国朝耆献類徴初編

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書影 (明文書局『清代傳記叢刊』より)

國朝耆獻類徵初編』(仮名:コクチョウ キケン ルイチョウ ショヘン[1], 拼音:Guócháo qíxiàn lèizhēng chūbiān) は、末に編纂された伝記。『國朝耆獻類徵』とも。

元江西布政使・李桓の編纂に成り、天命元年 (1616) から道光30年 (1850) までの230餘年に亘る一万餘名の伝記を収録する。光緒16年 (1890) 上梓。

沿革[編集]

編者の李桓は湘陰 (現湖南省岳陽市湘陰県) の出身で、[2]父は両江総督 (同職には後に曽国藩李鴻章も就任) などを歴任した李星沅。[3]アロー戦争敗北を承けて咸豊10年 (1860) に英仏との間で北京条約が締結され、その翌年、江西督糧道から布政使に昇任、[4]同治4年 (1865) に病身を理由に退官した。[5]

本書は政界から完全に足を洗った編者により同治6年 (1867) に編纂が開始され、15年かかって草稿が完成した。[6]その後、修正と加筆を経て、光緒16年 (1890) に上梓された。[6]

内容[編集]

「国史館本伝」と編者個人による記述を出典とする全484巻[注 1]の本編と、乾隆から道光にかけて編纂された欽定の王公伝で構成される。

類序 類名 巻数 冊数
述意 1 3
総目 20
通検 10 6
附:満漢同姓名録 1
巻首
欽定宗室王公功績表伝乾隆29年 12 4
欽定外藩蒙古回部王公表伝乾隆44年 120 38
欽定続纂外藩蒙古回部王公表嘉慶17年 12
欽定続纂外藩蒙古回部王公伝嘉慶17年 12
欽定続纂外藩蒙古回部王公表道光16年 12
欽定続纂外藩蒙古回部王公伝道光16年 12
欽定続纂外藩蒙古回部王公表道光29年 12
欽定続纂外藩蒙古回部王公伝道光29年 12
正編
1 宰輔 40 20
2 卿貳 74 37
3 詞臣 18 9
4 諌臣 6 3
5 郎署 10 6
6 疆臣 56 28
7 監司 10 5
8 守令 34 17
9 僚佐 12 6
10 将帥 66 33
11 材武 4 2
12 忠義 44 22
13 孝友 20 10
14 儒行 18 9
15 経学 10 5
16 文藝 20 10
17 卓行 18 9
18 隠逸 20 10
19 方技 4 2

類書[編集]

國朝獻徵錄[編集]

明代の歴史家・焦竑の編纂に成る明代の伝記。

國朝賢媛類徵初編[編集]

同じく李桓の編纂に成る全12巻。

清耆獻類徵選編[編集]

臺灣銀行經濟研究室が『國朝耆獻類徵初編』中の南明鄭氏以降の台湾史に関聯する記述を選別し再編したもの。[2]

脚註[編集]

註釈[編集]

  1. ^ 参考:『清史稿』には「國朝耆獻類徵初編七百二十卷,編目十九卷。李桓撰。」とあるが、本編全19目の巻数を足しても484巻しかない。

典拠[編集]

  1. ^ 國朝耆獻類徴初編”. CiNii. 2024年4月7日閲覧。
  2. ^ a b “弁言”. 清耆獻類徵選編. 臺灣銀行經濟研究室. https://tcss.ith.sinica.edu.tw/browse-ebook.html?id=EB0000000230#inline1 
  3. ^ “咸豐1年4月下27日段72736”. 文宗顯皇帝實錄. 32. - 
  4. ^ “咸豐11年12月中18日段76960”. 穆宗毅皇帝實錄. 13. - 
  5. ^ “同治2年8月上4日段77624”. 穆宗毅皇帝實錄. 75. - 
  6. ^ a b “述意”. 國朝耆獻類徵初編. - 

典拠[編集]

史書[編集]

  • 賈楨, 他『文宗顯皇帝實錄同治5年 (1866) 上梓, 1937年刊行 (漢) *中央研究院歴史語言研究所版
  • 宝鋆, 他『穆宗毅皇帝實錄光緒5年 (1879) 上梓, 1937年刊行 (漢) *中央研究院歴史語言研究所版
  • 李桓『國朝耆獻類徵初編』光緒16年 (1890) (漢) *明文書局版
  • 趙爾巽, 他100余名『清史稿』清史館, 民国17年(1928) (漢) *中華書局
  • 『清耆獻類徵選編』臺灣銀行經濟研究室, 1967 (漢)

Web[編集]