高木凛

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高木 凛
プロフィール
本名 堀川 光子[1]
誕生日 (1947-07-31) 1947年7月31日
出身地 日本の旗 日本 東京都
主な作品
テレビドラマ 『息子よ』
『教室』
『黄色い髪』
『否認』
『彼女たちの選択』
夫婦善哉
父系の指
受賞
第12回城戸賞入選
第52回文化庁芸術祭優秀賞
第46回文化庁芸術選奨芸術作品賞
第32回ギャラクシー賞大賞
ギャラクシー賞優秀賞
厚生省中央児童福祉審議会特別賞
第14回小学館ノンフィクション大賞受賞
その他
◆著作(ノンフィクション)◆
『沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子』(小学館、2007年)
『大琉球料理帖』(新潮社、2009年)
『最後の版元―浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎』(講談社、2013年)
『大琉球料理帖 英文版』(出版文化産業振興財団、2020年)
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高木 凛(たかぎ りん、1947年 7月31日 - )は、日本脚本家ノンフィクション作家。本名:堀川 光子(ほりかわ みつこ)[1]東京都出身。夫は、日本のテレビドラマの演出家プロデューサーおよび映画監督である堀川とんこう。日本脚本家連盟所属。

来歴[編集]

児童書の出版社勤務等を経て、新人テレビシナリオコンクール(鳩のいる風景)・城戸賞(ひかり)入選を機に1980年代後半からテレビ・ラジオの脚本家として活動。

『黄色い髪』(NHK)、『否認』(NHK)、『息子よ』(TBS)などを手がけ、『父系の指』(TBS)では1994年度ギャラクシー賞大賞を受賞。その後、病気療養で訪れた沖縄の風土に魅せられて、東京・赤坂に沖縄食材を活かした沖縄懐石料理店「赤坂潭亭」(あかさかたんてい)を開業。

この間もテレビ・ラジオドラマ執筆と同時にノンフィクションの取材活動にも意欲的に着手。『湖に佇つ人』(テレビ東京)、ラジオドラマ『夢見た旅』『骨たち』『ぬばたまの闇にみえつつ』『パイパテローマ』(NHK)(1997年文化庁芸術祭優秀賞)、『田辺元・野上弥生子往復書簡』(2010年)など。

2004年、雑誌『毎日が発見』12月号より、〈シャンソン歌手・石井好子、歌い続けて〉のインタビューを毎回、「生きるということ」、「食べるということ」、などのタイトルで、2005年4月号まで連載。石井は最終回で「心友・照屋敏子」を語る。石井と照屋、強く生きる二人の交友に心惹かれた高木は、独自に戦前・戦後・復帰の時の敏子の足跡を追う。

2008年には戦後、沖縄の自立のために多くの事業を起こし、大宅壮一に「沖縄に男あり」と言わしめた“海の女王”照屋敏子・初の本格的評伝。『沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子』(小学館)を出版。第14回小学館ノンフィクション大賞を受賞。

2009年には琉球の古書『御膳本草』から料理を再現した『大琉球料理帖』(新潮社)を出版。だがこの『料理帖』は素材や作りかたは丁寧に書かれているが、料理本につきもののレシピ(調味料の割合)が書かれていない。むしろ琉球が中国と薩摩に両属しながら琉球文化を花開かせた、本土に暮らす日本人の知らない古琉球時代の風俗や庶民の暮らしが食を通して描かれている、不思議な料理本である。再びの病を得て、沖縄懐石料理「赤坂潭亭」は2011年に代表退任。

仕事場を港区から世田谷に移転。この時、一枚の「赤い絵」と再会する。その絵とはかつて、ベルリンの壁崩壊後のドイツを旅した時、土産にと勧められた版画であった。「赤い絵」は2009年、江戸東京博物館で開催された「よみがえる浮世絵展」の表紙を飾っていた。『渡邊木版美術画舗』の協力のもと、「新版画」を興した版元の生涯をたどる。

2013年、江戸から明治へという大きな時代のうねりの中で日本固有の浮世絵版画の技術が消失することに危機感を抱いた男が、版元となり「大正新版画」として浮世絵再興に挑む姿を描いた『最後の版元―浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎』(講談社)を出版。「新版画」はスティーブ・ジョブズなどもコレクション。

湯河原に居を移し、2018年に珈琲好きの夫・堀川とんこうと共に「カフェレストラン宮上倶楽部」を開業。

2020年3月28日、夫が扁平上皮癌(肺癌)により死去。2009年に出版した『大琉球料理帖』の英語版『Traditional Cuisine of the Ryukyu』と題して出版文化振興財団により2020年3月27日に北米中心に発売された。

2023年9月、療養のため「宮上倶楽部」を閉店。

主な受賞歴[編集]

主な作品[編集]

脚本[編集]

  • 教室(TBS、1989年)
  • 黄色い髪[4](NHK、1989年)
  • 息子よ[5](TBS、1989年)※旧厚生省中央児童福祉審議会特別賞を受賞。
  • 否認[6](NHK、1994年)
  • 父系の指[7](TBS、1995年)※第32回ギャラクシー賞大賞を受賞
  • 夫婦善哉[8](テレビ東京、1995年)※ギャラクシー賞優秀賞を受賞。
  • 結婚はいかが?[9](NHK、1996年)
  • パイパテローマ[10](NHK FMラジオ、1997年)※文化庁芸術祭優秀賞

著書[編集]

ノンフィクション[編集]

  • 『沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子[11]』(小学館、2007年)
  • 『最後の版元―浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎[12]』(講談社、2013年)
  • 『大琉球料理帖』(新潮社、2009年)
  • 『大琉球料理帖 英文版』(出版文化振興財団、2020年)

脚注[編集]

  1. ^ a b 高木凛さんらに小学館ノンフィクション大賞”. 朝日新聞 (2007年7月25日). 2021年8月6日閲覧。
  2. ^ 以下は城戸賞の 過去データ のページの記述。◆一般社団法人日本映画製作者連盟主催の城戸賞。◆城戸賞制定の趣旨。本賞は、映画製作者として永年に亘り、わが国映画界の興隆に寄与され、また数多くの映画芸術家、技術家等の育成に努められた故城戸四郎氏の「これからの日本映画の振興には、脚本の受けもつ責任が極めて大きい」との持論に基づき、新しい人材を発掘し、その創作活動を奨励することを目的として昭和49年12月1日「映画の日」に制定されたものである。◆この城戸賞の第12回において「ひかり」で入選となる。当時の名前は鈴木光子。鈴木は旧姓と思われる。
  3. ^ 以下は「石垣島検島誌」の1.パイパティローマ の記述。◆タイトルとしてではなく、語句の意味を説明。◆南波照間島(ぱいぱてぃろーま)は、八重山諸島に属する波照間島のさらに南にあるとされた伝説上の島。大波照間島とも呼ばれる。
  4. ^ 以下は NHKアーカイブス のHPの記述。◆学校で"いじめ"にあい、登校拒否になった中学生、家にも学校にも居場所のみつけられない子供と、母親や先生など回りの人々の苦悩をドラマ化する3回シリーズ。
  5. ^ 以下は TBSチャンネル のHPの記述。◆小児がんであと半年の生命と宣告された少年と、信州の大自然で彼に残りの日々を過ごさせようと考えた両親。一家の病気との戦いを5回にわたって描き、最高視聴率22.7%を記録した感動大作。親子3人を、滝田栄、原日出子、伊崎充則が演じた。吉岡吾郎・秋子夫婦の一人息子・伸一は、ユーイング肉腫という不治の病に冒される。吾郎は職も家も捨て、親子3人で信州に引っ越すことを決める。1989年作品。
  6. ^ 以下は テレビドラマデータベース のHPの記述。◆NHK土曜ドラマ否認 -前編-、-後編-◆ロッキード事件担当検事・堀田力氏の小説をドラマ化。建設汚職事件をめぐる弁護士と被疑者のやりとりを軸に、赤裸々な人間模様を描く。環境整備開発工事をめぐり贈収賄事件が発覚し、贈賄側の首謀者・高野万治営業部長(近藤正臣)が逮捕される。検察は社長が主犯とみて追及するが高野は否認。弁護士の曽根吐夢(中井貴一)は、執行猶予にするには社長関与を認めるしかないと主張する。「法廷ドラマはかくあるべし、と言わんばかりの緊張感。迫真の筋立てに、脚本・演出が、緻密な構成と絵作りでこたえた。正義とは、というややロマンチックなメッセージを発しながら、汚職事件の本質を描く。
  7. ^ 以下は テレビドラマデータベース のHPの記述。◆作家として大成した清張(長塚京三)の回想話。清張の父親・峯太郎(橋爪功)は、紡績工員のタニ(泉ピン子)と結婚した。清張(三浦勉)が生まれ、養母のかね(杉山とく子)を引き取り4人の生活が始まった。「松本清張の小説がテレビドラマ化される際は、サスペンスが圧倒的に多いが、この巨匠は優れた純文学的作品も残した。『或る「小倉日記」伝』の初映像化で高く評価された演出家堀川とんこうが、今度は「父系の指」などの私小説を基にして、清張文学の原風景に迫る秀作を作った。貧乏の中でも向学心を燃やす息子は、手の指が父と似ていた。ついに故郷に錦を飾れなかった父の不運と悲しさ、義弟から清張への援助を断られた母の悔しさ、苦労…。自分の精神的骨格をはぐくんだ両親への思慕の情と、近親憎悪が入り交じる複雑な感慨は、時代や環境の違いを超えて、多くの親子に通じる真実だろう。
  8. ^ テレビドラマデータベース のHPに、この番組に関しての記述あり。
  9. ^ 以下は テレビドラマデータベース のHPの記述。◆NHK ドラマ新銀河◆業界で5本の指に入る流通企業「トーザイ」の企画部に勤める有馬千秋(かたせ梨乃)は、バリバリのキャリアウーマン。大手化粧品メーカー「美粧堂」との契約を取り付けた彼女は、今いちばん仕事に乗っているとき。ところがいきなり関連会社の結婚情報産業「ミス大阪」大阪支社への出向の辞令が出る。
  10. ^ 以下は RADIO DRAMA のHPの記述。◆ある嫌な想い出から逃れるために家を出た祥子は、あてもなく南の果て、久高島にやって来る。ちょうど八月祭の日に島を訪れた彼女は、そこで思いがけぬ人の優しさに触れることになる。ステレオ50分(FMシアター)
  11. ^ 国立国会図書館 のHPに記載あり。
  12. ^ 国立国会図書館 のHPに記載あり。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]