埋没陰茎
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埋没陰茎（まいぼついんけい、英: Buried penis、隠れた陰茎あるいは収縮性陰茎とも言われる）は、陰茎が部分的あるいは完全に皮膚の下に隠れている先天性・後天的な状態のことを指す[1]。埋没陰茎は、排尿困難、不衛生、感染症、正常な性機能の抑制を引き起こす可能性がある。
埋没陰茎は小陰茎症とは異なる。小陰茎症は、患者の年齢や性的発達の段階に対して平均より2.5標準偏差以下の伸展陰茎長を持つ、異常に小さいが正常に構造化された陰茎である[2]。
歴史[編集]
埋没陰茎は、1919年にエドワード・ローレンス・キーズによって初めて記述され、陰茎が腹部、大腿、あるいは陰嚢の皮膚の下に埋もれて見えない状態として記載された[3]。さらなる研究は、1951年にモーリス・キャンベルが行い、彼は陰嚢、会陰、下腹部、および大腿の皮下脂肪の下に陰茎が埋もれていることを報告した[4]。
原因[編集]
先天的[編集]
先天的な原因は、陰茎軸の発達不全や陰茎軸の皮膚が陰茎軸に固定されていない状態を含むことができる。稀ではあるが、異常に大きな恥骨脂肪パッドや、陰茎を内部に引っ張る硬い組織を含むこともある[5]。
後天的[編集]
肥満[編集]
肥満男性全員が埋没陰茎症を持っているわけではないが、埋没陰茎の外科治療を受けた男性の87％は肥満であったと報告されている。過度の腹部脂肪は、細菌や真菌の成長を助ける環境を作る可能性がある。また、肥満は感染に対する感受性が高まる2型糖尿病の発症可能性も高める。これは、埋没陰茎症の成功的かつ迅速な管理を困難にする。このような再発する感染はまた、瘢痕収縮を引き起こす可能性があり、これが亀頭と軸部を覆う前恥骨皮膚の移動を引き起こし、軸の皮膚を内包化し、埋没陰茎を引き起こす可能性がある[6][7]。
陰茎陰嚢リンパ浮腫[編集]
陰茎陰嚢リンパ浮腫は、陰茎軸と陰嚢の変形を引き起こし、結果として埋没陰茎を引き起こす非一般的な原因である[8]。
過度に積極的な割礼[編集]
割礼の一部のケースでは、過度に包皮が除去されたり、縫合線が収縮することにより、瘢痕性の瘢痕が発生する。これは、陰茎が残った包皮内に閉じ込められたり、陰茎が恥骨上部領域に押し込まれて埋没陰茎になる原因となる可能性がある[8]。
閉塞性乾燥性亀頭炎（BXO）[編集]
閉塞性乾燥性亀頭炎は、亀頭、陰茎軸、包皮、または尿道の硬化を引き起こす慢性の炎症性皮膚病変である。これは陰茎の末端部に瘢痕を引き起こし、その閉じ込めをもたらす可能性がある[8]。
ダートスの異常発生[編集]
ダートスの異常発生は、背側のサポートが欠如し、腹側の皮膚の過度の可動性とダートスと陰茎との間の適切な結合の欠如によって特徴づけられる状態である。これにより、陰茎が陰嚢内に「テレスコープ」のように引き込まれ、埋没陰茎が生じる可能性がある[8]。
治療[編集]
この状態は非常に若い子供では何の介入もなく自己解決する可能性があるが、患者は最終的に確定的な再建手術を必要とするかもしれない。また、感染が存在する場合、緊急手術が必要となるかもしれない[9][10][11][12][13][14]。先天性埋没陰茎は、陰茎基部のダートス束に海綿体を固定することにより、子供の頃に手術で修正することができる[15]。肥満症がひどい子供や大人にとって、体重の減少が助けになるかもしれないが、通常は問題を完全に解決しない[1]。
手術の選択肢には、陰茎の基部と恥骨とをつなぐ靭帯の切断、さらなる皮膚が必要な陰茎の領域を覆うための皮膚移植、脂肪吸引を使用して、陰茎周辺の皮膚下の脂肪細胞を吸引するカテーテル、 腹部形成術で領域から過剰な脂肪と皮膚を取り除く、恥骨の上の脂肪パッドを取り除くエスカットンエクトミー、 あるいは陰部と太ももを覆うパニキュラス（過剰組織）や皮膚を取り除くパニキュレクトミーと言ったものがある[1]。ブライアン・ヴェルツケ博士と彼の同僚らは、大人の埋没陰茎の修復におけるパニキュレクトミーを行っているビデオで、恥骨結合の骨膜に対する上部恥骨脂肪パッドの固定、そして陰茎-陰嚢接合部と陰茎-腹部接合部を引っ張らないことの重要性を強調した[16]。
キングIC、タヒルA、ラマナサンC、シディキHは、主に瘢痕の解放と陰茎の皮膚の移動から成る単一の手術技術を用いた改良された治療アルゴリズムを開発した[8]。
ジェームズ・J・エリスト博士による2019年8月に発表された記事では、皮下に柔らかいシリコン製の陰茎インプラントを挿入するやり方によって、成人の埋没陰茎の状態を反転させることに成功したと報告している[17]。
出典[編集]
- ^ a b c “Buried Penis: Causes, Treatment, Incidence, Outlook, and More”. Healthline (2017年11月22日). 2023年6月8日閲覧。
- ^ Zenaty, D.; Dijoud, F.; Morel, Y.; Cabrol, S.; Mouriquand, P.; Nicolino, M.; Bouvatier, C.; Pinto, G. et al. (November 2006). “Bilateral anorchia in infancy: Occurrence of micropenis and the effect of testosterone treatment”. The Journal of Pediatrics 149 (5): 687–691. doi:10.1016/j.jpeds.2006.07.044. ISSN 0022-3476. PMID 17095345.。
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