「扁球」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし |
|||
1行目: | 1行目: | ||
[[Image:Ellipse axis.png|250px|right|thumb|扁球は[[楕円]]の短軸を[[回転軸]]とした[[回転体]]]] |
[[Image:Ellipse axis.png|250px|right|thumb|扁球は[[楕円]]の短軸を[[回転軸]]とした[[回転体]]]] |
||
[[Image:OblateSpheroid.PNG|250px|right|thumb|扁球]] |
[[Image:OblateSpheroid.PNG|250px|right|thumb|扁球]] |
||
扁球(へんきゅう、oblate, oblate spheroid、別名:偏楕円体、扁平楕円体)とは、[[楕円]]をその短軸を[[回転軸]]として回転したときに得られる[[回転体]]である。 |
扁球(へんきゅう、oblate, oblate spheroid、別名:偏楕円体、扁平楕円体)とは、[[楕円]]をその短軸を[[回転軸]]として回転したときに得られる[[回転体]]である。扁球は3径のうち長い2径の長さが等しい[[楕円体]]とも定義できる。言い換えれば、扁球は短半径が極半径、長半径が赤道半径の[[回転楕円体]]である。 |
||
扁球は3径のうち長い2径の長さが等しい[[楕円体]]とも定義できる。言い換えれば、扁球は短半径が極半径、長半径が赤道半径の[[回転楕円体]]である。 |
|||
==扁球の方程式== |
==扁球の方程式== |
||
8行目: | 7行目: | ||
長半径''a''、短半径''b''の扁球の[[内部]]の点 (''x'', ''y'', ''z'') は次の式を満たす。 |
長半径''a''、短半径''b''の扁球の[[内部]]の点 (''x'', ''y'', ''z'') は次の式を満たす。 |
||
:<math>\left(\frac{x}{a}\right)^2+\left(\frac{y}{a}\right)^2+\left(\frac{z}{b}\right)^2 \le 1\quad\quad\hbox{ or }\quad\quad\frac{x^2+y^2}{a^2}+\frac{z^2}{b^2} \le 1</math> |
:<math>\left( \frac{x}{a} \right)^2 +\left( \frac{y}{a} \right)^2 +\left( \frac{z}{b} \right)^2 \le 1\quad \quad \hbox{ or }\quad \quad \frac{x^2+y^2}{a^2} +\frac{z^2}{b^2} \le 1</math> |
||
扁球面上の点は次の式を満たす。 |
扁球面上の点は次の式を満たす。 |
||
:<math>\left(\frac{x}{a}\right)^2+\left(\frac{y}{a}\right)^2+\left(\frac{z}{b}\right)^2 = |
:<math>\left( \frac{x}{a} \right)^2 +\left( \frac{y}{a} \right)^2 +\left( \frac{z}{b} \right)^2 =1\quad \quad \hbox{ or }\quad \quad \frac{x^2 + y^2}{a^2} +\frac{z^2}{b^2} =1</math> |
||
==扁球の性質== |
==扁球の性質== |
||
扁球の[[体積]] Vは <math> |
扁球の[[体積]] Vは <math>V= \frac{4}{3} \pi a^2 b</math> 、[[離心率]] eは <math>e= \sqrt {1- \left( \frac{b}{a} \right)^2 }</math> 、[[表面積]] Sは <math>S=2 \pi \left( a^2 + \frac{b^2 \tanh^{-1} e}{e} \right)</math> である。 |
||
また、[[緯度#地理緯度 (geographic latitude)|地理緯度]] <math>\varphi\,\!</math> における[[子午線]][[曲率半径]] <math>M_\varphi\,\!</math> 及び[[卯酉線]]曲率半径 <math>N_\varphi\,\!</math> はそれぞれ |
また、[[緯度#地理緯度 (geographic latitude)|地理緯度]] <math>\varphi \, \!</math> における[[子午線]][[曲率半径]] <math>M_\varphi \, \!</math> 及び[[卯酉線]]曲率半径 <math>N_\varphi \, \!</math> はそれぞれ |
||
{{Indent|<math>M_\varphi=\frac{a(1-e^2)}{(1-e^2\sin^2\varphi)^{3/2}}\,,\;\;N_\varphi=\frac{a}{\sqrt{1-e^2\sin^2\varphi}}</math>}} |
{{Indent|<math>M_\varphi = \frac{a(1-e^2)}{(1-e^2\sin^2 \varphi)^{3/2}}\,,\;\;N_\varphi =\frac{a}{\sqrt{1-e^2 \sin^2 \varphi} }</math>}} |
||
と表 |
と表される。この二量を用いて、子午線に対し[[方位角]] <math>\alpha\,\!</math> を成す垂直截線の曲率半径 <math>R^\alpha_\varphi \, \!</math> は、[[オイラーの定理 (微分幾何学)|オイラーの定理]]により |
||
{{Indent|<math>R_\varphi^\alpha = \frac{M_\varphi N_\varphi}{N_\varphi\cos^2\alpha + M_\varphi\sin^2\alpha}</math>}} |
{{Indent|<math>R_\varphi^\alpha = \frac{M_\varphi N_\varphi}{N_\varphi \cos^2 \alpha + M_\varphi \sin^2 \alpha}</math>}} |
||
のように表すことができる。 |
のように表すことができる。 |
||
41行目: | 38行目: | ||
==関連項目== |
==関連項目== |
||
* |
*[[地球楕円体]] |
||
* |
*[[回転体]] |
||
* |
*[[回転楕円体]] |
||
* |
*[[球]] |
||
{{DEFAULTSORT:へんきゆう}} |
{{DEFAULTSORT:へんきゆう}} |
2012年1月19日 (木) 13:55時点における版
扁球(へんきゅう、oblate, oblate spheroid、別名:偏楕円体、扁平楕円体)とは、楕円をその短軸を回転軸として回転したときに得られる回転体である。扁球は3径のうち長い2径の長さが等しい楕円体とも定義できる。言い換えれば、扁球は短半径が極半径、長半径が赤道半径の回転楕円体である。
扁球の方程式
長半径a、短半径bの扁球の内部の点 (x, y, z) は次の式を満たす。
扁球面上の点は次の式を満たす。
扁球の性質
また、地理緯度 における子午線曲率半径 及び卯酉線曲率半径 はそれぞれ
と表される。この二量を用いて、子午線に対し方位角 を成す垂直截線の曲率半径 は、オイラーの定理により
のように表すことができる。
扁球状の物体
身のまわりにある扁球状の物体には、碁石、マーブルチョコレート、M&M's、ウンシュウミカンなどがある。また、地球も扁平率が他の物体よりも非常に小さく真球とは見分けがつきにくいが、18世紀半ばに実施された北極付近と赤道付近の子午線弧長の比較の末、扁球状であることが分かっている。ただし、これらの扁球状の物体は、厳密には真の扁球ではないことがある。