薛剣
薛 剣(せつ けん、簡体字中国語: 薛剑、拼音: 、1968年7月 - )は、中華人民共和国の外交官。江蘇省淮安市漣水県出身。駐日大使館での在外勤務や北京の本省勤務を経て、2021年6月より在大阪総領事[1][2]。
学歴
[編集]経歴
[編集]- 1992年 - 1995年: 外交部アジア局 職員、アタッシェ[1][2]
- 1995年 - 1999年: 駐日大使館 アタッシェ、三等書記官[1][2]
- 1999年 - 2006年: 外交部アジア局 三等書記官、二等書記官、副課長[1][2]
- 2006年 - 2012年: 駐日大使館 一等書記官、参事官[1][2]
- 2012年 - 2014年: 外交部アジア局 参事官兼課長[1][2]
- 2014年 - 2018年: 駐日大使館 公使参事官[1][2]
- 2018年 - 2019年: 外交部アジア局 参事官[1][2]
- 2019年 - 2021年: 外交部アジア局 副局長[1][2]
- 2021年 - (現職): 在大阪総領事[1][2]
在大阪総領事として
[編集]2021年6月29日、在大阪総領事として着任[3]。薛が総領事に着任して間もない7月6日、神戸市と大連市の間で「連携・協力に関する覚書」の調印式がオンラインで開催され、神戸市から久元喜造神戸市長と安達和彦自由民主党神戸市会議員団団長が、大連市から陳紹旺市長と方鉄林副市長が出席したのに加えて、日本の等々力研在大連領事事務所長および中国の薛剣在大阪総領事も出席した[4][5][6]。7月中旬以降、薛総領事は大阪華僑総会や大阪府議会に出向いて着任挨拶を行っている[7]。
発言
[編集]薛は総領事としてX(旧ツイッター)の個人アカウントを運用している。過激な発言も多く、戦狼外交官として知られている[8][9][10]。
2021年ごろの投稿内容はジェイ・キャストにより「対米批判と日中友好で硬軟を使い分けている」と評されていた[11]。しかし、2023年には、日本を糾弾する論説を発表している[9]。
- ダライ・ラマ14世
チベット独立運動の主導者の一人でありノーベル平和賞を受賞しているダライ・ラマ14世を、「平和解放前のチベット最大の農奴主」と発言している[12]。
- 玉木雄一郎
2022年北京オリンピックのボイコットに言及した国民民主党の玉木雄一郎代表を指して、「ハエがウンコに飛びつこうとする西側子分政治家」と発言している[12]。
- 第50回衆議院議員選挙における投票の呼びかけ
2024年10月25日、「全国どこからでも、比例代表の投票用紙には『れいわ』とお書きください」とXに投稿し、第50回衆議院議員選挙でれいわ新選組への投票を呼びかけた。日本政府の要請により、投稿は削除された。衆議院議員の松原仁は、質問主意書で「接受国の国内問題に介入しない義務を有する」というウィーン条約に反するかを尋ねたが、外務省は「一概にお答えすることは困難」と回答した[13][14]。
- 琉球独立運動
琉球独立運動を中国が支援する可能性については、「内政干渉はお互いに慎重になるべき」と述べた[15]。
「汚い首は斬ってやる」発言
[編集]2025年11月8日、内閣総理大臣高市早苗による台湾有事をめぐる国会答弁について、「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』 認定なら武力行使も」と題された朝日新聞の投稿[16]を引用したうえで、自身のXに以下のように投稿した。
勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか。😡 — 薛剣(@xuejianosaka)、https://archive.md/WeOL5
この発言は殺害予告ととれる悪質投稿として批判され、薛剣は投稿を削除した[17]。
発言への反応
[編集]- 日本国内
- 内閣官房長官の木原稔は記者会見で中国側に対して強く抗議し、明確な説明を求めるとともに、「中国の在外公館の長の言論として極めて不適切と言わざるを得ない」と非難した[18]。
- 与野党の議員から、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去を命じるべきだとの発言が出た[19]。
- 大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)は18日の定例記者会見で、薛剣主催の行事に出席しない意向を表明した[20]。投稿について「極めて不適切」とも述べた[20]。
- 14日、大阪市議会は謝罪求める決議を全会一致で可決した[21]。
- 中国国内
- 中華人民共和国外交部の林剣は、10日の定例記者会見で薛剣の発言について問われた際、「台湾を中国から切り離そうとする動きに対処したものだ」と発言し、事実上擁護した[22]。また、この定例記者会見での質疑応答内容はWebサイトに掲載されておらず、朝日新聞は「(外交部が)問題の拡大を懸念し、掲載を避けた可能性」があると報じている[23]。
- 諸外国
- 台湾総統府の郭雅慧報道官は、「このような行為は明らかに外交マナーを逸脱している」と薛剣の発言を批判した[24]
- ジョージ・エドワード・グラス駐日米大使は、「高市首相と日本国民を脅迫している」と批判した。また、イスラエルをナチス・ドイツになぞらえた薛の過去の投稿を引き合いに出し、「再び本性を露呈した」とも非難した。更に「中国政府は『良き隣人』を口癖のように繰り返すが、全く実態が伴っていない」とも指摘し、「いいかげんに、言葉通りの振る舞いを示すべきではないか」とも自身のX(旧ツイッター)上で糾弾した[25][26]。
- 20日、対中政策に関する列国議会連盟は薛剣の投稿を非難し、各国政府へ「日本への支持の表明」を訴えた[27]。
性格や思想等
[編集]- 北京外国語学院に在学中の1989年には、六四天安門事件の民主化学生運動に参加[28]。
- 体制改革が検討されていた胡錦濤政権時代には、リベラルな言説が多かったとされる[28]。
- 出世や保身のためかは不明だが、40代を過ぎてタカ派の戦狼外交官に転向したとされる[28]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k 総領事略歴 | 在大阪中華人民共和国総領事館
- ^ a b c d e f g h i j k 薛剑总领事简历 | 中华人民共和国驻大阪总领事馆
- ^ 中国新任驻大阪总领事薛剑履新 | 中华人民共和国驻大阪总领事馆
- ^ 神戸市:中国 大連市とのMOUの調印式を実施します
- ^ 等々力所長、神戸市と大連市との 「連携・協力に関する覚書」調印式に出席 | 在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所
- ^ 大连神户两市在线签约《缔结友好合作关系备忘录》 | 日本国驻沈阳总领事馆常驻大连领事办公室
- ^ 中国駐大阪総領事が所在不明のまま異例の交代 原因は利権がらみの金銭スキャンダルか | デイリー新潮, p.2
- ^ “日本政府が中国総領事の「汚い首斬る」投稿に強い抗議と削除要請 すでに削除済みか”. 産経新聞 (2025年11月10日). 2025年11月10日閲覧。
- ^ a b “#168 ツイッターで話題の「口汚すぎる」中国外交官 過激な“西側”批判を繰り返すも「戦狼外交」限界説も…”. クーリエ・ジャポン (2023年3月30日). 2025年11月10日閲覧。
- ^ 吉村剛史 (2022年7月1日). “人事の季節を見据え緊張か、中国駐大阪総領事が“名物”過激ツイートを封印”. JBpress. 2025年11月10日閲覧。
- ^ “中国在阪総領事、アフガン輸送機の人転落を揶揄 米国に「こんな『成果』を挙げた」...イラスト物議”. J-CAST ニュース (2021年8月20日). 2025年11月10日閲覧。
- ^ a b “《高市首相“首斬り”発言》中国総領事・薛剣氏の挑発SNSはなぜ野放し? 過去には国民・玉木代表に「ハエがウンコに飛びつこうと…」”. 文春オンライン (2025年11月13日). 2025年11月21日閲覧。
- ^ “◎中国総領事投稿に削除要請=政府”. 時事通信ニュース. 2024年11月23日閲覧。
- ^ 慎平, 奥原 (2024年11月22日). “「衆院選比例は『れいわ』とお書きください」中国の総領事がX投稿、政府「不適切」抗議”. 産経新聞:産経ニュース. 2024年11月23日閲覧。
- ^ 文芸春秋 100(1), 146-151, 2022-01 中国総領事、吠える (中国総領事、吠える) P155
- ^ @asahicom (7 November 2025). “高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」 認定なら武力行使も”. X(旧Twitter)より2025年11月24日閲覧.
- ^ 中国の駐大阪総領事、高市首相に「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」 「台湾有事」めぐり暴言→削除Jcastニュース、2025.11.09
- ^ “中国総領事「汚い首斬ってやる」投稿 抗議し削除要求、木原官房長官”. 日本経済新聞 (2025年11月10日). 2025年11月10日閲覧。
- ^ “ペルソナ・ノン・グラータとは 中国総領事「首斬る」投稿巡り浮上”. 日本経済新聞. (2025年11月12日) 2025年11月12日閲覧。
- ^ a b “薛剣氏の投稿は「極めて不適切、許されない」 吉村知事、総領事主催の行事不参加を表明”. 産経新聞THE SANKEI SHIMBUN. (2025年11月18日) 2025年11月19日閲覧。
- ^ “大阪市議会、中国総領事のX投稿めぐり謝罪求める決議可決”. 日本経済新聞 (2025年11月14日). 2025年11月24日閲覧。
- ^ “訂正:中国外務省、大阪総領事の「斬首」投稿を事実上擁護 高市首相の台湾有事発言に抗議(字幕・10日)”. ロイター (2025年11月12日). 2025年11月24日閲覧。
- ^ “中国外務省、「首斬る」投稿の会見問答を掲載せず 問題の拡大懸念か”. 朝日新聞 (2025年11月11日). 2025年11月24日閲覧。
- ^ “総統府「汚い首切ってやる」発言を批判 「外交マナーを逸脱」 外交部も反応/台湾”. フォーカス台湾 (2025年11月11日). 2025年11月24日閲覧。
- ^ 中国総領事は「日本国民を脅迫」 「本性を露呈」と非難―駐日米大使:時事ドットコム
- ^ グラス駐日米大使、中国総領事を「本性露呈」と批判 SNS投稿巡り - 日本経済新聞
- ^ “IPACが薛剣氏投稿を非難、各国に「日本支持を」 首相答弁は「正当」米欧300人議員”. 2025年11月23日閲覧。
- ^ a b c 「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も|NEWSポストセブン - Part 3
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 総領事略歴 | 在大阪中華人民共和国総領事館
- 薛剑总领事简历 | 中华人民共和国驻大阪总领事馆
- 薛剣 (@xuejianosaka) - X
- 日本は中国敵視政策をとるべきではない - 2022年1月12日
| 公職 | ||
|---|---|---|
| 先代 何振良 |
第15代: 2021年 - |
次代 (現職) |