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* [http://www.pref.okinawa.jp/zone/ 沖縄県企業立地推進課(沖縄FTZ)]
* [http://www.pref.okinawa.jp/zone/ 沖縄県企業立地推進課(沖縄FTZ)]


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2009年10月20日 (火) 05:38時点における版

保税地域(ほぜいちいき、bonded area)は、外国から輸入された貨物を、税関の輸入許可がまだの状態で関税を留保したまま置いておける場所のことを指す。保税とは関税の徴収を一時留保することをいう。

保税地域は主に港湾空港の近くに設けられ、貨物船飛行機から下ろされた貨物が関税納入・輸入許可・通関完了までの間、或いは輸出される貨物が税関手続きが終了するまで蔵置される場所である。日本において、保税地域は財務大臣が指定したり税関長が許可したりして設置される。

船や飛行機で輸出入する貨物は一旦保税地域に搬入され、税関に対して輸出申告・輸入申告を行い完了して、はじめて輸出貨物を船積みできたり輸入貨物を保税地域外に引き取ることができる。輸入許可のまだ下りない貨物、輸出許可が下りた貨物は「外国貨物」とされ、日本国内に置く場合は税関の取締まりの対象となるため、保税地域内に置いておかねばならない。保税地域は関税納付や輸出入手続を確実にするため、また輸出入のための審査や検疫および禁制品の有無のチェックなどを行いやすくするために設けられており、密輸や盗難を防ぐためにフェンスなどで囲まれていることが多い。

保税地域への貨物の搬出入などの管理は、全てを税関が監視するのではなく、保税地域の管理者(倉庫会社など)が自主的に台帳に記帳(電子的な記録でもよい)することにより行われている(「自主管理」方式)。

保税地域の種類

輸出入手続をすべて港湾に隣接した保税地域で行うことは、輸出入を行う荷主などにとっては手間が増大するため、輸出入を簡単にするための様々な特別の保税地域や自由貿易地域が各国で設定されている。

日本の保税地域

日本の場合、保税地域は五種類が定められている。

保税蔵置場
民間所有の施設。保税上屋、保税倉庫など。外国貨物のままで原則三ヶ月、蔵入承認を受けると二年、場合によってはさらに期間を延長して蔵置できる場所。輸出入される貨物の一時保管、日本を経由し第三国へ向かう積戻し貨物の保管、その他市況を見てから輸入手続きして引き取る金属・繊維などの貨物の蔵置に使われる。変わったところでは、映画会社の試写室が保税蔵置場になっているケースがある[1](未通関の外国映画フィルムを扱うため)。
指定保税地域
国や自治体所有の土地・建物。港湾などに隣接し、外国貨物を蔵置し、迅速に輸出入手続を済ませるために指定されている。蔵置期限は一ヶ月。
保税工場
外国貨物を使用して加工し、製品を輸出できるよう指定された工場加工貿易振興のための制度で、関税を払わないまま原料輸入から製品輸出までができる。
保税展示場
博覧会場や見本市会場など、国際的なイベントの行われる場所で、外国から来た製品や産品を関税を払わず外国貨物のまま蔵置するほか展示・使用もできる場所。
東京ビッグサイトや、幕張メッセもこれに該当する。
総合保税地域
蔵置・加工・展示をすべてできる場所として指定された施設。

この他、港或いは空港から保税地域(工場や倉庫)までの間を外国貨物のまま輸送できる保税運送(OLT, Over Land Transport)の制度もある。

輸入促進のために1992年度から「輸入促進地域」(Foreign Access Zone、FAZ)が設定されていた。港湾・空港周辺で公的施設(卸売市場、荷捌き施設、展示場)が集積された地区が政府によってFAZに指定されていたが、2006年5月に制度は廃止された。

自由貿易地域

世界各国では、通関などの諸制度を緩和し関税などを免除して、加工貿易中継貿易を盛んにする目的で設置された自由貿易地域(free trade zone (FTZ) )が設定されている。18世紀にはトリエステエムデンなどヨーロッパ各地で「自由港(free port)」が設定され、有名な例では、香港が自由港として関税免除や船舶間の積み替えの許認可の撤廃などの措置を行って中継貿易港として栄えてきた。発展途上国国境地帯などを中心に各国でこうした地域の設定が広がっている。日本では沖縄県に沖縄特別自由貿易地域があり、保税地域として機能しているほか、立地企業に対する税制上の優遇措置が行われている。

外部リンク