蛍光ペン

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蛍光ペン

蛍光ペン(けいこうペン、: highlighter)は、フェルトペンのうち、半透明の蛍光インク(水性蛍光顔料インクなど)を用いたものである。

特徴[編集]

蛍光ペンの使用のようす

他の一般筆記用具で記した文字ないし印刷文字の上から、重要な語句などに重ねてラインを引く用途に用いるラインマーカーの一種である。半透明であるため重ね塗りされた文字を読みやすく、また蛍光色で目立つ。主に学生やビジネスマンに使用され[1]コクヨグループ会社が有職者を対象に2015年に実施した調査によれば約8割に使用されている[2]

蛍光ペンの色には主に、黄色黄緑色オレンジ色ピンク色水色空色)、紫色などがある。このうち特に黄色などの淡い色は、複写機のコピーに写りにくい性質があるが、これは複写機の読み取り機能や濃度設定にも左右される[3][4]

蛍光が穏やか、またはほとんど発しない色のラインマーカーも、慣習的に蛍光ペンとして扱われることがある。これらは蛍光のまぶしさを抑えた設計の製品としても存在すれば[5]、限られた色の蛍光物質を配合している製造上の理由によっても存在する(例えば三菱鉛筆の蛍光ペンでは黄色と桃色の蛍光物質を使用している[6])。

一部の蛍光ペンには、染料系インクゆえの耐光性の弱さや、溶媒成分が感熱紙を変色させる[7]といった問題があるが、改良によって、より耐光性の良い顔料系インクや、OA対応を謳う製品が開発されている[8]。その他、カートリッジインクを使用したものや、消去が可能な蛍光ペンも発売されている。

類似用途のものに固形蛍光マーカー[9]やテープ式蛍光マーカー[10]があり、ペン先の乾燥しにくさや裏抜けしにくさ、消しゴムで消せる(テープ式)といった特徴がある。

歴史[編集]

ドイツのスタビロ英語版によれば、1971年に同社が世界初の蛍光ペン「STABILO BOSS」を発売した[11]トンボ鉛筆によれば、1974年に同社が国産初の蛍光ペン「暗記ペン蛍光」を発売した[12]

ゼブラによれば、最初の太・細両頭の蛍光ペンは1975年に同社が発売した「蛍光ペン2」とされる[5]。このアイデアは同社の「ハイマッキー」開発にも活かされた。

2000年、三菱鉛筆はペン先に透明な窓を設け、書く際の視認性を改善した「プロパス・ウィンドウ」を発売した[13]

2006年11月、パイロットコーポレーションはラバーで擦るとインクが消えるラインマーカー「フリクションライン」を発売。2008年10月には蛍光インクを使用した「フリクションライト」を発売した[14]

2014年4月9日、コクヨは1本で異なる2色を書き分けることができる「ビートルティップ・デュアルカラー」を発売した[15]。2020年2月12日には、1本で濃い色と淡い色を書き分けることができる「マークタス」を発売した[16]

カラーバリエーション[編集]

カラフルな蛍光ペンのペン先

蛍光ペンには多様なカラーバリエーションが存在する。一例としてゼブラの「蛍光オプテックス1 EZ」のラインナップを示す[18]。なお、ゼブラでは淡い色を用いた「マイルドライナー」も販売している[19]

インク色 3本セット 5本セット 7本セット 10本セット
ピンク
オレンジ
赤紫
ダークブルー

調査・研究[編集]

  • リサーチパネルは2015年9月25日から26日にかけて、蛍光ペンの色に関する人気調査を実施した。約15万件の回答を集計した結果、最も人気だったのが黄色 (27.8%) で、僅差でピンク (26.9%) 、次いでオレンジ (12.4%) 、緑 (9.7%) 、水色 (7.7%) が続いた。その他、紫や赤などは2%未満で、そもそも蛍光ペンを使用しないとの回答も10.1%あった[20]
  • 日本大学と日本色彩研究所は蛍光ペンを用いたマーキングの効果についての研究を行った。被験者にアルファベット4文字からなる無意味な文字列を様々な方法で記憶してもらい、その効果や疲労度などを分析・評価するというもので、最も効果が高かったのが「ピンクの蛍光ペンで文字を覆う」、次いで「ピンクの蛍光ペンで下線を引く」というものであった[21]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ プレスリリース uni プロパス イレイサブル. 三菱鉛筆, 2004年11月2日.
  2. ^ 仕事中に使用する筆記具トップ3は、ボールペン、シャーペン、蛍光ペン. カウネットモニカ. カウネット, 2015年9月30日. 2016年5月4日閲覧.
  3. ^ 蛍光ペンについて. ゼブラ. 2016年5月3日閲覧.
  4. ^ コピーに写らない蛍光ペンを使いたい. 三菱鉛筆. 2016年5月3日閲覧.
  5. ^ a b くすきはいね. ゼブラの広報さんに、人気製品「マイルドライナー」の裏話を聞いてみた. マイナビニュース. マイナビ, 2015年3月18日. 2016年5月2日閲覧.
  6. ^ 蛍光ペンが光る原理を知りたい. 三菱鉛筆. 2016年5月2日閲覧.
  7. ^ Managing records on thermal papers. National Archives of Australia. 2016年5月3日閲覧.
  8. ^ マーキングペンの雑学. トンボ鉛筆. 2016年5月3日閲覧.
  9. ^ 納富廉邦. ノック式加圧機構ペンから固形インクの蛍光マーカーまで ビジネス向け筆記具のトレンド 2[トンボ鉛筆、オート編]. 日経トレンディネット. 日経BP, 2011年5月19日. 2016年5月4日閲覧.
  10. ^ 消しゴムで消せるテープ式蛍光マーカー. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社, 2015年7月29日. 2016年5月4日閲覧.
  11. ^ スタビロ筆記具の歴史. スタビロジャパン. 2016年5月3日閲覧.
  12. ^ マーキングペンの歴史. トンボKIDS. トンボ鉛筆. 2016年5月3日閲覧.
  13. ^ “インクが従来の3倍の速さで乾く蛍光ペン新発売”. マイナビニュース (マイナビ). (2015年10月21日). https://news.mynavi.jp/article/20151021-a038/ 2020年5月2日閲覧。 
  14. ^ 他故壁氏 (2020年3月1日). “「フリクションライトナチュラルカラー」目に優しいふんわりとした色彩のラインマーカー”. WEZZY (サイゾー). https://wezz-y.com/archives/73988 2020年5月2日閲覧。 
  15. ^ “1本で2色が使える蛍光マーカー「2色蛍光マーカー<ビートルティップ・デュアルカラー>」コクヨから新発売”. マイナビウーマン (マイナビ). (2014年2月5日). https://woman.mynavi.jp/article/140205-121/ 2020年5月2日閲覧。 
  16. ^ きだてたく (2020年2月10日). “濃淡の組み合わせがキモ!コクヨ「マークタス」のチカチカしないマーカーは集中力まで高める!?”. GetNavi (学研プラス). https://getnavi.jp/stationery/470173/ 2020年4月29日閲覧。 
  17. ^ 行正和義 (2009年3月5日). “150円のマーカーでもドイツ製はひと味違う”. ASCII.jp (角川アスキー総合研究所). https://ascii.jp/elem/000/000/217/217488/ 2020年5月2日閲覧。 
  18. ^ 蛍光オプテックス1 / 2 EZ”. ゼブラ. 2020年5月2日閲覧。
  19. ^ マイルドライナー”. ゼブラ. 2020年5月2日閲覧。
  20. ^ デイサーチ 一番好きな蛍光ペンの色はなんですか?”. リサーチパネル. 2020年5月2日閲覧。
  21. ^ 鈴木里佳、木村真、堀江良典、大内啓子「蛍光色によるマーキングの効果」『人間工学』第38巻特別号、日本人間工学会、2002年、 500 - 501頁、 doi:10.5100/jje.38.Supplement_500NAID 130003872441

参考文献[編集]

  • 蛍光ペン. コトバンク. 朝日新聞社. 2016年5月5日閲覧.
  • highlighter. Merriam-Webster's Learner's Dictionary. Merriam-Webster. 2016年5月5日閲覧.
  • highlighter. The Free Dictionary. Farlex. 2016年5月5日閲覧.

外部リンク[編集]