第1アポーニー四重奏曲

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第1アポーニー四重奏曲Apponyi - quartets)は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した弦楽四重奏曲集である。本来第2アポーニー四重奏曲と合わせて全6曲からなる曲集だったが、出版の際に全2集(それぞれ3曲ずつ)に分けられた。第1集には作品番号71が付されている(第2集は作品番号74)。

第1集ではホーボーケン番号は69番から71番の3つの番号が与えられている。

概要[編集]

第2アポーニー四重奏曲と同じく1793年に作曲され、前年の1792年の夏にハイドンは最初のイギリス旅行からウィーンに戻ると新作の弦楽四重奏曲の作曲に着手している。ただし興行師ヨハン・ペーター・ザーロモンの勧めか、ハイドン自身の発意によるものかは不明である。

ハイドンが1794年に作成した「ロンドン手帳」(現在は紛失)の記述に基づき、アルバート・クリストフ・ディース(Albert Christoph Dies, 1755年 – 1822年)が記述した作曲一覧表に「6曲の四重奏曲」と記載されているが、その「6曲の四重奏曲」がこの曲集(第1、第2アポーニー四重奏曲)のことである。自筆譜は6曲全部が保管されており、その中に「1793年」と書き込まれている。ハイドン全集ではその自筆譜の状態から見て、第69番と第70番の2曲はすでに1792年に着手されたものと推定している。

初演は1794年の3月10日、24日、31日に行われたザロモンの演奏会において、第2集を含む全6曲のうちの2曲が演奏されている。ただしどの曲であるかは不明。

出版・献呈[編集]

  • 第1集はロンドンのコリ=デュセックから「作品71」として出版。
  • アントン・ゲオルク・アポーニー(Anton Georg Apponyi)伯爵に献呈。

各曲[編集]

自筆譜には曲順が記されていない。

  1. 弦楽四重奏曲第69番 変ロ長調 作品71-1 Hob. III: 69
  2. 弦楽四重奏曲第70番 ニ長調 作品71-2 Hob. III: 70
  3. 弦楽四重奏曲第71番 変ホ長調 作品71-3 Hob. III: 71

参考資料[編集]

  • 『最新名曲解説全集11 室内楽1』(音楽之友社
  • 『ハイドン:弦楽四重奏曲全集』(エオリアン弦楽四重奏団の演奏、及び解説書)

外部リンク[編集]