逆格子ベクトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
2次元結晶とその逆格子

逆格子ベクトル(ぎゃくこうしべくとる、Reciprocal lattice vector)とは、物性物理における問題、特に結晶構造の解析やバンド計算等に用いる数学的な概念の一つで、波数の概念の一般化である。

実格子のフーリエ変換[編集]

1次元格子点(点列)のフーリエ変換[編集]

3次元の実空間中にある無限に続く点列を考える。点間隔を表すベクトルをとすると、

これをフーリエ変換すると、逆空間(k空間波数空間逆格子空間)では次の式で表されような無限に続く平面の列(法線、面間隔)になる。

2次元格子点のフーリエ変換[編集]

3次元実空間中にある無限に続く2次元格子点は、次のように表される。

これをフーリエ変換すると、波数空間では2次元的に規則正しく並んだ無限に長いロッドになり、次の式で表される。

これを逆格子ロッドと呼び、結晶表面の構造解析でよく用いられる。

3次元格子のフーリエ変換[編集]

3次元の実空間中の格子点は、次のように表される。

これをフーリエ変換すると、波数空間では次の式で表される3次元格子点になる。

これを逆格子点と呼ぶ。

逆格子ベクトル[編集]

構造を調べたい3次元結晶の実空間における基本並進ベクトル(基本単位ベクトル)を {a1, a2, a3} とする。このとき、この結晶の逆格子空間での基本並進ベクトル基本単位ベクトル基本逆格子ベクトル、単に基本ベクトルとも言う){b1, b2, b3} は、以下のように定義される。

ここで・は内積、×は外積である。このように逆格子空間の基本ベクトルを定義すると、abの間には以下の直交関係がある。

また、{b1, b2, b3} と任意の整数の組 m = (m1, m2, m3) によって構成されるベクトル

逆格子ベクトルという。逆格子ベクトルGm で表現されるベクトルの終点((m1, m2, m3) で表される)の集まりが逆格子、そしてそのそれぞれの終点が逆格子点である。

性質[編集]

任意の実格子ベクトルRn と逆格子ベクトルGm には、

という関係がある。ただしNmn は適当な整数である。

尚、基本並進ベクトルがつくる平行六面体(=単位胞)の体積は、

となる。ここでΩは実空間での単位胞の体積で、ΩGは逆格子空間での単位胞の体積である。

ブリュアンゾーン[編集]

逆格子の単位胞は、逆格子の対称性を十分に反映していない。そこで逆格子の原点とその近くにある逆格子点との二等分面で囲まれた領域が用いられ、これをブリュアンゾーンと呼ぶ。ブリュアンゾーンは逆格子の対称性を反映しており、その体積は逆格子の単位胞の体積と同じになる。

関連記事[編集]

外部リンク[編集]