弦楽四重奏曲第3番 (ドヴォルザーク)

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弦楽四重奏曲第3番 ニ長調B.18)は、アントニン・ドヴォルザークが1869年から1870年のどこかの時期で作曲したと思われる弦楽四重奏曲[1][2]。1時間を超える演奏時間を誇り[3]、作曲者の室内楽作品の中で最長の楽曲となっている。曲が長いことに加え、様式的な面では部分的にワーグナー風であると評されている[4][5]

概要[編集]

本作および弦楽四重奏曲第2番第4番の正確な作曲年は同定されていないが、これら3曲は1868年から1870年にかけての時期に書かれており、第4番については1870年12月に完成したことがわかっている[1]。この3作品が書かれたのは作曲者のキャリア初期のことであり、総譜を廃棄した彼は曲を破棄出来たものと思い込んでいた。後年、各奏者用のパート譜が再発見され、これらの楽曲は失われずに済んだのであった[4]。この作品の商業出版は行われていないが、1964年の完全クリティカル・エディション(Souborné vydání díla)第5巻に収録されている[6]

初演は1969年1月12日に、プラハルドルフィヌムにおいてドヴォルザーク四重奏団の演奏で行われた[5]

楽曲構成[編集]

全4楽章で構成される[7]。演奏時間は約65分から70分。

録音史[編集]

ある文献によると[8]、本作の初録音は1938年にレナー四重奏団が行ったものであるという。この録音はロックポート・レコードによってCD化されているというが、2015年10月現在検証できていない[9]。別の文献の示すところでは[10]、この録音はかつての採番ルールで第3番と呼ばれていた作品51(現在の第10番)であるとのことである。それが正しいのであれば、1976年にプラハ弦楽四重奏団ドイツ・グラモフォンへ行った録音が世界初ということになる[1]。その後、シュターミッツパノハプラハ・ヴラフ、ツェムリンスキーの各団体が本作の録音を残している[8]

出典[編集]

参考文献[編集]

  • Burghauser, Jarmil (1977). Notes translated by John Coombs – Dvorak: The String Quartets (Set: 429-193-2) (CD Box Set). Antonín Dvořák. Germany: Deutsche Grammophon. 429-196-2, tracks 1-4。
  • Šourek, Otakar; (Trans.)Samsour, Roberta Finlayson. The Chamber Music of Antonín Dvořák. Czechoslovakia: Artia. https://archive.org/details/chambermusicofan00souruoft 
  • Herbert and Trufitt, Peter J F and Ian T (2004). Antonin Dvorak complete catalogue of works, (The Dvorak Society occasional publications no. 4), 4th revised edition. The Dvorak Society for Czech and Slovak Music. ISBN 0-9532769-4-5 
  • Prager Streichquartett, Deutsche Grammophon CD recording of SQ No. 3 429-196-2, Tracks 1-4.

外部リンク[編集]