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天草五橋

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国道266号標識
国道266号標識
国道324号標識
国道324号標識
天門橋(三角側から撮影) 2005年12月24日

天草五橋(あまくさごきょう)とは、熊本県宇土半島先端の三角(みすみ)から、天草諸島大矢野島永浦島、池島、前島を経て天草上島までを結ぶ上天草市内の5つの橋の総称で、1966年(昭和41年)9月24日に開通した。

概要

一号橋(天門橋)と三角ノ瀬戸、三角港付近の空中写真。1974年撮影の6枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。
4つの橋が連続する二号橋から五号橋付近の空中写真。1974年撮影の6枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。
千厳山展望所からの天草五橋の眺望(2015年5月)
高舞登山展望台からの天草五橋の眺望(2015年5月)

天草五橋は当初は償還期間39年を見込んだ有料道路であったが、開通により天草への観光客が急増し、モータリゼーションの進展なども含めた交通量の増大によりわずか9年で償還を完了して無料化された。

一号橋から五号橋の間の国道266号および路線に重複する国道324号の約15kmのルートは[1]、天草で真珠の養殖が盛んなことから天草パールラインと名付けられ、日本の道100選にも選ばれている。

また、大矢野島から上島までの間3km足らずは小さな島づたいで、二号橋・三号橋・四号橋・五号橋がほぼ連続している。その間の両側の海に大小さまざまな島が浮かぶ風景は、天草松島と呼ばれ日本三大松島の1つに数えられる。 天草五橋の開通によって、天草島における生活、産業、すべてが変化した。『新・天草学』[2]によると、それを1)船の衰退 2) 経済圏 3) 道路 4) 人口 5) 早期作 6) 黒毛和牛 7) 特産品作り 8) つくる漁業 9) 陶石 10) もらい水 11) 林業 12) 大手スーパー進出 13) 観光つり船 14) 工場進出 15) ホテル・旅館 16) フェリー 17) 目玉作り 18) 架橋と空港 19) 人情 20) 政治風土 21) 県外からのイメージ に分けて詳説している [3]

  • 一号橋(天門橋) 橋種:鋼橋 形式:トラス橋 全長:502m 径間数:3 最大支間長:300.000 幅員:有効 8.30m 車道:6.00m 歩道左:0.80m 歩道右:0.70m 工法:連続トラス 上部 株式会社横河橋梁製作所 下部 西松建設株式会社
  • 二号橋(大矢野橋) 橋種:鋼橋 形式:ランガートラス橋 全長:249.10m 径間数:3 最大支間長:156.00 幅員:8.00m 車道 5.80m 歩道左 0.70m 歩道右 0.70m 工法:ランガートラス 上部 日本橋梁株式会社 下部 株式会社大林組
  • 三号橋(中の橋)橋種:PC橋 形式:PC箱桁橋 全長:361m 径間数:3 最大支間長 160.000 幅員:有効 8.00m 車道 5.80m 歩道左 0.70m 歩道右 0.70m 工法:PCラーメン 住友建築株式会社
  • 四号橋(前島橋) 橋種:PC橋 形式 PC箱桁橋 全長:510.20m 径間数 5 最大支間長 146.000 幅員 有効 8.00m 車道 5.80m歩道左 0.70m 歩道右 0.70m 工法:PCラーメン 鹿島建設株式会社
  • 五号橋(松島橋)橋種:鋼橋 形式:パイプアーチ橋  全長:177.70m 径間数 3 最大支間長 126.000 幅員 有効 8.00m 車道 5.70m 歩道左 0.80m 歩道右 0.80m 工法:パイプアーチ 上部 川崎重工業 下部 星野土木株式会社

沿革

道路公団の評価

メリット・デメリット評価(1976年[4]
問題 評価(%)
交通網の整備 93.4
交通事故の増大 93.2
外商の増加 75.6
地域開発の進展 68.8
公害の増大 67.9
本土との一体感 65.4
買い物が便利 60.3
生活環境の整備 43.7
五橋料金が高い(現在は無料) 41.6
風紀の乱れ 32.1
収入増大感 22.1
天草としての一体感 21.9
就職口の増加 16.3
物価が安くなる 10.2

地理

大矢野島と上島の間に大小19の島々が点在する天草松島の島々を眺め、宇都半島先端の三角から天草上島までの5つの橋を渡るルート上には、展望台も設置されており、特に松島展望台から見る前島橋と天草松島の島々と美しい海が調和する風光明媚なパノラマ風景を見ることができる[5]。また、近くにある高武登山(たかぶとやま)や千巌山(せんがんやま)の展望台からも天草松島と天草五橋を展望できる[5]。天草五橋一号橋の天門橋は、天草松島にある他の4橋とは離れた北の位置にあり、三角半島と大矢野島北端の間にある三角ノ瀬戸と呼ばれる海峡に架かる。

脚注

  1. ^ 須藤英一 2013, p. 175.
  2. ^ 『新・天草学』熊本日日新聞社 1987
  3. ^ 以下は橋梁台帳(天草地域振興局)による
  4. ^ 天草市史 天草の門 (2007) 上天草市史大矢野町編現代部会
  5. ^ a b 須藤英一 2013, pp. 174–175.

参考資料

  • 『工事報告 天草五橋』 (社)土木学会 1966/05
  • 『天草建設文化史』 天草地区建設業協会 1978/05
  • 『新・天草学』熊本日日新聞社 1987
  • 『天草の歴史』郷土出版社 ISBN 978-4-87663-932-8
  • 天草地区建設業組合 『天草建設文化史』秀巧社 1978年
  • 天草五橋の橋梁台帳(編集:天草地域振興局)保存 熊本県庁
  • 須藤英一『新・日本百名道』大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2 

関連項目