ロビンソン R22

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計器、無線機、操縦桿

ロビンソン R22(Robinson R22)は、アメリカ合衆国航空機メーカーであるロビンソン・ヘリコプターが開発・量産している2座席のレシプロエンジンヘリコプターである。1973年より開発が開始され、初飛行は1975年8月28日である[1]2012年までに4,400機以上が生産された。

概要[編集]

1973年フランク・ロビンソン英語版によって設立されたロビンソン・ヘリコプターが開発した、複座ヘリコプターである。量産開始は1979年。取得費用と維持費用が廉価であるため、ヘリコプターのなかでも世界中でベストセラーであり、4,000機以上が販売されている。価格は2023年時点で36~38万ドルである[2]。またベストセラーであるため中古の機体も多く出回っており、旧モデルであれば約4万ドルから入手できる[3]

多くは民間機であるが、一部軍隊警察が運用する機体もある。さまざまな派生型があるほか、座席数が異なるR44R66もある。

機体[編集]

単発のレシプロエンジン機であり、エンジンは胴体後部にある。メインローターは2翅のセミリジット・シーソー方式で、胴体上方に突き出して設置されている。

機体色や内装など様々なオプションが提供されており、公式サイトからオンラインで見積もりが可能である[2]

R22は安価であることから多くの飛行訓練学校で採用されており、訓練生が初めて操縦する初級練習機としての採用が多い[1]。操縦は比較的シビアだとされており、全体的に操縦装置が機敏で、サイクリックレバーを少し倒すだけでも機体が大きく反応する。また、飛行中はサイクリックレバーが左方向に引っ張られるため、パイロットが常時これを中央に保持する必要がある(ただし、レバーを右に押し出すトリムが搭載されており、左右に関してはある程度の疲労が軽減される)。加えて半関節型メインローターであるため、急激な操縦はマストバンピングを引き起こす可能性がある。

メインローターが軽量で、エンジン停止時はほかのヘリコプターに比べると急激にローター回転数が低下するという特徴がある。

性能要目[編集]

  • 超過禁止速度(密度高度3000 ftまで):102 kt(188.9 km/h)
  • 最大航続速度:83 kt(153.7 km/h)
  • 搭載エンジン:ライカミング O-360もしくはO-320またはbei Beta II A2BまたはA2C 4気筒124 馬力(93 キロワット) 仕様:4気筒、水平対向、オーバー・ヘッド・バルブ、空冷、気化器式、ウェット・サンプ式潤滑方式
  • 航続距離:556 km
  • 最大運用密度高度:14,000 ft(4,267 m)
  • 最大積載燃料(ブラダー無タンク):116 リットル(使用可112リットル)
  • 最大積載燃料(ブラダータンク):106 リットル(使用可100 リットル)
  • 最小全備重量:920 Ib(417 Kg)
  • 最大全備重量:1370 Ib(622 Kg)
  • 全長:8.75 m
  • 高さ:2.71 m
  • 回転翼直径:7.68 m
  • 座席数:2
  • 販売価格(2007年当時):210,000アメリカ合衆国ドル

脚注[編集]

  1. ^ a b 世界航空機年鑑2007-2008 酣燈社 2007年 P351 ISBN 978-4873572703
  2. ^ a b 大阪万博で登場する「空飛ぶクルマ」は社会を変えるのか? どう考えてもヘリコプター優位だ”. 乗りものニュース. メディア・ヴァーグ. 2023年5月23日閲覧。
  3. ^ Robinson R22 Helicopters for Sale”. 2013年4月4日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]