割引現在価値

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

割引現在価値(わりびきげんざいかち)とは、ある将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れたとしたらどの程度の価値を持つかを表すもの。たとえば1年後に100万円貰えるのと、今90万円貰えるのが等価であると感じる人にとっては、1年後の100万円の割引現在価値は90万円となる。

概要[編集]

貨幣価値が将来にわたって不変であるとしても、将来時点において入手可能なある金額を今受け取ろうとすれば元の額から割引された額となるのが普通であろう。この額こそ元の額の割引現在価値と呼ばれているものであって、これは、貨幣が利子を生んで自己増殖するのが当然である社会において、将来のある時点で貨幣(これに準ずるものを含む。以下同じ。)のある額を入手できる場合、その時点より前にこれを受け取るときにのみ適用される考え方である。しかるに、現在これが拡大適用され、将来の貨幣はこれと同額の現在の貨幣と同価値ではなく割引されてはじめて同価値となる、すなわち、将来の貨幣のある金額を現時点で評価すると元の額から割引された額になるが、この割引された額が割引現在価値である、とされることが多いようである。しかし、これは誤りである。貨幣価値が不変である限り、同額の貨幣は評価時点を異にしても常に同価値である。貨幣価値不変とは本来そういう状態にあることを言う。まして、貨幣以外のものに割引現在価値の概念を適用すべきではない。貨幣価値変動による換算はこれとは別に考慮すべき問題である。もっとも、ここでの“評価”は“物事の価値を決めること”という狭い意味で使っている。しかし、より広く解すれば、将来の貨幣のある金額を現時点で評価すると元の額から割引された額になる、という場合の“評価”も正しい使い方であると言える。ただ、そうすれば、将来の貨幣のある金額を現時点で評価した額として、元の額と元の額から割引された額との双方が存在することになる。これが割引現在価値の意味を混乱させる基になっているとも考えられるので、ここでは狭く解することとし、“割引された額”となる方は“将来の額を今評価すれば”ではなく“将来の額を今受け取るとすれば”と表現することとする。 従って、将来のキャッシュ・フローを今受け取るとすれば、各期のそれを単純に加算するのではなく、それの割引現在価値を加算する必要がある。例えば、金利が1%の債券に、今年10,000円投資した場合、来年は価値が10,100円に増える。一方で、1年後に10,000円が支払われる約束がしてある債券の今時点における受取額は、割引現在価値の約9,901円になる。また、金利1%が10年続くとすれば、10年後の10,000円の割引現在価値は、1.01を10乗した1.1046で10,000円を除した9,053円となる。即ち、以下の式により割引現在価値が計算できる。

割引現在価値=将来価値/利回り^期数

割引率[編集]

割引現在価値を計算する際に使用する利回りのことを割引率という。貨幣価値不変とすれば金利が割引率となり、上記数値例はこの場合を示している。しかし、割引率に他の要素を含めることも可能であり、その際には以下のような要素に留意する必要がある。

金利[編集]

現在の価値が将来の価値より割り引かれる理由の一つは、金銭には時間的価値があるためである。従って、この時間的価値の指標である金利を割引率に加える必要がある。金利については、無リスク状態での率をあらわすリスクフリーレートなどを参考に設定する。

物価[編集]

物価が上昇すると、貨幣の額面が同じであっても価値は下落する。このためインフレ率などを割引率に加える必要がある。

リスク[編集]

例えば債券については、高リスクのものであれば利回りが高くなる。これは将来の不確実性が利回りに織り込まれるためである。一般的に、リスクの高い事業のキャッシュフローを割引現在価値で評価する際には、リスクの低い事業よりも大きい割引率を用いることになる。

関連項目[編集]