がよく利用されることから竹筒トラップとも称される)が利用される。管住性ハチ類は種によって好む穴のサイズが異なることが知られており、異なる口径の筒を利用することで異なる種の管住性ハチ類を観察することができる。[8][9][10]また、人工物の穴に営巣する場合があるため、時に事故の要因となり得る[11]が、いずれも本亜科に特有の生態ではないため、注意が必要である。
外部リンク
脚注
- ^ 寺山守 (2011年). “日本産有剣膜翅類目録(2011年版)”. 2020年11月27日閲覧。
- ^ a b Marcel G. Hermes; Gabriel A. R. Melo; James M. Carpenter (2013). “The higher‐level phylogenetic relationships of the Eumeninae (Insecta, Hymenoptera, Vespidae), with emphasis on Eumenes sensu lato”. Cladistics 30 (5). doi:10.1111/cla.12059 2020年11月27日閲覧。.
- ^ 山根正気 (1990). “A REVISION OF THE JAPANESE EUMENIDAE (HYMENOPTERA, VESPOIDEA)”. Insecta matsumurana. New series : journal of the Faculty of Agriculture Hokkaido University, series entomology. 43: 1-189. NCID AA0067559X 2020年11月28日閲覧。.
- ^ a b 遠藤知二. “カリバチのくらし方(膜翅目細腰亜目の生活2)”. 2020年11月27日閲覧。
- ^ a b 寺山守 (2016年). “日本産有剣膜翅類目録(2016年度版)Ver.5”. 2020年11月27日閲覧。
- ^ a b c 市野 隆雄「ドロバチ類の個体群動態に関する比較生態学的研究」『香川大学農学部紀要』第62巻、1997年、1-206頁、ISSN 04530764、NAID 110000134391、NCID AN0003834X、2020年11月27日閲覧。
- ^ a b 森林総合研究所 (2005年). “エントツドロバチ (Orancistrocerus drewseni) - 竹筒ハチ図鑑”. 2020年11月27日閲覧。
- ^ 森林総合研究所 (2005年). “営巣トラップ”. 2020年11月26日閲覧。
- ^ 橋本佳明、遠藤知二「管住性ハチ類からみたニュータウンの環境形態とタウン内残存林のビオトープとしての活用」『人と自然』第7巻、1996年、65-71頁、doi:10.24713/hitotoshizen.7.0_65、NAID 130007738961、2020年11月27日閲覧。
- ^ 橋本佳明、遠藤知二「竹筒トラップの形式が管住性ハチ類のサンプリングに与える影響」『人と自然』第25巻、2014年、75-83頁、doi:10.24713/hitotoshizen.25.0_75、NAID 130007569073、2020年11月27日閲覧。
- ^ “Invasive keyhole wasp builds nests in aircraft instruments, may pose 'significant risk' to air safety”. ABC News (2020年11月26日). 2020年11月26日閲覧。