電磁的記録

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

電磁的記録(でんじてききろく)とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することのできない方式で作られた記録のこと。つまりデータのことを指す法律用語の一つ。

概要[編集]

刑法においては、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」(刑法第7条の2)と定義され、電子計算機(コンピュータ)で処理可能なデジタルデータを指す。その他、民事訴訟法電子記録債権法不動産登記法商業登記法等においても刑法と同様の定義がなされている。

ただし、情報公開法やその関連条例においては、「電子的方式、磁気的方式その他の知覚によって認識することができない方式で作られた記録をいう。」と定義され、VHSなどのビデオテープカセットテープなどのアナログデータも電磁的記録に含まれる。その他、日本郵便株式会社ゆうメールにおいても情報公開法と同様の定義がなされている。

電磁的記録を保存するためのフロッピーディスクCD-ROMUSBメモリSSDHDDなどのコンピュータ用メディアや、キャッシュカードの磁気部分などは電磁的記録媒体と呼ばれ、電磁的記録が保存された電磁的記録媒体を電磁的記録物と呼ぶ。

文書との関係[編集]

不可視の無形物である電磁的記録は、従来の文書や図画とは異なる概念のものであるため、その扱いは法律によってまちまちである。

刑法・民事訴訟法[編集]

電磁的記録は、「文書」には当てはまらないが、プリントアウトすることで文書と同等の証拠能力を有することから「準文書」として扱われる(民事訴訟法 第231条)。

情報公開法[編集]

電磁的記録は、「行政文書」に該当することが明記されている(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 第2条第2項)。

郵便法[編集]

電磁的記録物は、「文書」には当てはまらないため、郵便法に定める「信書」にも該当しない[1]

e-文書法[編集]

e-文書法では、商法税法で保管が義務付けられている文書を電磁的記録(電子文書)で保管することを可能にした。

刑事法[編集]

刑法[編集]

刑法各本条においては、電磁的記録の不正使用や損壊等の行為を以下のような犯罪類型として規定している。

電磁的記録不正作出及び供用の罪(161条の2
文書偽造等の罪の特殊類型。
支払用カード電磁的記録に関する罪(163条の2 - 163条の5
有価証券偽造等の罪の特殊類型。
不正指令電磁的記録に関する罪(168条の2、168条の3)
コンピュータウイルス等の作成や提供等を内容とする。
電子計算機損壊等業務妨害罪(234条の2
業務妨害罪の特殊類型。
電子計算機使用詐欺罪246条の2
詐欺罪の特殊類型。詐欺罪は「相手が自然人の場合」にしか成立しないため規定された。

刑事訴訟法[編集]

電磁的記録は、外部からの可読性を欠くため、その捜索差押令状主義との関係で問題になることがある[2]

脚注[編集]

  1. ^ 総務省|信書便事業|「信書に該当する文書に関する指針」Q&A集:
  2. ^ 参考:法務省:法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第8回会議(平成15年8月7日開催)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]