賭博師は祈らない

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賭博師は祈らない
ジャンル 賭博(ギャンブル)、歴史(初期近代英国[1]
小説
著者 周藤蓮
イラスト ニリツ
出版社 KADOKAWA
レーベル 電撃文庫
刊行期間 2017年3月10日 - 2019年1月10日
巻数 全5巻
漫画
原作・原案など 周藤蓮(原作)
ニリツ(キャラクター原案)
作画 えかきびと
出版社 KADOKAWA
掲載サイト ComicWalker
レーベル MFコミックス
発表期間 2018年2月23日 - 2019年5月24日
巻数 全3巻
話数 全15話
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画
ポータル 文学漫画

賭博師は祈らない』(とばくしはいのらない)は、周藤蓮による日本のライトノベル。また、これらを原作とする漫画。イラストはニリツ電撃文庫KADOKAWA アスキー・メディアワークス)より2017年3月から2019年1月まで刊行された。第23回(2016年)電撃小説大賞の金賞受賞作。

2017年からRPGアツマールにて無料ゲーム版を配信、2018年からComicWalkerにてコミック版(作画:えかきびと)を連載された。

概要[編集]

2016年に行われた第23回電撃小説大賞における金賞受賞作[2]。なにもかもどうでもいいと達観していた主人公が、ひょんなことから少女奴隷と出会い、彼女を救うために立ち上がる[1]。同じ電撃文庫の作家である鎌池和馬には「一人の男が、自らの枷をぶち壊すまでのお話」とコメントされている[3]

作者は主人公が賭博師でヒロインが奴隷、脇役も特殊で現代日本と馴染みの薄い職業の者もおり、物珍しさが感じられる作品としている[3]。また、登場人物たちは主役に限らず、それぞれが確立した価値観と指針を持ち、それぞれの対立や迷いの中で、現実や互いに折り合いをつけていく姿を書きたかったという[3]

このライトノベルがすごい!」の2018年度版では、新作部門において7位(総合21位)[1]

あらすじ[編集]

賭け事が盛んである18世紀末のイギリスロンドン。亡き養父の3つの教えを守り、少額の勝ちで堅実な賭博師生活を送る青年ラザルス・カインドは、誤って大勝してしまいその勝ち分で仕方なく奴隷を購入する。翌朝、奴隷商より連れて来られたのは、異国から連れてこられた褐色の美少女リーラであった。リーラは、奴隷として主人の欲望を叶えるためにどんな扱いを受けようとも決して逆らうことなく調教されて感情を失っており、さらに本来の買い手の希望で喉を焼かれて声も失っていた。

さして奴隷に興味はなく、かといって放り出すわけにもいかずラザルスは、彼女をメイドとして雇うこととし、文字を教えるなど教育を始める。最初は、奴隷として扱われないことに戸惑うリーラであったが、少しずつ打ち解け、ラザルスに心を開いていく。

登場人物[編集]

ラザルス・カインド
主人公。通称「"ペニー" カインド」。亡き養父の教え「負けない」「勝たない」を信条とし、様々な賭場で少額の勝ちを続けて生計を立てる青年。無気力で「どうでもいい」が口癖。「勝たない」の教えによって賭場やその背後にいる犯罪組織に目をつけられないように心がけているが、通常のテクニックから知識、イカサマの技術に至るまで賭博師としての腕は一流でその気になれば大勝できる力を持つ。
リーラ
ヒロイン。ラザルスに買われた異国の少女奴隷。さる富豪が性的目的で依頼を出していた特注品で、喉を焼かれているために声が出せない。そのような出自のため感情を失い、また常に怯えている。異国から無理やり連れてこられたため、イギリスの言葉(英語)や文化も理解しておらず、雇うことを決めたラザルスを戸惑わせる。やがて少しずつラザルスのことを知って心を開いていき、感情も取り戻していく。

準レギュラー[編集]

ジョン・ブロートン
ラザルスの数少ない友人の一人。ストリートファイトで生計を立てる拳闘士(ボクサー)。かつて船乗りだったという偉丈夫で、ラザルスとは対照的な快活な青年。拳闘士として単純に強いだけではなく、興行として見せ場を作るなど頭も回る。
作中の時代は近代ボクシングの黎明期にあたり、スポーツ未満で、ブロートンは公の団体を立てるために活動している。
キース
ラザルスの賭博仲間。顔立ちの整った優男で、賭博師であるが弱い。綺麗な女性を見かけると即座に声をかける軟派者で、実質的にヒモとして生計を立てる。
フランセス・ブラドック
ラザルスの元恋人で一流の賭博師。誰もが目を惹かれるような艶やかな美女だが、賭博の腕はラザルスに匹敵する。美女なら負ければ身体で払うことも珍しくない中、あまりにも強いため「ヴァージン」の異名を取る。
ラザルスとは因縁があり、1巻、4巻において負け無しのディーラーとして彼の前に立ちふさがる。
オブライエン
教会の牧師。ラザルスの古い知人。60を超える白ひげの老人。孤児院も経営しており「先生」と呼ばれる。ラザルスが信頼する人物で、リーラに言葉を教えるため力を借りる。また、職業上危険なラザルスが、自分が危機に陥った場合にリーラを匿ってもらえるよう依頼する。
エディス・トワイニング
ノーマンズ村の地主(ジェントリ)の娘。両親が事故死し、当主としての責務に追われる。2巻でバースへ向かう途中で村を訪れたラザルスを泊め、騒動のきっかけとなる。その後、3巻でもラザルス一行に付いていき、共にバースに泊まる。
フィリー
トワイニング家に仕えるメイド。

帝都の人物[編集]

ブルース・クォーター
賭場「ブラック・チョコレート・ハウス」のオーナー。1巻における敵役。裏社会のボスらしい出で立ちに冷酷な人物。1巻での偽札騒動で立場が危うくなり、4巻までにはかなり裏社会の権益を失っている。
奴隷商人の男
名前不明。リーラの売り主。ブルース参加の組織の幹部で、1巻においては彼の命令で動く。2巻では立場が危うくなったブルースを早々に見捨て、新たなボスにつく。
ウィンストン
裏社会の人間。3巻においてバースの儀典長職争いに関連して街にやってきたラザルスの前に現れる。中盤でウェブスターの差し金とわかるが、実はジョナサンの部下で4巻で正体を表す。
ジョナサン・ワイルド・ジュニア
帝都の裏社会をまとめつつある大物犯罪者。実は代替わりをして当代は女性。20前の若く華奢な体型をしているが、強面の男たちを従える女傑。確固たる支配のため、帝都の司法権を左右する治安判事職を狙っており、またラザルスを手駒に加えようしている。
作中では史実におけるジョナサン・ワイルドの後を継いで帝都の裏社会をまとめようとしたジョナサン・ワイルド・ジュニアなる男がおり、彼女は更に彼から名ごと代を継いだとしている。先代ジョナサンは、ラザルスと強い因縁がある。
ルロイ・フィールディング
治安判事で私設組織「ボウ・ストリート・ランナーズ」の代表。ボウ・ストリート・ランナーズの設立者ヘンリー・フィールディングの養子を名乗る30過ぎの男。ジョナサンの治安判事就任を阻止するため、彼(彼女)が接触したというラザルスに協力を求める。また、その見返りとしてリーラを故郷に返すための船舶チケットを用意する。
「ボウ・ストリート・ランナーズ(en:Bow Street Runners)」は近代警察制度の前身にあたる実在の組織で、ヘンリー・フィールディングも実在の人物である。

バース[編集]

イギリス西部にある温泉で有名な保養地(バース (イングランド))。賭博も盛んで、バースの王とも称される絶大な権限を持った「儀典長」職が街を取り仕切る。3巻の舞台。

キャプテン・ウェブスター
バースの儀典長。老獪な賭博師で、儀典長を長く務める人物。副儀典長ナッシュの挑戦を受け、政争を繰り広げている。過去にカインドの養父と関わりがあり、彼のことを知っている。
リチャード・ナッシュ
バースの副儀典長。ウェブスターに弓を引いた若き野心家。通称ボウ(伊達男)・ナッシュ。争いの最中に街にやってきたラザルスを利用しようとする。
ファニー・マレイ
美しいが不健康そうな女性。生傷が絶えない。30歳中頃。賭場にいたラザルスに接触してくる。実はウェブスターの付き人。
ジュリアナ
正体不明の犯人に全身を殴打され血まみれになっていたところをラザルスに助けられた謎の少女。溌剌とした顔立ちで、やたら明るい。

既刊一覧[編集]

小説[編集]

漫画[編集]

無料ゲーム[編集]

ゲーム投稿コミュニティサイト「RPG アツマール」において、ドワンゴによって、無料ゲームが配信された[4]。ジャンルはアドベンチャーゲーム。

  • タイトル:賭博師は祈らない-旅にはうってつけの荷物-
  • 配信開始日:2017年8月24日
  • 制作:Qpic(タクシー、ステビア、あばた~、ときう、びりりん、平井アス)

脚注[編集]

  1. ^ a b c 『このライトノベルがすごい!2018』
  2. ^ 第23回電撃小説大賞 受賞作”. KADOKAWA. 2018年11月17日閲覧。
  3. ^ a b c 第23回電撃小説大賞 受賞作特集サイト「賭博師は祈らない」”. KADOKAWA. 2018年11月17日閲覧。
  4. ^ 「RPGアツマール」で電撃文庫の5作品を原作にしたゲームが8月10日から順次配信”. 4Gamer.net (2017年8月7日). 2018年11月18日閲覧。

外部リンク[編集]