ラムトンのワーム

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ラムトンのワーム

ラムトンのワーム(Lambton Worm)は、イギリス伝承である。AT分類300(竜退治説話類型)に属する。この伝承はウィア川(River Wear)にまつわる伝承でもある。ウィア川を語る上ではダラム城ダラム州)と共に特に有名な伝承でもありはずせない[誰?]。なお、この伝承を元にしたオペラも制作され、映画化もされた。

伝承[編集]

Worm Hill(ワームヒル)。ワシントン村
ペンシャー・モニュメント(Penshaw Monument)ヘリントンカントリーパーク内

ラムトン(Lambton)家の跡取りは日曜のミサにも行かず釣りばかりしていた。ある日ウィア川で口の両側に9つの孔があるワームを釣ってしまった。見知らぬ老人が「川に戻さず、自分で責任を取るように」と忠言したが、近くの井戸にワームを投げ捨ててしまった。そのワームは成長し、その井戸はワームウェル(竜の井戸)と呼ばれるようになった。井戸に入りきらないほど大きくなったワームは丘に出て家畜を貪り食った。そこは今でもワームヒル(ワームの丘)と言われている。跡取りは責任を感じ聖地に赴いた。跡取りが聖地に赴く間にも竜は成長し、牛9頭分のミルクを要求し、無い場合は暴れて木などを引き抜いたという。

7年後に跡取りが聖地から戻ると、故郷は竜によってさらに荒れ果てていた。そこで跡取りはブルージーフォードの賢女に助言を求める。賢女は「鍛冶屋へ行って槍の先を埋め込んだ鎧を作ってもらい、ウィア川のワームズロック(ワームの岩)で迎え撃つように」と言った。また、受けた傷はすぐに修復してしまうワームなので、賢女はワーム退治の極意も教えた。しかし、教える代償として賢女は「ワームを倒した後、自分の屋敷に帰った時に最初に出迎えた人を必ず殺す」事を要求した。しかも「誓いを破ればラムトン家の者は9代の間ベッドの上で死ぬことはできない」という。跡取りはこの件を了承して賢女に誓いを立てた上で竜退治の極意を教わり、死闘の末ウィア川で竜を退治した。跡取りはウィア川の岸に泳ぎ着くと合図のラッパを3度吹いた。ラッパは『竜退治成功』という意味であると同時に、跡取りの猟犬ボリスを解き放つ合図でもあった。しかし、跡取りの無事が嬉しくて館の一同は猟犬を解き放つのを忘れ、館に帰ってきた跡取りを真っ先に迎えた父は、駆け寄りその胸に息子をかき抱いた。跡取りは笛をもう1度ならして猟犬を解き放たせ、駆け寄ってきた猟犬を殺したが、誓いが破られたことには変わりなく、以後9代にわたってランプトン家の者はベッドの上で死ぬことが出来なかったという。

本伝承が元になった作品[編集]

『続イギリス昔話集』より、ジョン・ディクソン・バッテンの挿画。
  • "The Lambton Worm" (1867年、C M Leumane作詞作曲)
  • "The Lair of the White Worm" (1911年、ブラム・ストーカー著、小説)
  • "The Lambton Worm" (1978年、オペラ)
  • "The Lair of the White Worm " (1988年、映画)
  • "The Fire Worm" (1988年、小説)
  • "Alice in Sunderland" (2007年、Bryan Talbot著、グラフィックノベル

参考文献[編集]

  • 竹原威滋・丸山顯德編 『世界の龍の話』 三弥井書店、2002年、pp. 125-128.(「ランプトンの龍」)
  • Joseph Jacobs. More English Fairy Tales (「続イギリス昔話集」). London, 1894, pp. 198-203.(「世界の龍の話」出典 p.9。右の画像にもある挿絵も参考の事)
  • カール・シューカー 『龍のファンタジー』 別宮貞徳監訳、東洋書林、1999年、pp. 8-13.(「ラムトン長虫(ワーム)のたたり」)

関連項目[編集]