日々の聖句

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『日々の聖句』(2018年版および2020年版)

日々の聖句』(ひびのせいく、ドイツ語: Herrnhuter Losungen英語: Daily Watchwords)は、モラヴィア教会ドイツヘルンフートで毎年発行し、世界中に各国語で配布されている、キリスト教聖書からの聖句を載せた毎年の出版物である。

概要[編集]

『日々の聖句』は1728年5月3日に創刊され、現在では50の言語で出版されていて、日本語版は『日々の聖句』と呼ばれ、ドイツ語版の名称から『ローズンゲン』とも呼ばれる[1]。この出版物は伝統的に本や小冊子の形をしており、1年の各日に1つずつ、短い聖句が短い説明と共に掲載されている。

旧約聖書の聖句が、まず毎年ドイツ・ザクセン州ヘルンフートで1824節の中からくじ引きで選ばれる。その後、新約聖書の「教義的テキスト」が選ばれ、その聖句についての解説がなされる。現在年間発行部数は、全世界で150万部を超える。

これはモラヴィア兄弟団の世界的なエキュメニカルな働きであり、信条、政治、人種などあらゆる壁を越えている。英語版は北米モラヴィア教会のモラヴィアン・デイリーテキスト・サービスでは、毎日の聖句をWebで読むことができる。

由来[編集]

366枚のくじが入った抽選箱(1850年)

ニコラウス・フォン・ツィンツェンドルフが1728年5月3日に、慣例となっている「聖歌の時間」に最初の「ローズング」(Losung、合言葉などの意味)「愛が彼を追いやり、彼を王座から引き離したので、なぜ私は彼を愛せないだろうか?」を会衆に与えた[2]。それ以降、兄弟たちが毎朝、村の32の家々を訪れ、その日の合言葉を唱え、合言葉を交換するだけでなく、司牧も行なった。夕方には、その兄弟が歌の時間にモラヴィア教会の執り成しと意思を唱えた。1731年に最初の印刷版が出版されると、毎日の合言葉はもはや毎日ではなく、ヘルンフートでは1年を通して描かれるようになった[3]。この1年を通しての合言葉の抽選については、1年の終わりに長老たちの立会いのもと、あらゆる階級の兄弟姉妹が出席して臨時の会合が開かれ、毎日の合言葉がそれぞれ抽選箱から引かれたと、宣教師のクリスチャン・ダヴィト英語版は1735年に述べている。この合言葉とは、「戦争における合言葉のようなもので、兄弟姉妹はそこから、目標に向かってどのように進むべきかを知ることができる。」とフォン・ツィツェンドルフ伯爵が言っている。聖書の言葉と賛美歌集の詩の基本形は、1731年にすでに指定されていた。もう一つの形式は、個々の聖書箇所を参照する賛美歌の節であったが、これは後に削除された。注目すべきは、『毎日の聖句』を読んだ多くの読者が、それをきっかけに聖書を毎日読むようになったことである。

日本語版[編集]

『ヘルンフーター・ローズンゲン』の日本語版は、始め1939年から『家庭禮拝の栞』(教文館発行、1937~1950年)として発行されていた。その後は、「かにた婦人の村」などを設立した著名な深津文雄牧師によって奉仕女ディアコニッセ[4])の「べセスダ奉仕女母の家」も1954年に設立され[5]、『日々の聖句」1957年版(1956年11月15日発行)からは毎年ベテスダ奉仕女母の家出版部で発行されている[6]

毎年11月に翌年版が発行される『日々の聖句』は、縦長の見開き2ページに、その週の聖句と各週日(月~土)の聖句が掲載され、聖句は日本聖書協会の許可を得て、『新共同訳聖書』を中心に口語訳聖書や私約聖書も使っている。各週にはドイツの教会の習慣に習って讃美歌も掲載していて、主に『讃美歌21』を使い、その他の讃美歌集も用いている。[7]

参照項目[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]