八丁原発電所

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座標: 北緯33度06分20秒 東経131度11分13秒 / 北緯33.105603度 東経131.187047度 / 33.105603; 131.187047

八丁原発電所

八丁原発電所(はっちょうばるはつでんしょ)は、大分県玖珠郡九重町にある九州電力地熱発電所である。

概要[編集]

出力11万kWで、発電所全体の出力としては、一般家庭約3万7千軒の需要を担う能力を持つ日本最大の地熱発電所である。事業用としては九州で2番目(全国で5番目)に完成した[1]

活火山である九重連山に近い標高1,100メートルの高原に位置し、九重連山の地熱地帯の地熱によって加熱された高温の蒸気を利用して発電を行う[1]

発電所は無人で運転されており、運転・監視は約2km離れた大岳発電所からオペレーターによる遠隔操作で行われている[1][2]。発電所には展示館が併設されており、見学が可能である[3]

深さ760mから3,000mの井戸(蒸気井)が31本あり(うち生産井は計21本[4])、そこから合計で1時間あたり890トンの蒸気を得ている[1]。発電に利用された後の熱水は計10本の還元井で地下に戻される[4]他、一部は第三セクターによる温泉供給会社である筋湯温泉供給株式会社を介して、砒素脱却装置を通した上で近隣の温泉地へ供給されている[5]2004年温泉偽装問題が起きた際に、週刊ポストが、当発電所が供給する熱水を温泉として利用していた筋湯温泉を「工業廃水を温泉と偽装」と報じたが、直ちに九州電力や大分県、九重町が、一連の偽装とは異なり温泉そのものに問題はないことを反論した[6][7]

発電設備[編集]

  • 総出力:112,000kW[8]
1号機
  • 定格出力:55,000kW
  • 営業運転開始:1977年昭和52年)6月
2号機
  • 定格出力:55,000kW
  • 営業運転開始:1990年平成2年)6月
バイナリー発電
  • 定格出力:2,000kW
  • 営業運転開始:2006年(平成18年)4月

バイナリー発電[編集]

構内に地熱バイナリー発電方式を採用した八丁原バイナリー発電施設がある。創業当初160℃の熱水を利用していたが、130℃まで減衰したため、国内初のバイナリー発電方式を導入することとなった。イスラエルのオーマット社製の設備で出力は2,000kW。沸点が低いペンタンを媒体として利用し、比較的温度の低い蒸気や熱水を利用して発電を行っている。2006年4月より2年間の試験運転を経て、営業運転を開始した[9]

沿革[編集]

  • 1949年昭和24年) - 大分県下の地熱地帯の地質等の調査を開始。
  • 1953年(昭和28年) - 九重町大岳地区の地質等の調査を開始。
  • 1977年(昭和52年)6月 - 1号機の営業運転開始。
  • 1990年(平成2年)6月 - 2号機の営業運転開始。
  • 2003年(平成15年)8月 - 八丁原バイナリー発電施設の建設工事に着工
  • 2006年(平成18年)4月 - 八丁原バイナリー発電所が試験運転開始。
  • 2008年(平成20年) - 八丁原バイナリー発電所が営業運転開始。

見学・学習[編集]

展示館が併設されており、展示館での地熱発電の学習や発電所内の見学が可能である[3]。また、周辺には阿蘇くじゅう国立公園長者原ビジターセンターがあり、環境学習などができる[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 八丁原発電所|地熱発電について 資源エネルギー庁
  2. ^ 八丁原・大岳発電所 九州電力
  3. ^ a b 九州電力 八丁原発電所展示館
  4. ^ a b 既設発電所における掘削状況 (PDF) 第3回 地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会資料、環境省、2011年9月
  5. ^ 平成22年度環境省請負業務 平成22年度地熱発電に係る環境影響審査手法調査業務報告書 (PDF) 株式会社プレック研究所、2011年3月
  6. ^ 安達正畝「温泉事業者などから寄せられた疑問への回答 (PDF) 」第4回 温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)検討会資料、環境省、2014年6月
  7. ^ 「<温泉>大分県と九重町 週刊ポスト記事で反論」 毎日新聞、2004年8月20日
  8. ^ 九州電力 八丁原・大岳発電所
  9. ^ Asahi.com 温泉発電広がるか 60℃でOK、設備も小型 2010年3月8日1時58分配信
  10. ^ 阿蘇くじゅう国立公園長者原ビジターセンター

外部リンク[編集]