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'''タウナギ目'''({{ |
'''タウナギ目'''([[学名]]:{{sname||Synbranchiformes}})は、[[硬骨魚類]]の分類群の一つ。2亜目3科で構成され、[[タウナギ]]・[[スパイニーイール|トゲウナギ]]など15属99種が記載される<ref name=Nelson2006>『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.316-318</ref>。名前に「ウナギ」と付くものの、[[ウナギ目]]に属する[[ウナギ]]類(''Anguilla'')との類縁関係は遠い。 |
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== 分布・生態 == |
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田んぼなど泥沼の淡水を好んで生息地にするため、田鰻(タウナギ)の日本語名が付けられた。名前にウナギと付いているが、蒲焼にする[[ウナギ目]]の[[ウナギ]]''Anguilla''類 とはまったく別の魚類である。 |
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タウナギ目の[[魚類]]はほとんどが[[熱帯]]から[[亜熱帯]]域にかけて分布する[[淡水魚]]で、ごく一部の種類が[[汽水域]](まれに海域)に進出する<ref name=Nelson2006/>。日本には[[タウナギ]] ''Monopterus albus'' のみが本州および沖縄に生息しているが、前者は元々の[[在来種]]ではなく[[朝鮮半島]]から移入されたものとみられている<ref name=Tansuigyo>『日本の淡水魚 改訂版』 pp.676-677</ref>。近年、本目魚類の[[密放流]]は世界的な問題とされ、[[フロリダ半島]]南部や[[ハワイ諸島]]などでは[[侵略的外来種]]として認識されるようになっている<ref name=Helfman/>。 |
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タウナギ目の魚類はほとんどが[[熱帯]]から[[亜熱帯]]域の[[淡水]]に分布し、数種類が[[汽水域]]に進出する。日本にはタウナギ ''Monopterus albus'' のみが生息しているが、元々の在来種ではなく国外から移入されたものとみられている。 |
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また、上顎と[[頭蓋骨]]が2点で接続するなど、顎の構造に他の[[真骨類]]には見られない特徴を有する<ref name=Helfman>『The Diversity of Fishes Second Edition』 p.299</ref>。前上顎骨は上行突起を欠き、前に突き出すことはできない<ref name=Nelson2006/>。 |
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タウナギ科 |
タウナギ科の仲間は[[中華人民共和国|中国]]や[[東南アジア]]諸国において食用・薬用として利用される。水田に生息し[[米|コメ]]文化につながっていることもあり、当地では一般的な食材であるが、泥臭いため日本ではタウナギを食べる習慣はない。中国や[[台湾]]ではいわゆる[[惣菜]]魚として用いられ、細切りにしたタウナギの切り身を[[から揚げ]]にしたり、[[佃煮]]風に甘辛く炒めたりして食べる。[[ベトナム]]や[[ラオス]]では丸ごとの酒蒸しや、竹筒にいれて丸焼きにすることもある。 |
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このほか、トゲウナギ科 |
このほか、トゲウナギ科魚類は[[観賞魚]]として[[アクアリウム]]での飼育対象となる。 |
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== 分類 == |
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[[Image:Ophisternon_bengalense_Day.jpg|thumb|right|タウナギ科の1種(''Ophisternon bengalense'')]] |
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=== タウナギ亜目 === |
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'''タウナギ亜目''' Synbranchoidei はタウナギ |
'''タウナギ亜目''' Synbranchoidei はタウナギ科のみを含み、4属17種が記載される。タウナギ科の魚類はその形態および生態に多くの際立った特徴をもち、硬骨魚類の中でも特殊化の進んだ一群と考えられている<ref name=Nelson2006/>。 |
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[[ファイル: Monopterusalbus.jpg|thumb|right|[[タウナギ]] ''Monopterus albus'' (タウナギ科)。細長いウナギ型の体をもち、[[田|水田]]など泥底の[[淡水]]域に生息することが[[和名]](田鰻)の由来となっている]] |
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'''[[タウナギ科]]''' Synbranchidae は4属17種 |
'''[[タウナギ科]]''' {{sname||Synbranchidae}} は4属17種からなる<ref name=Nelson2006/>。多くの種類は空気呼吸が可能で、泥中に潜る習性をもつ<ref name=Nelson2006/>。雌から雄へ、[[雌性先熟]]による[[性転換]]をする種類が多いことも本科の特徴である<ref name=Nelson2006/>。''Ophisternon'' 属の仲間には地理的に不連続な分布を示すものがいる。 |
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体型は[[ウナギ]]に似て細長く、腹鰭のみならず胸鰭ももたない。[[背鰭]]・臀鰭・尾鰭も痕跡的で、ほとんどの場合は[[鱗]]もない。眼は小さく、[[皮膚]]に埋没し機能を失った種類もある。[[鰾|浮き袋]]と[[肋骨]]を欠く。 |
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* ''Macrotrema'' 属 |
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* ''Ophisternon'' 属 |
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=== トゲウナギ亜目 === |
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[[ファイル: Indischer Zwergtachelaal.jpg|thumb|right|トゲウナギ科の1種(''Macrognathus pancalus'')]] |
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[[ファイル: Caecomasta-moori4.jpg|thumb|right|トゲウナギ科の1種(''Mastacembelus moorii'')]] |
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'''トゲウナギ亜目''' Mastacembeloidei は2科11属82種。背鰭と臀鰭は尾鰭と連続することが多い。 |
'''トゲウナギ亜目''' Mastacembeloidei は2科11属82種。背鰭と臀鰭は尾鰭と連続することが多い<ref name=Nelson2006/>。後側頭骨を欠き、上擬鎖骨は[[靱帯]]を介して脊柱と接続する<ref name=Nelson2006/>。 |
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'''カウドゥリア科''' Chaudhuriidae は6属9種。[[インド]]北東部から[[タイ王国|タイ]] |
'''[[カウドゥリア科]]''' {{sname||Chaudhuriidae}} は6属9種を含む<ref name=Nelson2006/>。[[インド]]北東部から[[タイ王国|タイ]]・朝鮮半島にかけて分布する、最大でも8cm程度の小型魚のグループである。背鰭と臀鰭の棘条および鱗をもたず、''Chendol'' 属以外は[[側線]]も欠く。 |
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* ''Bihunichthys'' 属 |
* ''Bihunichthys'' 属 |
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* ''Chaudhuria'' 属 |
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* ''Nagaichthys'' 属 |
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* ''Pillaia'' 属 |
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== 脚注 == |
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* Gene S. Helfman, Bruce B. Collette, Douglas E. Facey, Brian W. Bowen 『The Diversity of Fishes Second Edition』 Wiley-Blackwell 2009年 ISBN 978-1-4051-2494-2 |
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* Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7 |
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* 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海 編・監修 『日本の淡水魚 改訂版』 [[山と渓谷|山と溪谷社]] 1989年 ISBN 4-635-09021-3 |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [http://www.fishbase.org/Summary/OrdersSummary. |
* [http://www.fishbase.org/Summary/OrdersSummary.php?order=Synbranchiformes FishBase‐タウナギ目] (英語) |
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* [http://comiya.net/fish/order/ta-unagi_mc/index.html タウナギ目専門・タウナギ目一覧表] 釣絶!魚ゲノム |
* [http://comiya.net/fish/order/ta-unagi_mc/index.html タウナギ目専門・タウナギ目一覧表] 釣絶!魚ゲノム |
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2012年2月12日 (日) 12:14時点における版
タウナギ目 | |||||||||||||||||||||
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タウナギ Monopterus albus
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分類 | |||||||||||||||||||||
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下位分類 | |||||||||||||||||||||
本文参照
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タウナギ目(学名:Synbranchiformes)は、硬骨魚類の分類群の一つ。2亜目3科で構成され、タウナギ・トゲウナギなど15属99種が記載される[1]。名前に「ウナギ」と付くものの、ウナギ目に属するウナギ類(Anguilla)との類縁関係は遠い。
分布・生態
タウナギ目の魚類はほとんどが熱帯から亜熱帯域にかけて分布する淡水魚で、ごく一部の種類が汽水域(まれに海域)に進出する[1]。日本にはタウナギ Monopterus albus のみが本州および沖縄に生息しているが、前者は元々の在来種ではなく朝鮮半島から移入されたものとみられている[2]。近年、本目魚類の密放流は世界的な問題とされ、フロリダ半島南部やハワイ諸島などでは侵略的外来種として認識されるようになっている[3]。
形態
タウナギ目魚類に共通する特徴として、体型が細長く腹鰭(はらびれ)をもたないこと、鰓(えら)の開口部は体側面の下半分にとどまること、外翼状骨(頭部を構成する骨の一つ)が拡張する一方で内翼状骨は退縮あるいは消失していることなどが挙げられる[1]。
また、上顎と頭蓋骨が2点で接続するなど、顎の構造に他の真骨類には見られない特徴を有する[3]。前上顎骨は上行突起を欠き、前に突き出すことはできない[1]。
利用
タウナギ科の仲間は中国や東南アジア諸国において食用・薬用として利用される。水田に生息しコメ文化につながっていることもあり、当地では一般的な食材であるが、泥臭いため日本ではタウナギを食べる習慣はない。中国や台湾ではいわゆる惣菜魚として用いられ、細切りにしたタウナギの切り身をから揚げにしたり、佃煮風に甘辛く炒めたりして食べる。ベトナムやラオスでは丸ごとの酒蒸しや、竹筒にいれて丸焼きにすることもある。
このほか、トゲウナギ科魚類は観賞魚としてアクアリウムでの飼育対象となる。
分類
タウナギ目はタウナギ亜目・トゲウナギ亜目の2亜目からなり、3科15属99種で構成される[1]。
タウナギ亜目
タウナギ亜目 Synbranchoidei はタウナギ科のみを含み、4属17種が記載される。タウナギ科の魚類はその形態および生態に多くの際立った特徴をもち、硬骨魚類の中でも特殊化の進んだ一群と考えられている[1]。
タウナギ科
タウナギ科 Synbranchidae は4属17種からなる[1]。多くの種類は空気呼吸が可能で、泥中に潜る習性をもつ[1]。雌から雄へ、雌性先熟による性転換をする種類が多いことも本科の特徴である[1]。Ophisternon 属の仲間には地理的に不連続な分布を示すものがいる。
体型はウナギに似て細長く、腹鰭のみならず胸鰭ももたない。背鰭・臀鰭・尾鰭も痕跡的で、ほとんどの場合は鱗もない。眼は小さく、皮膚に埋没し機能を失った種類もある。浮き袋と肋骨を欠く。
- Macrotrema 属
- Ophisternon 属
- Synbranchus 属
- Monopterus 属
トゲウナギ亜目
トゲウナギ亜目 Mastacembeloidei は2科11属82種。背鰭と臀鰭は尾鰭と連続することが多い[1]。後側頭骨を欠き、上擬鎖骨は靱帯を介して脊柱と接続する[1]。
カウドゥリア科
カウドゥリア科 Chaudhuriidae は6属9種を含む[1]。インド北東部からタイ・朝鮮半島にかけて分布する、最大でも8cm程度の小型魚のグループである。背鰭と臀鰭の棘条および鱗をもたず、Chendol 属以外は側線も欠く。
- Bihunichthys 属
- Chaudhuria 属
- Chendol 属
- Garo 属
- Nagaichthys 属
- Pillaia 属
トゲウナギ科
トゲウナギ科 Mastacembelidae は5属73種で構成される[1]。独立した背鰭の棘条が9-42本、トゲのように背中に並ぶことが本科魚類の特徴である。小さな鱗をもつ種類が多く、体長は最大で90cm程度。その生態は多様であり、長期間泥中に潜るものいる。スパイニーイールと総称され、観賞魚として飼育される。
- Aethiomastacembelus 属
- Caecomastacembelus 属
- Macrognathus 属
- Mastacembelus 属
- Sinobdella 属
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.316-318
- ^ 『日本の淡水魚 改訂版』 pp.676-677
- ^ a b 『The Diversity of Fishes Second Edition』 p.299
参考文献
- Gene S. Helfman, Bruce B. Collette, Douglas E. Facey, Brian W. Bowen 『The Diversity of Fishes Second Edition』 Wiley-Blackwell 2009年 ISBN 978-1-4051-2494-2
- Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
- 上野輝彌・坂本一男 『新版 魚の分類の図鑑』 東海大学出版会 2005年 ISBN 978-4-486-01700-4
- 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海 編・監修 『日本の淡水魚 改訂版』 山と溪谷社 1989年 ISBN 4-635-09021-3
外部リンク
- FishBase‐タウナギ目 (英語)
- タウナギ目専門・タウナギ目一覧表 釣絶!魚ゲノム