支払い停止の抗弁権

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支払い停止の抗弁権(しはらいていしのこうべんけん)とは、販売業者に問題が生じている場合(抗弁事由がある)に、クレジット会社(信販会社)に対して、その生じている問題(抗弁事由)を主張して、クレジット会社からの支払を拒否する権利(割賦販売法30条の4、30条の5、30条の6)。

ローン提携販売(他社割賦)と包括信用購入あっせん(いわゆるクレジット)に適用される。

支払い停止の抗弁権の要件[編集]

  • 販売業者に対して抗弁事由があること。
  • 総支払額が4万円以上(リボルビング方式は38,000円)であること(施行令18条、第21条)。
  • 支払い方法が以下の条件であること
    • ローン提携販売は、2か月以上の期間にわたっての3回以上の分割(割賦販売法2条2項1号)
    • 包括信用購入あつせんは、2か月以上の期間にわたる支払い(割賦販売法2条3項1号)
  • 売買契約が、割賦販売法第三十五条の三の六十に該当しないこと

対抗事項[編集]

最高裁判所判例
事件名 立替金
事件番号 昭和59(オ)1088
平成2年02月20日
判例集 集民 第159号151頁
裁判要旨
 割賦販売法三〇条の四第一項新設前の個品割賦購入あつせんにおいて、購入者とあつせん業者の加盟店である販売業者との売買契約が販売業者の商品引渡債務の不履行を原因として合意解除された場合であつても、購入者とあつせん業者間の立替払契約においてかかる場合には購入者が右業者の履行請求を拒みうる旨の特別の合意があるとき又はあつせん業者において販売業者の右不履行に至るべき事情を知り若しくは知り得べきでありながら立替払を実行したなど右不履行の結果をあつせん業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り、購入者は、右合意解除をもつてあつせん業者の履行請求を拒むことはできない。
意見
多数意見 全員一致
参照法条
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対抗事項は購入者保護の観点よりできる限り広く解すべきとの政令があり、具体例として以下が挙げられている(これに限定されない)[1]

(ア)販売業者に債務不履行等があること 

  1. 商品の引渡しがないこと
  2. 見本・カタログ等によって提示された商品と現に引渡された商品が違うこと
  3. 商品に明らかな瑕疵または隠れた瑕疵があること
  4. 商品の引渡しが遅れたため,商品購入の目的が達せられなかったこと
  5. 商品の販売の条件となっている役務の提供がないこと
  6. その他販売業者に債務不履行があること

(イ)売買契約が成立していない場合,無効である場合又は取消しうる場合であること

ただし、売買契約の支払総額が4万円(リボルビング方式は38,000円)に満たない場合には、購入者は割賦販売法第三十条の四に基いて対抗は出来ない[1]

割賦販売法が適用されない場合、もしくは同法に抗弁権が制定される以前(昭和59年12月1日以前)の契約については、信義則上相当とする特段の事情がない限り、あっせん業者の履行請求を拒むことはできない[2]


対抗手続き[編集]

購入者はあっせん業者に対抗する際は、該当代金の支払停止をあっせん業者に申し出る。その際は予め販売業者と交渉を行うよう努力すべきとされている[1]

あっせん業者は対抗の申し出を受けた際は、直ちに販売者への連絡・購入者へ申請書類の郵送・支払請求停止処置など、所要の手続きをとらなければならない。あっせん業者、対抗申請書類に基づいて必要な調査を行わなければならず、購入者は調査に協力しなければならない。調査の結果、対抗理由が存在したならば請求停止・銀行引落し返金をしなければならない[1]。あっせん業者は十分な調査を行うことなく、請求を継続したり、個人信用情報機関への事故情報登録を行ってはならない[3]

出典[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]