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フルオロベンゼン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2021年6月7日 (月) 09:29; 市川鍛冶郎 (会話 | 投稿記録) による版 (脚注)(日時は個人設定で未設定ならUTC

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フルオロベンゼン
識別情報
CAS登録番号 462-06-6 チェック
PubChem 10008
ChemSpider 9614 チェック
KEGG C11272 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL16070 チェック
特性
化学式 C6H5F
モル質量 96.103
外観 無色液体
密度 1.025 g/mL
融点

−44 °C, 229 K, -47 °F

沸点

85 °C, 358 K, 185 °F

への溶解度 難溶
磁化率 -58.4·10−6 cm3/mol
構造
分子の形 平面
危険性
NFPA 704
3
1
0
Rフレーズ R36, R37, R38
Sフレーズ S16, S26, S36
関連する物質
関連するハロベンゼン クロロベンゼン
ブロモベンゼン
ヨードベンゼン
関連物質 ベンゼン
1,2-ジフルオロベンゼン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

フルオロベンゼンFluorobenzene)は、分子式C6H5Fで表される有機化合物である。しばしば、PhFと表記される。ベンゼンの誘導体であり、ベンゼンに一つのフッ素原子が導入された構造を持つ。

ベンゼン様の臭気を持つ無色透明の液体だが、融点がベンゼン(5.5℃)と比べて大幅に低い(−44℃)のが特徴。また、ベンゼン同様に引火しやすいため取り扱いには注意が必要となる。

合成法

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実験室スケールでは、フルオロベンゼンはベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートの熱分解によって得られる[1]

PhN2BF4 → PhF + BF3 + N2

上記の反応において、固体のベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートを加熱すると、三フッ化ホウ素とフルオロベンゼンの二種類の揮発物質が生成する。これらは沸点の違いにより分離できる。

歴史

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フルオロベンゼンは、1886年に、ボン大学O. Wallachによって初めて合成された。彼は、まず塩化ベンゼンジアゾニウムピペリジン塩として、これをフッ化水素酸で処理することにより合成した[2]

[PhN2]Cl + 2 C5H10NH → PhN=N-NC5H10 + [C5H10NH2]Cl
PhN=N-NC5H10 + 2 HF → PhF + N2 + [C5H10NH2]F

反応性

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フルオロベンゼンは、炭素-フッ素結合の強さのため、比較的不活性な化合物である。しばしば有機溶媒として利用されるが、金属錯体を結晶化させることがある[3]

[(C5Me5)2Ti(FC6H5)]+の構造、フルオロベンゼンがチタンに配位している

脚注

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  1. ^ Flood, D. T. (1943). "Fluorobenzene". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 2, p. 295
  2. ^ Wallach, O. “Über einen Weg zur leichten Gewinnung organischer Fluorverbindungen” (Concerning a method for easily preparing organic fluorine compounds) Justus Liebig's Annalen der Chemie, 1886, Volume 235, p. 255–271; doi:10.1002/jlac.18862350303
  3. ^ R.N. Perutz and T. Braun “Transition Metal-mediated C–F Bond Activation” Comprehensive Organometallic Chemistry III, 2007, Volume 1, p. 725–758; doi:10.1016/B0-08-045047-4/00028-5.