「ドワーフ」の版間の差分
元言語の追記、リンク形式の変更、要出典テンプレ貼り付け タグ: 2017年版ソースエディター |
語源の追記 タグ: 2017年版ソースエディター |
||
1行目: | 1行目: | ||
{{出典の明記|date=2018年10月}} |
{{出典の明記|date=2018年10月}} |
||
{{Otheruses|神話伝説・ファンタジー作品に登場する種族|その他のドワーフ|ドワーフ (曖昧さ回避)}} |
{{Otheruses|神話伝説・ファンタジー作品に登場する種族|その他のドワーフ|ドワーフ (曖昧さ回避)}} |
||
[[ファイル:CarlSpitzwegGnomEisenbahnbetrachtend.jpg|thumb| |
[[ファイル:CarlSpitzwegGnomEisenbahnbetrachtend.jpg|thumb|鉄道を眺めるノーム[[カール・シュピッツヴェーク]]、1848年頃)]] |
||
'''ドワーフ'''({{lang- |
'''ドワーフ'''({{lang-en|{{En|'''dwarf'''}}}} {{IPA|dwˈɔɚf}}、{{lang-de|{{de|'''Zwerg'''}}}}、{{lang-non|{{Lang|non|'''dvergr'''}}}})は、[[人間]]よりも少し背丈の小さい[[伝説の生物一覧|伝説上の種族]]。[[民話]]、[[神話]]、[[童話]]、[[ファンタジー]]作品などに登場することが多い。高度な鍛冶や工芸技能をもつとされており、外観は男女共に背丈が低いものの力強く屈強で、特に男性はその多くで長い[[髭]]をたくわえているとされ<!--、しばしばその体型は酒樽に評され-->る。 |
||
'''ドワーフ小人'''、'''矮人'''、'''侏儒'''、あるいは単に'''[[小人]]'''と訳されることもある。 |
'''ドワーフ小人'''、'''矮人'''、'''侏儒'''、あるいは単に'''[[小人]]'''と訳されることもある。 |
||
== 語源 == |
|||
⚫ | |||
[[英語]]のdwarfは[[ドイツ語]]のZwergからの借用であり、語義としては「とても背の低い人間、小人」の意である。この語の[[同根語]]として、歴史的に[[古フリジア語]] dwerch、[[古ザクセン語]] dwerg、[[古高ドイツ語]] twerg、[[ドイツ語]] Zwerg、[[古ノルド語]] dvergrなどがあり、これらをもとにゲルマン祖語の語形*dwerazが再構されている。さらにインド・ヨーロッパ祖語の語形*dhwergwhosも再構されているものの、ゲルマン語派以外の言語では類する単語は見つかっていない<ref>"[https://www.etymonline.com/word/dwarf dwarf]", Online Etymology Dictionary</ref>。 |
|||
⚫ | |||
[[北欧神話]]には闇の[[妖精]][[ドヴェルグ]]がいる。太古の巨人[[ユミル]]({{Lang|non|Ymir}})の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは[[太陽]]の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。 |
[[北欧神話]]には闇の[[妖精]][[ドヴェルグ]]がいる。太古の巨人[[ユミル]]({{Lang|non|Ymir}})の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは[[太陽]]の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。 |
||
現在残されている資料では地に住まう闇の[[エルフ]]、デックアールヴ({{Lang|non|døkkálfar}})と共通する部分も見られ、[[古エッダ]]の「[[巫女の予言]]({{Lang|non|Völuspá}})」には名前の接尾に"-álfar"をもつドヴェルグも登場する。 |
現在残されている資料では地に住まう闇の[[エルフ]]、デックアールヴ({{Lang|non|døkkálfar}})と共通する部分も見られ、[[古エッダ]]の「[[巫女の予言]]({{Lang|non|Völuspá}})」には名前の接尾に"-álfar"をもつドヴェルグも登場する。 |
||
== |
== ドイツにおけるドワーフ == |
||
ドイツ民話で『[[グリム童話]]』に収載された[[白雪姫]]に登場する「{{De|sieben Zwerge}}」は日本語では7人の小人と翻訳されるが英語ではドワーフと訳される<ref>『モンスター・コレクション 改訂版 中』1996年、240-248頁</ref>。 |
ドイツ民話で『[[グリム童話]]』に収載された[[白雪姫]]に登場する「{{De|sieben Zwerge}}」は日本語では7人の小人と翻訳されるが英語ではドワーフと訳される<ref>『モンスター・コレクション 改訂版 中』1996年、240-248頁</ref>。 |
||
19行目: | 22行目: | ||
== トールキンのドワーフ == |
== トールキンのドワーフ == |
||
{{main|ドワーフ (トールキン)}} |
{{main|ドワーフ (トールキン)}} |
||
[[J・R・R・トールキン]]の[[架空世界]]である[[中つ国 (トールキン)|中つ国]]に |
[[J・R・R・トールキン]]は、これらの北欧やドイツの伝承をベースとして、自身の想像した[[架空世界]]である[[中つ国 (トールキン)|中つ国]]に住む種族としてドワーフを導入した。 |
||
中つ国におけるドワーフは背の低い頑健な種族であり、女性も含め全員がひげを生やしている。他種族に対して植物や動物を含めてあまり親密とは言えず、植物を愛でることや乗馬などを苦手とし、[[ホビット]]に対してはまだ友好的な場合が多いが、[[エルフ (トールキン)|エルフ]]に対しては昔から不信感を抱いている。典型的なドワーフは[[鍛冶]]や[[石工]]を職業としており、かれらが作り出す作品の中にはエルフの作品よりも優れたものもある。 |
|||
本来、[[英語]]における「{{lang|en|dwarf}}」の複数形は「{{lang|en|dwarfs}}」であったが、トールキンが『[[ホビットの冒険]]』と『[[指輪物語]]』で「{{lang|en|dwarves}}」を使ったことにより、特にファンタジー文学では後者の綴りも多く用いられるようになった。 |
本来、[[英語]]における「{{lang|en|dwarf}}」の複数形は「{{lang|en|dwarfs}}」であったが、トールキンが『[[ホビットの冒険]]』と『[[指輪物語]]』で「{{lang|en|dwarves}}」を使ったことにより、特にファンタジー文学では後者の綴りも多く用いられるようになった。 |
||
⚫ | |||
== トールキン以降のファンタジー作品におけるドワーフ == |
|||
⚫ | |||
== 蔑称としてのドワーフ == |
== 蔑称としてのドワーフ == |
2018年10月1日 (月) 15:29時点における版
ドワーフ(英語: dwarf [dwˈɔɚf]、ドイツ語: Zwerg、古ノルド語: dvergr)は、人間よりも少し背丈の小さい伝説上の種族。民話、神話、童話、ファンタジー作品などに登場することが多い。高度な鍛冶や工芸技能をもつとされており、外観は男女共に背丈が低いものの力強く屈強で、特に男性はその多くで長い髭をたくわえているとされる。
ドワーフ小人、矮人、侏儒、あるいは単に小人と訳されることもある。
語源
英語のdwarfはドイツ語のZwergからの借用であり、語義としては「とても背の低い人間、小人」の意である。この語の同根語として、歴史的に古フリジア語 dwerch、古ザクセン語 dwerg、古高ドイツ語 twerg、ドイツ語 Zwerg、古ノルド語 dvergrなどがあり、これらをもとにゲルマン祖語の語形*dwerazが再構されている。さらにインド・ヨーロッパ祖語の語形*dhwergwhosも再構されているものの、ゲルマン語派以外の言語では類する単語は見つかっていない[1]。
北欧におけるドワーフ
北欧神話には闇の妖精ドヴェルグがいる。太古の巨人ユミル(Ymir)の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは太陽の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。
現在残されている資料では地に住まう闇のエルフ、デックアールヴ(døkkálfar)と共通する部分も見られ、古エッダの「巫女の予言(Völuspá)」には名前の接尾に"-álfar"をもつドヴェルグも登場する。
ドイツにおけるドワーフ
ドイツ民話で『グリム童話』に収載された白雪姫に登場する「sieben Zwerge」は日本語では7人の小人と翻訳されるが英語ではドワーフと訳される[2]。
民間伝承の中の妖精ドワーフは更に奇怪な姿をしており、その姿は醜く、老人のような皮膚を持ち、立った姿勢のままで腕が地面に付くほど長いとも言われる。3歳で成人し、7歳で老人になるといわれる。また、女性が存在しない為、新しいドワーフは石から作られるともいわれる。
トールキンのドワーフ
J・R・R・トールキンは、これらの北欧やドイツの伝承をベースとして、自身の想像した架空世界である中つ国に住む種族としてドワーフを導入した。
中つ国におけるドワーフは背の低い頑健な種族であり、女性も含め全員がひげを生やしている。他種族に対して植物や動物を含めてあまり親密とは言えず、植物を愛でることや乗馬などを苦手とし、ホビットに対してはまだ友好的な場合が多いが、エルフに対しては昔から不信感を抱いている。典型的なドワーフは鍛冶や石工を職業としており、かれらが作り出す作品の中にはエルフの作品よりも優れたものもある。
本来、英語における「dwarf」の複数形は「dwarfs」であったが、トールキンが『ホビットの冒険』と『指輪物語』で「dwarves」を使ったことにより、特にファンタジー文学では後者の綴りも多く用いられるようになった。
トールキンによるドワーフの描写は後世の創作に大きな影響を与え、矮躯でありながら屈強、豊かな髭を生やしているといったイメージが共有されるようになった。髭が生えるのは男性だけとするものと女性にも生えるとするものに設定が分かれる。大酒飲みで意地汚いが、手先が器用であり、鉱夫あるいは細工師や鍛冶屋などの職人であると同時に戦士(斧やハンマーが主武器とされることが多い)のイメージが強い[3]。
蔑称としてのドワーフ
現実世界でも、遺伝子異常により成人で比例的に短躯短肢の人を「ドワーフ」、躯幹は成人と同じで四肢が短い人を「ミゼット」と呼ぶことがあった。奇形の人が見世物となったことをとりあげた映画として『エレファントマン』がある(主人公は象皮病とおもわれる後天性障害だがサーカスでの登場人物の多くが先天的畸形であった。作品の対象となった20世紀前半までは身体的畸形を見世物にすることが西洋においても日本においても多く見られた)。
脚注
参考文献
- 安田均/グループSNE『モンスター・コレクション 改訂版 中』富士見ドラゴンブック、1996年 ISBN 4-8291-4311-8