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外典福音書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

外典福音書(がいてんふくいんしょ、: Apocryphal gospels)とは、福音書の名称が付けられた書物のうち、キリスト教会で正典として承認されていないものである。

これらの外典福音書の記述の一部はキリスト教徒によって異端的な思想であるとみなされることになった。

外典福音書の中でもっとも古いものは『トマスによる福音書』と『ペトロによる福音書』である。『ヤコブの福音書』(マリアの誕生、ヤコブによるイエスの幼時福音)や『トマスの幼年福音書』(トマスによるイエスの幼時福音)など「幼時福音書」と呼ばれる一群の書物は2世紀になって成立したものだが、無原罪懐胎を含むマリアの生涯やイエスの幼年時代におきた多くの奇跡について語っている。これらは正典としては受け入れられなかったがキリスト教徒の間に伝承として伝わっていった。

ほかにも古代から根強く編まれてきたものに「合併福音書(調和福音書)」がある。これは四福音をまとめてその差異をならし一冊にしたものである。断片だけであるが、現存する最古の合併福音書は175年ごろ、タティアヌスが編んだ「ディアテッサロン英語版」というものである。ディアテッサロンはシリア地方で2世紀にわたって流通し、よく用いられたがやがて廃れた。

シノペのマルキオン150年ごろ、ルカ福音書を自説にもとづいて書き換え、自らに従うグループの礼拝で用いた。グノーシス派の二元論から強く影響を受けたマルキオンは、旧約聖書の神がこの世界の創造主だということは認めるが、怒りと裁きの神であって愛がないとして退けた。一方、自らが創造したのでもないこの世界の人々を救うためにイエスを地上に派遣した異邦の神こそが愛の神であると考えた。マルキオンはルカ福音書の中から「ユダヤ的」不純物だと彼が考えた部分を取り除き、ルカ以外の福音書を排斥した。誤解のないように付言すれば、マルキオンが彼の『主の福音書』を編纂した時点ではまだ新約聖書は成立していなかったので、マルキオンが今日我々が目にするような形での新約聖書を切り貼りして彼の聖書を捏造したわけではない。

主な外典福音書

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正典におさめられなかった福音書であってもスタイルや内容において正典の福音書と共通点のあるものもある。他にもQ資料のような「語録」と呼ばれるイエスのことばを集めた資料があったことも推定されている。

主な外典福音書英語版は以下の通りである。

トマスによる福音書フィリポによる福音書、マグダラのマリアによる福音書エジプト人の福音書真理の福音書ユダの福音書などはナグ・ハマディ写本から発見され、グノーシス主義の影響が見られる文書と考えられており、ペトロによる福音書にはドケティズム(仮現説)の影響が強く見られ、それぞれ正典資料とは異なる視点からイエスをとらえている。

福音書としてはやや逸脱するが、イエスの母マリアを中心にイエス誕生までの物語を描いた『ヤコブ原福音書』、『トマスによるイエスの幼児物語』なども2世紀ごろには成立し、広く読まれて宗教画などにも影響を与えている。

他にも厳密には外典には含まれないが、古代でなく中世以降に福音書の形式を借りて書かれたものもある。たとえば『バルナバによる福音書』は中世にはいって書かれたものである。また近代以降に書かれた『宝瓶宮福音書』(リバイ・ドーリング)、『イッサの生涯』(発見者と称するニコラス・ノトヴィッチが書いたと考えられている)などもある。

外典福音書以外の新約外典

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外典福音書のみが新約聖書外典の全てではない。新約外典には、外典福音書だけでなく、外典行伝(使徒言行録)や外典書簡、外典黙示録なども含まれる。通常、以下のような分類がなされる。

  • 新約外典新約聖書外典New Testament Apocrypha
    • 使徒教父Apostolic Fathers):クレメンスの手紙、バルナバの手紙、ディダケーなど
    • 外典福音書(Apocryphal gospels:トマスによる福音書、ユダの福音書、ヤコブの原福音書、トマスの幼児福音書など
    • 行伝(Acts):アンデレ行伝、パウロ行伝など
    • 書簡(Epistles):ヤコブのアポクリュフォン、ヨハネのアポクリュフォンなど
    • 黙示録(Apocalypses):ペトロの黙示録、ヤコブの黙示録など
    • 雑集(Miscellany):ディアテッサロンなど

関連項目

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脚注

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参考文献

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