栗田直躬

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栗田 直躬(くりた なおみ、1903年5月10日 - 1998年6月12日[1])は、日本の中国哲学研究者、中国学者。早稲田大学名誉教授。

略歴[編集]

茨城県水戸市に生まれる[1]第一早稲田高等学院を卒業し、早稲田大学文学部西洋哲学専攻に進学する。戸川行男と共に津田左右吉の講義を受講したことを機に、以後、津田に師事する。

1933年に早稲田大学文学部助手、1937年から2年間北京に留学した後、1939年に早稲田大学文学部専任講師、1948年に早稲田大学文学部教授となる。1974年に早稲田大学を退職する。1976年に勲三等瑞宝章を受章。1998年に逝去、従五位に叙せられる。

近代的な中国思想研究を日本に導入した先駆者として知られ、特に中国古代思想の分野で優れた業績を上げる。主な教え子に小林正美土田健次郎がいる。

その他[編集]

  • 津田左右吉の終生の弟子として知られる。津田事件の裁判審理にも関わり、『津田左右吉全集』の編集を担ったのをはじめ、彼に関する数多くの論文を書いている。
  • 骨董品の優れた目利きであり、北京留学中に会津八一に依頼されて収集した陶器などの骨董品が「會津八一コレクション」の一部となっている。
  • 親族に、『大日本史』を編纂した国学者・歴史学者の栗田寛、『水戸文籍考』、『荘園志料』を著した歴史学者の清水正健がいる。

著書[編集]

  • 『中国上代思想の研究』岩波書店、1949年。津田博士の序文を付す。
  • 『小枝の箸』(歌集)私家版、1970年。
  • 『廃墟の草』(歌集)私家版、1980年。
  • 『津田左右吉』早稲田大学学生部、1981年。
  • 『氷河と月』(歌集)私家版、1993年。
  • 『中国思想における自然と人間』岩波書店、1996年。
  • 『遺文集 一片の冰心』私家版、1999年。
  • 『中国上代思想入門』平楽寺書店、2017年。

編集[編集]

  • 『津田左右吉全集』(全三十三巻)岩波書店、1963-1966年(第一次)。1986-1989年(第二次)。

脚注[編集]

  1. ^ a b 『現代物故者事典 1997~1999』(日外アソシエーツ、2000年)p.218

参考[編集]

  • 『東洋の思想と宗教』第16号、早稲田大学東洋哲学会、1999年、124-160頁。