天珠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
九眼天珠(きゅうがん)
閃電五眼天珠(せんでんごがん)

天珠(てんじゅ)はチベットのでは本来ジーと呼ばれ護符などとして瑪瑙に特殊な加工を施した千年を生きたビーズ。

概要

チベットに於いてはジーもしくはズィと発音し世界的にはジービーズとして通用する。中華系の方々が呼ぶ天珠という言い回しは東洋の一部の地域でのみ通用し、また、チベットと中国との関係が良好でない現状ではチベットの言い回しであるジーと言うのがチベットが育んだ文化に触れるという意味に於いても、またチベットを尊重する意味に於いても望ましい。

現状では起源は紀元前5世紀前後と推定され、出土品が現在のアフガニスタン北部からパキスタン北部に集中していることからもこの地がジービーズ誕生になにかしらのきっかけを与えたことは想像に難しくない。また、ジー誕生以前から存在するナトロン等で加工されたエッチドカーネリアンはジーの技術的基礎を築く上で大きな影響を、さらに、欧州にまでまたがり護符等として流通したルックミはジーの思考の源になったともいえる要素を有していると言える。

産地

紀元前後から続くオリジナルのジービーズは西はアラビア半島から東はマレー半島にまで出土品が確認されており、当時ユーラシア大陸の広範囲に渡り流通していた護符であることが考古学上の視点から読み取れる。

よくチベットで誕生などと言われることが中国や日本など一部で言われているがその事実は認められず、古代チベットの文化水準やその他周辺地域の文化発展状況を鑑みれば、原状ではチベットでの生産は懐疑的と言わざるを得ず、ローマやエジプト等の古代ビーズの発生を参考にしてみてもやはり古代に生産された一部がチベットにも渡ったというのが歴史を踏まえれば現状では正しい見方であろう。


見極め

台湾や中国の天珠製造メーカーが植え付けた価値観のひとつに、ジービーズへのアプローチがある。中国などの土産物屋でよく聞かれるのは「老天珠(ジービーズ)はもう手に入らない、もしくは非常に高額、またはコレクターが手放さない」などと言った文言である。 これは事実とは異なるわけだが、天珠製造メーカーの思惑にも合致する為、多くの天珠を売る土産物屋がその既得権を捨てられず、もしくは商売優先の為かそもそもジービーズの現状をまったく理解していないことがこうした事実とは全く異なる風説をまき散らすこととなる。 また、ジービーズにはいくつかの文様が存在するが、それがどういう意味を成すのかという問いは現在の考古学上、明確な答えはほぼ解き明かされていないといって過言ではない。 つまり、事細かに文様云々で効果を指示しジーを語ることは明らかに過剰である訳だが、チベットをも巻き込んだこのような製造メーカーの商魂垣間見える発想が半世紀にわたり続いた結果、原状を複雑化させている。

上記の点を踏まえ、見極めに於いてはこうした歴史的事実と異なる説明や視点を語る、また、文様云々について事実にそぐわない過剰な効果を事細かく触れている業者はジービーズの歴史をほぼ理解できていないと言わざるを得ず、見極める上でも大きな判断材料となろう。

本物の見極めについては商用ビーズはそもそも論外として、重要になってくるのは他の美術品同様、自ら眼を持つということとなる。しかし、素人が手を出せる世界ではなく、相当の鍛錬が必要なことから、世界の名の知れたトップディーラーから入手することが安全であろう。国内に於いては幸いにもそうした日本人がいることからそれを望めばよいが、海外に於いては慎重な対応が望ましいであろう。 また、ジービーズには伝世品と出土品という本物に於いてもさらに来歴による選別があり、1990年代まではその違いを指摘する者は国内には存在しなかったが、現在は正しい情報がいきわたり始め、その違いが定着を始めている。


本物と偽物[編集]

本来、古物や美術品に於いて真贋の基準が異なることはあってはならず、各人もしくは機関により評価が異なるなどという事はあり得ない。1900年代中ごろ台湾でチベットに伝わるジービーズを模倣し制作がはじまり流通したことがきっかけとなり、こうした論争が起こるが他の民族美術同様に美術的、考古学的視点を踏まえ客観的視点で論じられることが望ましい。

ちなみに瑪瑙であれば本物でガラスや樹脂、セラミックなら偽物などという偽りが中国などを中心に見られるようだが、それは天珠と呼ばれるジービーズを模倣した天珠製造メーカーが半世紀をかけて浸透させた価値観であり、さらに何も知らないチベット人をも巻き込んだが故により複雑化してしまったことが今日の結果を生み出している。常識的に考えれば商用としてまったく別のカルチャーと思想の下で誕生したものは材質の如何に関わらず答えは明らかであり、正しい歴史観と正しい考古的美術的視点をもって臨むことが重要である。大金が動く故に既得権にしがみつきチベット人の心を無視し事実を捻じ曲げポジショントークを続ける業者は後を絶たないわけだが、チベットの人々が守ってきた貴重な文化と心を尊重し尊敬する気持ちを持って接することが最も大切なことだと言えよう。

※上記参考写真は2枚とも台湾もしくは中国製造メーカーによって作られた商用ビーズ。 また、下方の五眼云々と称される文様はチベットに代々伝わるオリジナルのジービーズには存在せず、 製造メーカーによって顧客の需要に沿いつくられた架空の商用ビーズである。

外部リンク[編集]