大浜てらまち

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大浜てらまち(おおはまてらまち)は、愛知県碧南市大浜地区にある、10の寺院が点在して街並みを形成している地域(寺町)。築山町、浜寺町、本江町、音羽町などが含まれる。中世以降に形成され、近世に確立されたとされる。

歴史[編集]

中世の三河碧海郡大浜では、大浜道場(後の称名寺)が確かな足跡を残した[1]。近世には江戸廻船の基地である大浜湊があり、大浜は海運業で発展した[2]。本伝寺や林泉寺が確立され、大浜てらまちが形成された[2]

文人画家の富岡鉄斎は1889年(明治22年)と1895年(明治28年)に林泉寺に逗留し、林泉寺を描いた『鉄斎翁華慶山図』などを残している[3]。宗教家の清沢満之は1888年(明治21年)から西方寺で副住職を務め、大浜には清沢満之記念館が残っている。

昭和戦前期に吉田初三郎が描いた『三河大浜鳥瞰図』には公共施設などに加えて、林泉寺、常行院、西方寺、海徳寺、宝珠寺、清浄院、本伝寺、称名寺などが描かれている[4]

2000年度(平成12年度)には「大浜てらまちウォーキング」が初開催され[5]、2020年には20回目を迎えた。

寺院一覧[編集]

西方寺
清浄院
称名寺
林泉寺
海徳寺
宝珠寺
碧南市浜寺町2丁目19番地。真宗大谷派。仁治元年(1240年)頃創建。
かつては天台宗であり光照寺という名称だった[6]
  • 清浄院(しょうじょういん[7]
碧南市築山町1丁目21番地。浄土宗鎮西派。建武元年(1334年)創建。
かつては真言宗だったとされる[6]前田利家の先祖の墓と伝えられる墓がある[6]
碧南市築山町2丁目66番地。時宗。暦応2年(1339年)創建。
古くは大浜道場と呼ばれた[6]
碧南市本郷町3丁目8番地。曹洞宗。長禄元年(1457年)創建。
かつては天台宗だった[6]
碧南市音羽町1丁目60番地。浄土宗西山深草派。寛正3年(1462年)創建。
三河新四国八十八ヶ所霊場札所[6]
  • 本伝寺
碧南市築山町1丁目53番地。真宗大谷派。文亀元年(1501年)創建。
かつては天台宗であり専光寺という名称だった[6]
  • 常行院
碧南市本郷町3丁目38番地。浄土宗鎮西派。大永6年(1526年)創建。
岡崎の大樹寺住職とされる貞頓が開基した[6]
  • 宝珠寺(ほうしゅうじ[8]
碧南市音羽町1丁目48番地。曹洞宗。天文12年(1543年)創建。
永井直勝生誕地」碑がある[6]
  • 深称寺
碧南市羽根町3丁目12番地。浄土宗。1914年(大正3年)創建。
かつては深称庵や深称協会という名称だった[6]
  • 観音寺
碧南市築山町3丁目58番地。真言宗。1955年(昭和30年)創建。
信貴山の末寺として発足[6]

脚注[編集]

  1. ^ 『歴史系企画展 大浜てらまち』碧南市藤井達吉現代美術館、2009年、p. 10
  2. ^ a b 『歴史系企画展 大浜てらまち』碧南市藤井達吉現代美術館、2009年、p. 32
  3. ^ 『歴史系企画展 大浜てらまち』碧南市藤井達吉現代美術館、2009年、p. 49
  4. ^ 『歴史系企画展 大浜てらまち』碧南市藤井達吉現代美術館、2009年、p. 8
  5. ^ 愛知県碧南市・大浜地区 国土交通省
  6. ^ a b c d e f g h i j k 「大浜てらまち寺院一欄」『歴史系企画展 大浜てらまち』碧南市藤井達吉現代美術館、2009年、pp. 66-67
  7. ^ 清浄院(しょうじょういん)
  8. ^ 宝珠寺(ほうしゅうじ))

参考文献[編集]

  • 『歴史系企画展 大浜てらまち』碧南市藤井達吉現代美術館、2009年

外部リンク[編集]