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福建省南部とは具体的に漳州、泉州、厦門(アモイ)地方を意味するが、歴史的にこの地方から[[台湾]]、[[広東省]][[潮州]]、[[汕頭]]地方、[[雷州半島]]、[[浙江省]]南部、[[海南省]]や[[東南アジア]]の[[シンガポール]]、[[マレーシア]]、[[タイ王国|タイ]]へ移住した者が多く、これら地方の閩南(福建南部)系住民の間でも話されている。これらの地方で話される言語変種を総称するものが広義の閩南語である。 |
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これらの言葉が[[中国語]]の方言であるか、独自の言語群であるかは[[言語学]]上の論争があるが、伝統的には下位の[[ビン語|閩語]]に属する方言だとする見方が多い。方言学的には、広義の閩南語は、閩台グループ(漳州語、泉州語、厦門語、台湾語と海外閩南語)、浙南グループ、潮汕グループ([[潮州語]])、海南グループ([[海南語]])に分類される。 |
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狭義の閩南語は、東南アジアでは '''Hokkien''' とも呼ばれる。[[客家語]](ハッカご、Hakka)と紛らわしいが、「福建」の意味である。台湾では[[台湾語]]もしくはホーロー語とも呼ばれる。これは台湾の国語である[[普通話|標準中国語]]([[國語 (中国語)|台湾國語]]。[[北京語]]に類似)と区別するために台湾土着の言葉として考えられている([[オーストロネシア語族]]系[[台湾原住民]]の言葉は全く系統が違うので注意する必要がある)。 |
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[[日本]]の[[漢字]][[発音]]の多くは[[唐]]・[[宋 (王朝)|宋]]時代に伝来されたため、閩南語の発音との類似が見られる。例えば、「世界」(セーカイ)、「国家」(コッカー)、「了解」(リャオカイ)などの発音は現代[[日本語]]と似て聞こえる。 |
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=== 古語の残存 === |
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[[声調]]が[[北京語]]の4声に比べて狭義の閩南語の場合7声前後と多く、発声、語彙、文法の面で、[[古中国語]]の残存が見られる。閩語の内部では、例えば「鍋」を「鼎」と呼ぶなどの語彙の共通性がみられるが、これも古中国語を残存している。 |
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これは中原の漢語音が華南の漢化によって広まったため、特に周辺地域である福建において、古い時代の音が残されたと考えられる(Jerry Norman、または方言周圏論の考え方などを参考のこと)。 |
これは中原の漢語音が華南の漢化によって広まったため、特に周辺地域である福建において、古い時代の音が残されたと考えられる(Jerry Norman、または方言周圏論の考え方などを参考のこと)。 |
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このように日本語・閩南語ともに連続的に同型単語が見られ、その変化を計測し、また古[[民謡]]などと比較検討すると、 |
このように日本語・閩南語ともに連続的に同型単語が見られ、その変化を計測し、また古[[民謡]]などと比較検討すると、閩語の中の文語音は[[春秋時代]]の[[洛陽]]地方の読み方であるという説が有力である。 |
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2008年7月12日 (土) 12:00時点における版
閩南語 | |
---|---|
閩南語/闽南语 Bân-lâm-gú | |
話される国 | 中国、台湾 |
地域 | 東アジア |
話者数 | 4,900万 |
話者数の順位 | 21位以下 |
言語系統 | |
言語コード | |
ISO 639-1 |
zh |
ISO 639-2 |
chi (B) / zho (T) |
ISO 639-3 | — |
SIL | nan |
閩南語(びんなんご、ミンナンご)は主に閩南地方(中華人民共和国福建省南部)で話される言葉である。
- 狭義には漳州、泉州、厦門(アモイ)など福建省南部で話されている言葉をさす。東南アジアでは福建語とも呼ばれる。
- 広義には、狭義の言葉に加えて、台湾、浙江省南部、広東省東部及び西部、海南省などで話される、類似性の高い言葉の総称として用いられる。
概要
福建省南部とは具体的に漳州、泉州、厦門(アモイ)地方を意味するが、歴史的にこの地方から台湾、広東省潮州、汕頭地方、雷州半島、浙江省南部、海南省や東南アジアのシンガポール、マレーシア、タイへ移住した者が多く、これら地方の閩南(福建南部)系住民の間でも話されている。これらの地方で話される言語変種を総称するものが広義の閩南語である。
これらの言葉が中国語の方言であるか、独自の言語群であるかは言語学上の論争があるが、伝統的には下位の閩語に属する方言だとする見方が多い。方言学的には、広義の閩南語は、閩台グループ(漳州語、泉州語、厦門語、台湾語と海外閩南語)、浙南グループ、潮汕グループ(潮州語)、海南グループ(海南語)に分類される。
狭義の閩南語は、東南アジアでは Hokkien とも呼ばれる。客家語(ハッカご、Hakka)と紛らわしいが、「福建」の意味である。台湾では台湾語もしくはホーロー語とも呼ばれる。これは台湾の国語である標準中国語(台湾國語。北京語に類似)と区別するために台湾土着の言葉として考えられている(オーストロネシア語族系台湾原住民の言葉は全く系統が違うので注意する必要がある)。
日本の漢字発音の多くは唐・宋時代に伝来されたため、閩南語の発音との類似が見られる。例えば、「世界」(セーカイ)、「国家」(コッカー)、「了解」(リャオカイ)などの発音は現代日本語と似て聞こえる。
特徴
古語の残存
声調が北京語の4声に比べて狭義の閩南語の場合7声前後と多く、発声、語彙、文法の面で、古中国語の残存が見られる。閩語の内部では、例えば「鍋」を「鼎」と呼ぶなどの語彙の共通性がみられるが、これも古中国語を残存している。
これは中原の漢語音が華南の漢化によって広まったため、特に周辺地域である福建において、古い時代の音が残されたと考えられる(Jerry Norman、または方言周圏論の考え方などを参考のこと)。
文白異読
閩南語には日本語の漢音・唐音などように、白話音と文読音があり、「文白異讀」といわれる。常用漢字の4割引には文・白読の区別があり、場合で発音を決める。以下に漢数字の対応表をのせておく。
漢字 | 一 | 二 | 三 | 四 | 五 | 六 | 七 | 八 | 九 | 十 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
文読 | it | jī/lī | sàm | sù | ngō | lio̍k | chhit | pat | kiú | si̍p |
白読 | chi̍t | nn̄g/no | saⁿ | sì | gō | la̍k | 同上 | peh/pəeh | káu | cha̍p |
表記
また台湾では繁体字(正体字)が使用されるが、福建省では簡体字(略体字)が使われており、字体は閩南語そのものの性質ではなく、政治的な理由によるものである。(中国語参照)。そもそも閩南語には、国家によって認められた文字体系はなく(かつてローマ字(白話字)によるアモイ語の聖書や書籍が流通していた)、繁簡の字体差は中国語全体にかかる表記問題である。
被借用語
日本語における狭義の閩南語からの借用語としては下記の様な例がある。
- ビーフン[米粉]bí-hún
- レンブ[蓮霧](オオフトモモ)lián-bū
- ケチャップ[鮭汁](マレー語、英語経由)
- サバヒー[蝨目魚](和名)sat-ba̍k-hî
- レンヒー[鰱魚](レンギョの別名)
- ヌンチャク[兩節(棍)]
- タンキー[童乩]tang-ki(道教のシャーマン)
英語の "tea" やフランス語の"thé"など、一部の西欧の言語における茶の呼び名は、閩南語のテー(茶)に由来する。これは、福建省南部を中心とした地域が貿易の中心地であったためである。