「斜交座標系」の版間の差分

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{{see also|ベクトルの共変性と反変性}}
{{see also|ベクトルの共変性と反変性}}
直交座標系の場合は、2つの[[空間ベクトル|ベクトル]]<math>\vec{u}=(u_x, u_y), \vec{v}=(v_x, v_y)</math>の[[内積]]はその座標成分の積の和で表されるが、斜交座標系の場合は以下のようになる:
直交座標系の場合は、2つの[[空間ベクトル|ベクトル]]<math>\vec{u}=(u_x, u_y), \vec{v}=(v_x, v_y)</math>の[[内積]]はその座標成分の積の和で表されるが、斜交座標系の場合は以下のようになる:
: <math>\begin{align}\vec{u}\cdot\vec{v} &= u_x v_x +(u_x v_y+u_y v_x)\cos(\theta-\phi)+u_y v_y\\
: <math>\begin{align}\vec{u}\cdot\vec{v} &= u_x v_x +(u_x v_y+u_y v_x)\sin(\theta-\phi)+u_y v_y\\
&= \begin{pmatrix}u_x&u_y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&\cos(\theta-\phi)\\\cos(\theta-\phi)&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}v_x\\v_y\end{pmatrix}\qquad\cdots(1)\end{align}</math>
&= \begin{pmatrix}u_x&u_y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&\sin(\theta-\phi)\\\sin(\theta-\phi)&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}v_x\\v_y\end{pmatrix}\qquad\cdots(1)\end{align}</math>


あるいは次のようにも表現できる<ref>{{cite|和書 |author=W. フリューゲ|translator=後藤学 |title=テンソル解析と連続体力学 |publisher=ブレイン図書出版 |year=1979 |isbn= |pages=3-6}}</ref><ref>''u<sup>i</sup> v<sub>i</sub>'' などには[[アインシュタインの縮約記法]]が適用され、総和記号が省略されていることに注意。</ref>:
あるいは次のようにも表現できる<ref>{{cite|和書 |author=W. フリューゲ|translator=後藤学 |title=テンソル解析と連続体力学 |publisher=ブレイン図書出版 |year=1979 |isbn= |pages=3-6}}</ref><ref>''u<sup>i</sup> v<sub>i</sub>'' などには[[アインシュタインの縮約記法]]が適用され、総和記号が省略されていることに注意。</ref>:
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& \vec{u}\cdot\vec{v} = u^i v_i = u^1 v_1 + u^2 v_2, \\
& \vec{u}\cdot\vec{v} = u^i v_i = u^1 v_1 + u^2 v_2, \\
& (u^1,u^2):=(u_x,u_y),\\
& (u^1,u^2):=(u_x,u_y),\\
& (v_1,v_2):=(v_x+v_y\cos(\theta-\phi), v_x\cos(\theta-\phi)+v_y)
& (v_1,v_2):=(v_x+v_y\sin(\theta-\phi), v_x\sin(\theta-\phi)+v_y)
\end{align}</math>
\end{align}</math>
このとき、添字が上についている量({{math|''u''<sup>1</sup>}} など)を'''反変成分'''、下についている量({{math|''v''<sub>1</sub>}} など)を'''共変成分'''という。各座標軸の方向を向く[[単位ベクトル]]('''共変基底ベクトル''')を<math>\vec{e}_1,\vec{e}_2</math> とすれば、反変成分を用いて
このとき、添字が上についている量({{math|''u''<sup>1</sup>}} など)を'''反変成分'''、下についている量({{math|''v''<sub>1</sub>}} など)を'''共変成分'''という。各座標軸の方向を向く[[単位ベクトル]]('''共変基底ベクトル''')を<math>\vec{e}_1,\vec{e}_2</math> とすれば、反変成分を用いて
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=== 計量テンソル ===
=== 計量テンソル ===
式(1)の右辺に表れた行列
式(1)の右辺に表れた行列
:<math>\begin{pmatrix}1&\cos(\theta-\phi)\\\cos(\theta-\phi)&1\end{pmatrix}</math>
:<math>\begin{pmatrix}1&\sin(\theta-\phi)\\\sin(\theta-\phi)&1\end{pmatrix}</math>
は[[計量テンソル]]とよばれ、共変・反変基底ベクトルで一般的に表される。
は[[計量テンソル]]とよばれ、共変・反変基底ベクトルで一般的に表される。
斜交座標系では計量テンソル''g'' は
斜交座標系では計量テンソル''g'' は

2021年8月9日 (月) 00:37時点における版

斜交座標系(2次元)
斜交座標系(2次元)

斜交座標系(しゃこうざひょうけい、oblique coordinate system)とは、斜めに交わった数直線を軸とする座標系である。直交座標系の拡張としてとらえられる。

2次元平面における斜交座標系

2本の数直線 x, y が共通の原点をもち、なす角 θ(ただし 0° < θ < 180°)で交わっているとき、その座標系はx軸、y軸からなる斜交座標となる。 座標平面上の全ての点Pは、その点からx軸、y軸に関して平行線をひくことにより、P(a, b) と一意に表すことができる。 逆に座標 (a, b) が与えられれば、Pの位置は一意に決定される。

なお、2本の軸のなす角 θ = 90° のときとして、斜交座標系は直交座標系を含む。

直交座標系との座標変換

x軸、y軸からなる斜交座標系と共通の原点を持つx'軸、y'軸からなる直交座標系について、x軸、y軸がx'軸となす角をそれぞれ θ, ϕ とする。 斜交座標系で P(a, b) と表されている点を直交座標 (a' , b' )座標変換する公式は以下である:

内積

直交座標系の場合は、2つのベクトル内積はその座標成分の積の和で表されるが、斜交座標系の場合は以下のようになる:

あるいは次のようにも表現できる[1][2]

このとき、添字が上についている量(u1 など)を反変成分、下についている量(v1 など)を共変成分という。各座標軸の方向を向く単位ベクトル共変基底ベクトル)を とすれば、反変成分を用いて

と書くことができる。また、反変基底ベクトルとして

  • :y軸(または)に垂直で長さが 1/cos(θ−ϕ) のベクトル
  • :x軸(または)に垂直で長さが 1/cos(θ−ϕ) のベクトル

とすれば[3]、共変成分を用いて

と書くことができる。

上記の議論は を入れ替えても同様に成り立つ。

計量テンソル

式(1)の右辺に表れた行列

計量テンソルとよばれ、共変・反変基底ベクトルで一般的に表される。 斜交座標系では計量テンソルg

となる。また反変成分と共変成分の変換は

とシンプルに表すことができる.

多次元の場合

以上で2次元の場合を説明したが、斜交座標系はより一般の次元においても同様に考えられる。

脚注

  1. ^ W. フリューゲ 著、後藤学 訳『テンソル解析と連続体力学』ブレイン図書出版、1979年、3-6頁。 
  2. ^ ui vi などにはアインシュタインの縮約記法が適用され、総和記号が省略されていることに注意。
  3. ^ これらのベクトルの間には、クロネッカーのデルタを用いて、 の関係が成り立つ。

関連項目