月経カップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
シリコン製の月経カップ

月経カップ(げっけいカップ)とは、ナプキンタンポンに替わる生理用品である。経血カップとも。英語ではMenstrual cup(メンストラルカップ)と呼ばれる。主にアメリカイギリスカナダなどの英語圏で製造・販売されている。鈴の形をしていて[1]、タンポンと同じようにの中に入れて使用する[1]天然ゴム(ラバー)[1]、医療用シリコンなどの素材で作られる[1]。代表的なものにKeeper(天然ゴム)、DivaCup(シリコン)、Mooncup(シリコン)などがある。そのほとんどが再利用可能で10年以上使用できる。使い捨てのInsteadという月経カップに似た製品もある。これは下記「使用方法」のように膣口付近で使うものではなく、ペッサリーのように子宮口にかぶせて装着する。

特徴[編集]

利点[編集]

  1. ナプキンタンポンよりも長時間使用できる(12時間まで)。
  2. タンポンのように、毒素性ショック症候群(TSS)を引き起こす原因にならない。
  3. 紙ナプキンやタンポンなどから発生するダイオキシンや他の有毒物質を体に取り入れる危険性がほぼない。
  4. 長期にわたって使用できるので資源の無駄を防ぐことができ、紙の大量使用による自然環境破壊を引き起こさない。
  5. 1個あたり日本円で3000円前後と単価は紙ナプキンなどと比べて高価である一方、長期使用することで結果的にかかる金額が少ない。
  6. 布ナプキンと違って、洗浄に時間がかからない。
  7. 経血が外気にほとんど触れないままカップにたまるため、漏れ及び経血につきものと思われている「匂い」がほとんど出ない。月経時のオーラルセックスも血や臭いを気にせずに出来る。
  8. カップ洗浄時に、自分の血液やおりものの量や状態を的確に判断する事が出来るので、健康管理に役立つ。

欠点[編集]

  1. 安価で品質の低い月経カップは染料がしみ出すなど健康面での害がある可能性があるので、薬事法で認証された(米国のFDAなど)ものを買い求める方がよい。
  2. 使用者によっては出し入れを困難に感じる。使うに従って慣れていくことも多い。
  3. 日本に限って言えば、他の生理用品に比べて格段に入手が難しい。
  4. 外出時に公共トイレなどで使用した場合、個室内に手洗いシンクが無いことが多く気を遣う。
  5. 洗浄の必要があるため、清潔な水を確保しにくい環境(災害時・登山など)では使いにくい。
  6. 交換のタイミングが合わないと漏れることもある。

4.及び5.については、清浄綿・ウェットティッシュ・乳児用おしりふきなどを使ったカップの清拭である程度は対処できる。

歴史[編集]

1930年代にアメリカで存在が確認されている。ただしこのカップは堅かったため、あまり普及せず、戦後の50年代に柔らかい素材で新たに販売され売れるようになった。市場に出回るようになったのは1987年[1]、The Keeperは80年代、InsteadやMooncupは90年代になって出てきたもの。 

使用方法[編集]

月経カップは膣内に装着して使用する。血液を吸収するのではなく集めるので、タンポンのように膣内が乾くことはなく、膣の自浄作用を邪魔しない。

Menstrual cup inserted.png

カップの開口部を2つ折などにして幅を縮め、指で押さえて挿入する(素材のもつ反発力により膣内でカップ型に戻る)。月経カップは膣の下の方に装着。少し高めの位置に移動することもあるが、子宮口にかぶせる様にデザインされているわけではない。


Tampon inserted.png

タンポンは子宮口のすぐとなりに装着されるのが望ましい。こうすることで十分な大きさに広がることが出来る。

安全性[編集]

米国ではアメリカ食品医薬品局の管理下で数十年間利用されているが、毒素性ショック症候群(TSS)を始め、健康的被害との関連性は報告されていない。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 武谷雄二 『月経のはなし: 歴史・行動・メカニズム』2154巻 (初版) 中央公論新社〈中公新書〉、2012年3月25日、196頁。ISBN 978-4-12-102154-0NCID BB08702181 

外部リンク[編集]