羊毛フェルト
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羊毛フェルト(ようもうフェルト)とは、羊毛(ウール)を特殊な針でつつく事で、繊維を絡めながら任意の形に成形できる手芸の一種。ニードルフェルト(Needle Felting)とも呼ばれる。様々な色の羊毛を自由に組み合わせ、作品を制作する。主に動物や食物、アクセサリーなどを模したマスコットやブローチが作られる。羊愛好家も多く、作り方を解説した出版物も多数発行されている。また、多くの個人ブログでも紹介されている。
概要[編集]
羊毛自体はをそのまま束ねたり丸めたりしても繊維が絡まずにほどけてしまうが、フェルティンと呼ばれる先端がささくれている針を差し込む事で、表面の繊維が内側に絡み、フェルト化し固定される。この性質を利用し、様々な作品が作れる。羊毛フェルトを使用したアーティストも存在しており、代表的な人物として、犬や猫、うさぎ等の動物系では中山みどり、立ち人形では鈴木千晶があげられる。
種類[編集]
一般的に羊毛フェルトというとニードル羊毛のことを指すが、シート羊毛という手法でも作品が制作される。
- ニードル羊毛
- ニードルという専用の針を使用する。先端に特殊な引っ掛かりがあり、これが羊毛に引っ掛かる事により繊維が絡まりフェルトとなる。ニードルには用途によって様々なタイプのものがあり、オーソドックスな1本針のもの、3本の針が並列しているものの他に、ペンタイプのものもある。平面はもちろん立体でも、自由に様々な形を作る事ができる[1][信頼性要検証]。
- シート羊毛
- 羊毛を平面上に並べ、石鹸・洗剤等を含ませた水に浸し擦ることで、フェルト収縮の原理で羊毛が固まりシート状のフェルトができる。フェルト収縮(縮絨)とは、羊毛に水分を含ませ刺激を与えると、繊維が互いに絡み合って密着し固まる性質を言い、セーターが収縮するのと同様の原理である。ここでは水がキューティクルを逆立て、石鹸や洗剤のアルカリが羊毛を滑りやすくしている。コースター等の平面作品や、出来たシートを縫い合わせたり重ねたりする作品が多い。
形状[編集]
- スライバー羊毛
- 最も一般的な羊毛フェルト。繊維が平行に揃って束状にまとめられており、洗毛・コーミングなどの過程でゴミ・油・汚れが除去されている。複数の色の繊維がランダムに組み合わされているタイプのものもある。ベースはもちろん、細かいパーツを作成するのにも向いている。作品を全てこのタイプの羊毛で制作する事も多い。
- 綿状羊毛
- ニードルで刺した際にフェルト化しやすいため、主に作品のベースを作成する際に心材として使用される。
- シート状羊毛
- あらかじめシート状にプレスし固めてある。工程を省略する為に用いられる事が多い。
品種[編集]
- ランヴィエ
- フェルティングニードル用に開発された羊毛。弾力があり絡まりやすい。
- ロムニー
- 少々ごわつきがあるがまとまりやすく、針穴が目立ち難い。強度が高いが荒い仕上がりになりやすい。強度が求められるバッグやポーチなどの作品に用いられる事が多い。
- メリノ(メリーノ)
- 毛が細かく柔らかいが、毛玉が出来やすい。小さい作品の細工に向いている。
- シロップシャー
- 繊維の強度も密度も高い。弾力がある。
脚注[編集]
- ^ 参考:羊毛フェルトで作ってみよう