「嫩江」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Chokorin (会話 | 投稿記録)
加筆
m編集の要約なし
29行目: 29行目:
=== 周辺の自然と生態系 ===
=== 周辺の自然と生態系 ===
[[ファイル:Grus_japonensis-Zhalong.jpg|thumb|250px|チチハル付近の扎龍国家級自然保護区]]
[[ファイル:Grus_japonensis-Zhalong.jpg|thumb|250px|チチハル付近の扎龍国家級自然保護区]]
チチハル付近では嫩江支流の烏裕爾河の下流が途切れ、そこから上流の一帯が扎龍湿地と呼ばれる大湿地帯になっている。このうち面積2,175平方kmにおよぶ湿地が扎龍国家級自然保護区として指定され、[[タンチョウヅル]]が多数生息することで知られる。
チチハル付近では嫩江支流の烏裕爾河の下流が途切れ、そこから上流の一帯が扎龍湿地と呼ばれる大湿地帯になっている。このうち面積2,175平方kmにおよぶ湿地が[[扎龍自然保護区|扎龍国家級自然保護区]]として指定され、[[タンチョウヅル]]が多数生息することで知られる。


== 歴史==
== 歴史==

2012年5月9日 (水) 00:13時点における版

嫩江
嫩江
嫩江の位置
水系 アムール川
延長 1,370 km
平均流量 824 m³/s
流域面積 283,000 km²
水源 伊勒呼里山(大興安嶺
水源の標高 -- m
河口・合流先 松花江
流域 中華人民共和国の旗 中国
テンプレートを表示

嫩江(のんこう、どんこう、Nen River、Nonni、拼音: Nènjiang満州語: ノン・ウラー)は、ユーラシア大陸中国東北部を流れるで、アムール川水系に属する松花江最長の支流である。

地理概況

大興安嶺山脈の北部にある伊勒呼里山系に発し、大興安嶺と小興安嶺の間を流れ黒竜江省内モンゴル自治区の境界をなす。中流域以降は黒竜江省の西部を流れ、チチハルなどの都市を経由し、吉林省白城市大安市)で松花江に合流する。下流域の松嫩平原黒土地帯で、中国の重要な穀倉地帯・牧草地帯である。

主要な支流に、甘河、訥謨爾河、諾敏河、雅鲁河、綽爾河、洮兒河、霍林河などがある。

乱開発とその影響

大興安嶺をはじめとする流域は末期以降、開拓民やロシア・日本などの勢力による森林伐採・過剰農耕・過剰牧畜が続き、新中国発足時にはすでに森林面積減少と土壌流出が深刻になっていた。その後も木材・農畜産物の増産を目的とする乱開発が続き、中下流域では流出し堆積した土砂による洪水の頻発、裸になった草原や耕地の砂地化、土壌の塩性化砂漠化などの深刻な問題が起きている。1970年代以降、洪水や砂漠化を防ぐために植林や防砂林造成などの大事業が続いているが、1998年にもチチハルの下流一帯で大洪水が起きた。

周辺の自然と生態系

チチハル付近の扎龍国家級自然保護区

チチハル付近では嫩江支流の烏裕爾河の下流が途切れ、そこから上流の一帯が扎龍湿地と呼ばれる大湿地帯になっている。このうち面積2,175平方kmにおよぶ湿地が扎龍国家級自然保護区として指定され、タンチョウヅルが多数生息することで知られる。

歴史

近代以降は北方よりロシア帝国の勢力が入り、1900年北清事変以降は実質的にロシア占領下にあった。日露戦争後も、日露両国間でむすばれた日露協約でも嫩江流域はロシアの勢力下とされた。

満州事変の激戦地

嫩江鉄橋での戦い(1931年)

1931年昭和6年、民国20年)9月に勃発した満州事変では、張学良によって黒竜江省政府主席代理に任命された馬占山が、同年10月中旬、嫩江にかかる鉄橋を破壊し、関東軍および関東軍に協力した張海鵬の侵攻をチチハルで食い止めようとした(嫩江鉄橋の戦い)[1][注釈 1]。関東軍と馬占山軍は11月上旬、嫩江鉄橋よりも北側に位置する大興駅付近で衝突、11月中旬には関東軍が馬占山軍に対し、チチハル以北へ撤退するよう求めたが馬はこれを拒絶し、再び小競り合いがつづいた[2]。ときの第2次若槻内閣は、関東軍のチチハル侵攻は国際世論の硬化をまねくとして内閣総辞職を示唆、結局、関東軍はチチハルに侵攻、激しい戦闘ののち馬占山はチチハルを放棄したものの関東軍は小部隊をチチハルにとどめて撤退した。これは11月下旬の黒竜江省における新政権樹立につながった[2][3]

脚注

注釈

  1. ^ 関東軍は、これに対し鉄道修理を名目に北満州への進出を図ろうとした。川田(2010)p.170

出典

参考文献

  • 毎日新聞社編集『1億人の昭和史1 満州事変前後-孤立への道』毎日新聞社、1975年。 
  • 川田稔『満州事変と政党政治』講談社〈講談社選書メチエ〉、2010年。ISBN 978-4-06-258480-7 

関連項目

外部リンク