石油ポンプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

石油ポンプ(せきゆポンプ)あるいは灯油ポンプ(とうゆポンプ)は、ポンプの一種で、主に灯油を元の容器から別の容器に移し替えるのに使われる。日本工業規格JIS S 2037では石油燃焼機器用注油ポンプという名称である。英語ではSiphon Pumpという。

構造[編集]

手動の石油ポンプ

手動ポンプとサイフォンの原理を併用し、灯油缶ポリタンクから、石油ストーブ等のタンクに灯油を移しかえるのに用いる。

一般的なものは、ポンプ部分から下に一本の管がのび、管の付け根近くから横に蛇腹式の管が横枝としてのびる形状をしている。この管の分岐部にはが仕掛けられており、液体の流れはまっすぐな管から横枝へしか流れないようになっている。たとえば石油ストーブに給油する場合は、まずポンプ上部にある通気用のネジ栓を締めたあと、まっすぐな管を石油缶に差し入れ、横枝の先を灯油ストーブの石油タンクに差し入れる。この状態でポンプ部分を操作すると、石油缶から灯油が吸い上げられる。灯油の液面が管の分岐点に達すると、横枝を通じて石油タンクへ流れ込む。ここで石油缶側の液面が注ぎ込むタンクのそれより十分に高ければ、ポンプを操作しなくてもサイフォンの原理によって自動的に灯油は流れ続ける。給油を止める場合はポンプ上部のネジ栓を緩めれば良い。流路に空気が入ってサイフォンの効果は失われ、灯油の流れが止まる。また、石油缶側の液面のほうが低くサイフォンの原理を利用できない時は、ポンプを操作し続けることで注ぐこともできる。

ポンプは軟らかい樹脂の筒を握りつぶして操作するものが多いが、近年では電動式のものもある。また、注ぐ方のホースの先端にセンサーをつけ、満タンになると自動的にポンプが止まるようになっているものもある。これによって注ぎすぎてあふれさせる、というトラブルを回避できるようになった。

保管方法[編集]

使用しない時は使用時と同様に注油口を下にして縦にして保管することが望ましい。これは内部に灯油が残っているとポンプの樹脂を侵して使用できなくなってしまうおそれがあり、なるべく残った灯油を排出するためである。

その他[編集]

「石油ポンプはドクター中松の発明品で、正式名称は『醤油ちゅるちゅる』という」と言われることがあるが、サイフォンスポイトを付けるというアイディア自体は特許明細書13297号(1907年)で既に特許になっている。中松が1947年に実用新案登録を出願した構造(実用新案公告昭24-6552)は、逆止弁が追加されて現在使われている石油ポンプにより近い構造になっているが、ポンプ部分は現在のように握りつぶすのではなくスプリング式のピストンを押し込むことで操作するものだった。一般家庭に普及した際には、空気タンク部分がジャバラ状になっており上下に押しつぶして操作していた。後年、現在の全体を握りつぶすタイプに変化した。