龍芯

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龍芯: Loongson)は、中華人民共和国中国科学院が開発したCPUである。命令セットMIPSアーキテクチャ

概要[編集]

ファイル:Loongson-3B desktop board (Mini-ITX).png
MIPSベースでありながらx86とARMのバイナリが走る、龍芯3号を採用したパソコン (Mini-ITX)。

龍芯のアーキテクチャは中国科学院が独自に開発したもので、MIPSベースの命令セットを実装している。英称は「Loongson」で、かつては「Godson」と称していた。中国科学院の研究員である胡偉武が、2001年より龍芯プロジェクトを率いている。

当初よりIntelに対抗するため、組み込みだけでなく、クライアント端末やパソコンと言った民生機器への搭載を前提として開発されており、サーバーやスーパーコンピューターなどにも採用されている。スパコンでは中国科学院が中国科学技術大学などと共同開発しているKDシリーズなどで採用されており、サーバーでは曙光のDawningシリーズなどで採用されている。

2009年時点では、中国でもあまり知られておらず、日本では、自社のホームページで何故か技術力よりも社歌をアピールしていることで知られていた[1]

龍芯3号以降では、MIPSを独自に拡張した「LoongISA」命令セットに対応している。またx86ARMのバイナリに対応し、これらのコードを変換して高速で実行するための「LoongBT」と呼ばれる技術も搭載している。

2010年代においては、既にMIPSのエコシステムはx86やARMとは比較にならないほど弱くなっているため、x86やARMのエコシステムを龍芯で生かすためのエミュレーションに主眼が置かれて開発されている[2]

開発者の胡偉武は、龍芯が単に組み込みとして特定の業界で成功するだけでなく、龍芯がIntelからコンピュータ業界を「解放」するのが最終目標であることを語っている[3]

MIPSとの関係[編集]

開発当初はミップス・テクノロジーズが特許を持ついくつかの命令を欠いた「MIPS風」のCPUだと主張していた。中国国内のみでの販売であった時期にはそれでも問題が無かったが、中国国外ではミップスの特許に抵触している可能性があり、中国国外で販売した際に法廷闘争に発展する懸念があった。

2009年6月、ミップス・テクノロジーズとライセンス契約を結び[4]、正式な「MIPS互換」CPUとなった。

製品[編集]

龍芯1号[編集]

龍芯1号は2002年に完成した。ビット数は32ビットで、クロック数は266 MHzである。

龍芯2号[編集]

龍芯2号は2003年に完成した。ビット数は64ビットで、クロック数は300 MHzから500 MHzまである。

龍芯3号[編集]

龍芯3号は2010年に発売。クロック数は1 GHzから1.2 GHzまである。

MIPSの他、x86とARMのコードをエミュレーションすることができる。

注記[編集]

  1. ^ ある意味、ベクトルの違う中国製RISC CPU「龍芯」 - ASCII
  2. ^ 【特集】MIPSなのにx86とARMアプリを高速に実行できる中国製CPU「龍芯」のカラクリ - PC Watch
  3. ^ 中科院计算技术研究所研究员胡伟武:让龙芯奔腾大地 - 新華網
  4. ^ Chinese Chip Project Licenses MIPS Architecture

関連項目[編集]