茶の本

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The Book of Tea
Title page of the American edition of The Book of Tea
著者岡倉天心
United States
言語English
出版社Duffield & Company
出版日1906
ページ数160

茶の本』(ちゃのほん、The Book of Tea)は、岡倉天心の著書。原文は英語

概要[編集]

日本茶道を欧米に紹介する目的で、1906年(明治39年)、米国ボストン美術館で中国・日本美術部長を務めていた天心が、ニューヨークの出版社から刊行した。茶道を仏教)、道教華道との関わりから広く捉え、日本人の美意識や文化を解説している。天心没後の1929年(昭和4年)に邦訳された[1]。訳者は、天心の弟である岡倉由三郎の弟子である村岡博。

新渡戸稲造の『武士道』と並んで、明治期に日本人が英語で書いた著書として重要である。ジャポニズム日露戦争における勝利によって、日本への関心が高まったヨーロッパ各国(スウェーデンドイツフランススペインなど)でも翻訳された。世界的な名著を集めたペンギン・ブックス双書にも2016年に加えられた(著者名は本名のKakuzo Okakura)。邦訳も岩波文庫版が118刷56万部に達し(2019年初時点)、田中仙堂(大日本茶道学会会長)が解説書『岡倉天心「茶の本」を読む』(講談社学術文庫)を著している[1]

岡倉天心にとって「茶の本」は、現在を永遠とするための美の教典である。また、岡倉が最後に執筆したオペラ台本「白狐」は「茶の本」には、東洋と西洋を暗示する二匹の龍が玉を争う場面が描かれており、東洋と西洋が理解しあい、世界が調和することを願った岡倉の白鳥の歌である。[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b 【明治の50冊】(40)茶の本 岡倉天心/平和の精神と輝く気概産経新聞』朝刊2019年1月7日(文化面)2019年1月20日閲覧。
  2. ^ 茨城大学 五浦タイムズ、六角堂と「茶の本」、小泉晋也、「茶の本」とオペラ「白狐」(実演された)、清水恵美子、2019年4月11日閲覧

外部リンク[編集]