七重奏曲 (ストラヴィンスキー)

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ダンバートン・オークスの音楽室

七重奏曲(しちじゅうそうきょく、Septet)は、イーゴリ・ストラヴィンスキー1952年から1953年にかけて作曲した室内楽曲。ストラヴィンスキーのアメリカ時代の作品で、セリエル音楽の技法を使用した作品としては『カンタータ』(1952年)に続く第2作。

作曲の経緯[編集]

ワシントンD.C.にあるダンバートン・オークスから委嘱されて、1952年7月から翌年2月までかけて作曲され、同研究所に献呈された[1]

ダンバートン・オークスはもとロバート・ウッズ・ブリス夫妻の邸宅で、夫妻の依頼によって『協奏曲「ダンバートン・オークス」』(1938年)や『交響曲ハ調』(1940年)が書かれた[2]。1940年以降、ダンバートン・オークスはハーバード大学に寄贈され、その研究機関になっていた。

1953年にブージー・アンド・ホークス社から出版された。

初演[編集]

1954年1月23日にダンバートン・オークスでストラヴィンスキー自身が指揮して行われた。

編成[編集]

クラリネット(A管)、ホルンファゴットピアノ(またはハープシコード)、ヴァイオリンヴィオラチェロ

構成[編集]

2楽章あるいは3楽章からなる。第3楽章に当たる部分は実際には楽章の表記がなく、第2楽章の延長とも捉えられる。

  • 第1楽章 ソナタ形式による。
  • 第2楽章「パッサカリア」 主題と9つの変奏からなる。
  • 第3楽章「ジーグ」 第2楽章の主題に基づくフーガ

演奏時間は約12分。

すべての楽章で対位法的な書法が目立つ。第1楽章はフーガを含んでいるが音列的ではなく、新古典主義音楽に近い。緩徐楽章にあたるパッサカリアの主題は8つの異なる音からなる16個の音符からなり、変奏では主題の反行、逆行、反逆行を組み合わせている。ジーグはパッサカリアの主題を使いつつ複雑な二重フーガをなす。

脚注[編集]

  1. ^ White (1979) p.472
  2. ^ White (1979) p.111

参考文献[編集]

  • 作曲家別名曲解説ライブラリー25 ストラヴィンスキー(音楽之友社) 
  • Eric Walter White (1979) [1966]. Stravinsky: The Composer and his Works (2nd ed.). University of California Press. ISBN 0520039858